1796話 鉱爵からのカニタマの印象
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は深海種族の【上位権限】レイドボスである【カニタマ】と喋っていたな。
深海種族と鉱人種族の関係性について少し語ってくれたので、今後【熱狂剣山の地霊鉱爵】や【カニタマ】に会うときには発言に少し気をつけないといけないと分かっただけでも収穫なのだが……
それ以上に【カニタマ】が秘蔵しているという宝石コレクションに惹かれるな!
俺はトレジャーハンターだからな、そういった財宝には人一倍興味があるという自負がある。
採掘にはあまり興味がなくても、過去に誰かが保有していた価値あるものについては興味があるというわけだな!
ある意味ミーハーとも言えるだろう。
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
ここで【熱狂剣山の地霊鉱爵】に会いに来たのだが、【カニタマ】が言っていたことが本当なのか確かめに来たわけだ。
今のところ【カニタマ】が言っていたことの確証もないしな。
どうせ聞ける相手がいるんだからその疑問を早めに払拭しておくのがよいと思ったわけだな!
「そういう理由であちきに会いに来たというわけでありんすか。
それならば【カニタマ】の言っていることはほぼ合ってやすよ。
あちきは【カニタマ】のやっていることは分かりんすし、【カニタマ】もあちきのやっていることが分かりんす」
どうやら合っていたようだ。
正直これを聞けただけで今回の目的を達成したと言っても過言ではないが、せっかくなので【熱狂剣山の地霊鉱爵】から【カニタマ】の印象を聞いておこう。
「そうでありんすね……
ある意味では『一心同体』と言ってもいいほどの関係でありんすが、その一方で愉快な隣人という認識が強うござりんすね。
あの戯団の総座長を務めていることもあって、他の存在を楽しませることが好きなようでありんす。
あちきも見ていて飽きねえでありんすね」
愉快というか、賑やかというか、騒がしいって感じだな?
だが、俺は無人島に一人寂しく幽閉されている【カニタマ】しか知らないから寂しがりやという印象の方が強かったぞ。
「深海総座長は戯団員と一緒にいてこそ本領を発揮するというものでありんす。
外界からの干渉を遮断されたあの場所では全力を出せねえでありんしょうし、それは性格面にも作用していると思いんす。
だからこそ主さんが見た【カニタマ】は寂しがりやな側面が強う出ていたのでありんしょう」
なるほどな。
これまでそういう情報は一切無かったが、【菜刀天子】による海エリア閉鎖処置はプレイヤーが海エリアに行くのを遅らせるだけではなく、同等の存在である【カニタマ】の力を削ぐという役割も果たしていたというわけか。
やはり【菜刀天子】は人望こそ他の【上位権限】レイドボスと比べると無い方だったが、行う政策、処置については的確……というよりほぼ理論値みたいなことしかしてなかったようだ。
まぁ、【山伏顕現】や配下の聖獣たちからは固すぎるとか、冷徹過ぎるみたいな声が出ていたから軟化した今の方が結果的には上手く行ってそうではあるがな……
「その感情を殺したような次元天子とは真逆に感情で動く存在こそが【カニタマ】でありんしたからこそ、不確定要素を潰したかったのかもしれんせんね。
理論的な演算だけでは読みきれねえ行動が当時は特に多うござりんしたし、全ての陣営に手を貸していたみとうござりんすからね……」
それは【菜刀天子】からすれば味方として置いておくにも、敵として置いておくにも厄介な存在だったことだろう。
計算を狂わされた【菜刀天子】はさぞ悔しがっていたはずだ。
その様子が手に取るように分かるぞ!
……よく分かっていますね。
また今度話しましょうか。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】