1795話 深海と鉱山の連立
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【海図航海士】からクラン【リップカレント】の近況と海エリアの攻略の進捗について聞いていたな。
一応調査は進んでいるみたいなので、このまま放置していてもいつか自力で新たな深海種族レイドボスを倒してくれそうな感じだったのでホッとしたぞ。
【短弓射手】たちも頻度は減っているがきちんと助太刀しているみたいなので、戦力的にも不足はないはずだ。
というわけでやって来ました海エリアの無人島!
特別な称号による権限を持ったプレイヤーしか入れないこの場所には深海種族の【上位権限】レイドボスの【カニタマ】がいる。
「久しぶりにあったカニね!
中々来てくれなかったから寂しかったカニよ!」
それは悪かったな。
だが、俺の主戦場が海エリアじゃない関係であまり用事がないからな……
足が遠退くのも仕方ないだろうよ。
「それは残念カニね……
でも、【熱狂剣山の地霊鉱爵】を顕現させるキーアイテムを見つけたって聞いたカニ!
お手柄カニよ!」
えっ、お前もそれ知っているのか!?
【カニタマ】は【釣竿剣士】か【トランポリン守兵】お嬢様辺りにしか会えないからどちらから聞いたんだろうか……?
「いや、これは当方の権限で知ったカニ!
深海種族と鉱人種族には切っても切れない関係があるカニ……
特に【上位権限】レイドボス同士はお互いの動きが手に取るように分かるカニよ!」
へー、そうだったのか!
確かに【海鉱反転】とかいう一時的に深海種族と鉱人種族の特性を入れ替えるスキルもあるくらいだからな。
あれは中々トリッキーなスキルだと思っていたが、そういう関係性だったのなら充分に納得できる。
……例えば、今俺が【カニタマ】に会っていることも【熱狂剣山の地霊鉱爵】には伝わっているという認識でいいんだな?
「それで合ってるカニよ~!
相互監視なのか共生しているのかよく分からなくなってるカニね」
それはそれでどうなんだ……
とはいえ住んでいるエリアからして直接遭遇することは無さそうだけどな。
海エリアと岩山エリア……堅牢剣山ソイングレストって距離的にもそれなりに離れているしな!
「距離はあまり関係ないカニよ!
それくらい権限での結びつきが強いカニ!
昔……かつての陣営対戦の時はそれでも会ったりしていたカニよ。
でも今は当方が次元天子に幽閉された状態カニ、出歩けないカニよ!」
あー、そういうことか。
今でも会う気はあるんだな。
相互監視された状態だし別に必要ないとか思っているのかと勘違いしてたぞ。
「やっぱり思念だけで状態を伝えあうのと、対面で直接会って話をするのとは感じ方が違ってくるカニ!
会えるなら会いたいカニよ~!
お互いにお土産を持ち寄って交換するのが楽しみだったカニ」
そんな普通の人間っぽいこともしていたのか。
お土産交換だとどんなものを交換していたんだ?
内容が気になるところだ。
「多分思っているほど面白いものじゃないカニよ!
当方は魚とかの海産品、【熱狂剣山の地霊鉱爵】は宝石を持ってきていたカニ!
当方は宝石に目がないからコレクションが結構あるカニ!
この島にもあるから、もし当方を倒したプレイヤーがいれば一財産築けるカニよ!」
それは耳よりな情報だな。
まぁ、【菜刀天子】も宝物庫を持っていたし、他の【上位権限】レイドボスも似たような備蓄があってもおかしくはないか。
だが、特に宝石系なら換金率が高そうだし鉱人種族の強化やユニーククエストの進行に必要な鉱石系の【失伝秘具】も混ざっている可能性がある。
そうなれば包丁次元でも特に進捗の悪い鉱人種族が一気に勢力を伸ばしてくるかもしれない。
それはそれで楽しみだな!
でも、簡単には倒されるつもりはないカニよ!
倒されて欲しいでありんす。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】