1789話 付加価値税
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】の草原エリアでの楽しみかたとかを聞いていたな。
昼寝場所にあそこまで拘るプレイヤーはそんなにいないはずだ。
まさかVRゲームで寝るなんて考えることはあっても、それを重視することはほぼないからな。
普通は活発に動きたいしな!
というわけでやって来ました草原エリア!
ここでボマードちゃんと【マキ】を会わせてみた。
【マキ】とボマードちゃんは祭壇次元戦争の時に一回会っているはずだが……
「あっ、変な喋り方をしてた【検証班長】さんみたいな人と一緒にいた女の子ですね!
いや~、こうやって他のMVPプレイヤーさんとゆっくりお話する機会なんて無かったから新鮮ですよ!」
「うちも変態お姉さんの仲がいい人とお話するの楽しみだったんだ~」
「へ、変態お姉さん!?
いや~、【包丁戦士】さんどんな呼ばれ方してるんですか!?
こんな小さい娘にそんな呼び方させたらだめですよ!」
いや、その批判はかなり見当違いだぞ?
別に俺が呼ばせてるわけじゃないからな!?
勝手に呼ばれてるからむしろ若干困ってるんだよなぁ。
ちなみに由来は【深淵顕現権限】だ。
「あっ、もしかしてこれですか?
いや~、実は私も使えるんですよ!
スキル発動!【深淵顕現権限Ж】」
ボマードちゃんは周りにいたファンを生け贄に捧げてお尻から粘液を垂れ流す尻尾を生やした。
「あっ、変態お姉さんと同じやつだ~!」
まぁ、そうだろうな。
ボマードちゃんと俺がこのスキルを使えるようになったのは同時だったからな……
包丁次元プレイヤーの深淵スキルの開祖といえば俺かボマードちゃんってわけになるぞ!
「へぇ~、そうなんだ~!
あっ、ヌルヌルなの気持ち悪いから近づけないでね~!」
「がーん!
いや~、こんな幼い娘にそんなことを言われるとショックで立ち直れないですよ……
【包丁戦士】さんの気持ちが分かりましたね」
分かってもらえたようで何よりだ。
こればっかりは直接言われてみないと分からないだろ?
思ったより精神ダメージを食らうからな……
いくら【暴食】でもこれは食らいたくないものだ。
「そういえば【マキ】ちゃんもMVPプレイヤーっていうことは何か大罪を烙印されてるんですか?
いや~、どんなものか気になりますね!」
「うちは【怠惰】だよ~!
周りの動きをおそーくすることが出来る権能があるんだよ~!
あんまり上手く使えてないけどね~」
まあ、昼寝ばかりしているから【怠惰】認定されたんだろうが……
ただ、【マキ】も俺同様大罪の力をあまり使わない側……というより上手く噛み合っていないことが多いよな。
本質的には合っているんだろうが、【綺羅星天奈】曰くそれを活かす方向性が微妙にズレているということだった。
「え~、綺羅星お姉さんそんなこと言ってたんだ~!
うちには一言もそんなこと教えてくれなかったのに~!!
ずるいよ~!」
いや、俺に言われてもどうしようもないんだが……
俺に教えてもいいくらいの信頼関係があったからなのか、利用価値があると思ったのか……いや半分半分くらいか?
何だかんだ共闘することも多かったし、【大罪魔】討伐の時にも役立ったから向こうの見込み通りに動かされただけな気もするぞ。
だからあんまり羨まれても困るというものだ。
「そうなのかな~?
でもそれは変態お姉さんが好かれてるからだよ~!
やっぱりそれは羨ましいよ~!」
そうか……
それならとりあえず【綺羅星天奈】に対等かそれに近いくらいの実力か、知識か、その他の価値を身につけることだな。
それが無い状態で頼ったとしても向こうは最低限の応対しかしてくれないだろうからな。
【綺羅星天奈】は一見すると慈悲深い聖女のようだが、わりとギブアンドテイクな関係を望んでいるっぽいぞ!
「ぐぬぬ、【包丁戦士】の口から私の知らない女の話ばっかり出てきますね……
いや~、嫉妬しちゃいますよ」
えぇ……ボマードちゃんはそんな反応かよ!
流石は頭お花畑だな!
深淵を覗くとき、深淵にも覗かれているのだ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】