1788話 閑静な感性
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はボマードちゃんの【修練武器上位解放】ー【聖淵音声】の検証結果を【検証班長】から聞いていたな。
まさか俺のために発現した新たなスキルだとは思わなかったが、ボマードちゃんの普段の言動から考えたら違和感はないな。
ただ、自分の在り方とも言えるチュートリアル武器の能力がそのようになるということはよほどの熱量なのだろう。
……まぁ、ボマードちゃんと行動する機会がかなり減ってるのでどこまで活用できるのか不明だなっ!
というわけでやって来ました草原エリア!
ここで適当なモブプレイヤーを見繕ってプレイヤーキラーとしての活動をしようと張っていたのだが、思わぬプレイヤーを見つけてしまったので普通に姿を見せて声をかけることにした。
「あっ、変態お姉さん!
茂みから出てきたからビックリしちゃったよ~」
そう、蛇腹剣次元のMVPプレイヤーの【マキ】だ。
蛇腹剣を地面に垂らしながらジャラジャラさせて歩いてきたが、包丁次元のプレイヤーはその姿にギョッとしながら二度見していた。
こんなパジャマロリがそんな物騒な武器を見せびらかすように持っていたら驚くよな。
それよりもお前はこんなところで何をしているんだ?
てっきり地蒜生渓谷メドニキャニオンか新緑都市アネイブルに入り浸っていると思っていたんだが、まさか草原エリアで会うとは思わなかったぞ。
「うちはここでのんびり昼寝をしてたんだよ~
ここの天然の芝生はフサフサしてて、暖かくて気持ちいいんだよね~」
昼寝か。
そういう観点で草原エリアにいることを選んだことは一度も無かったな……
新しい着眼点だ!
「そうなの~?
うちはよく昼寝をしたりするから普通のことなんだけどね~」
【マキ】の場合はそうだろうな。
遺跡の中とかミチの真ん中とかで寝てたりするんだし、プレイの一番基準をそこに置いていてもおかしくないとは思ってた。
「ちなみに変態お姉さんはここで何をしていたの~?」
俺か?
俺はプレイヤーキラーとしての活動をしようと張っていたんだ。
この草原エリアには初心者っぽいプレイヤーが集まりやすいから、手軽にサクッとキルしたい気分の時にはちょうどいい場所なのだ!
「えぇ~?
うちに新しい着眼点って言ってたけど、変態お姉さんも変な感じだよ~!
初心者狩りとかもするんだね~?」
俺は実力者、初心者どちらもターゲットにするからな。
とはいえ、基本的にはスナック菓子感覚でキルを楽しめる初心者を狩ることが多い気もするがな!
「やっぱり変態お姉さんは変態お姉さんだね~
うちのネーミングは正しかったんだよ~」
おいおい、そこを基準にネーミングしたわけじゃないだろ?
【深淵顕現権限】で生やしたジェーライトの粘液ヌルヌル尻尾がマニアックな感じだったからだった気がするんだが……
「バレちゃったよ~
でも、どっちの意味でも使えるから変態お姉さんには変わり無いよ~」
まぁ、そう言われてしまえばそうなんだが……
それにしても、今日は一人で行動しているんだな?
「うちは基本的に昼寝をする時は一人だよ~
他の人は昼寝に付き合ってくれないからね~」
確かにな。
俺もVRMMO中に昼寝をしようと誘われてもそんなに頻繁にやりたいとは思わないからな。
やるなら料理とかプレイヤーキルとか活動的に動きたいし。
そこがまた【マキ】とは感性がずれる部分だろう。
どちらも他のプレイヤーたちとは合いそうにない感性の持ち主ですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】