1787話 考察会議は踊る!~マイクの性能編~
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は久しぶりに【検証班長】と大人数での検証実験をしていたな。
急な召集に大勢集まってくれたのは【検証班長】の人徳によるものだろう!
羨ましいぞ!
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルにある樹木をくり貫いた建物……【検証班】のたまり場のメッテルニヒ!
ここの一階の受付を顔パスでスルーしていき、二階に上がっていくとそこには【検証班長】とボマードちゃんが談笑している姿があった。
「あっ、【包丁戦士】さん!
いや~、待ってましたよ~!」
「ではさっそく【修練武器上位解放】ー【聖淵音声】についてボクの見解をお話ししましょうか。
あくまでも現状で分かっている情報からの推測だけどね」
【検証班長】はそう謙遜しているが、おおよそ正解に近い答えを導きだしているのだろう。
わりと自信ありげな表情をしていることからもそれが窺える。
「まず比較からの結果はスキル【聖獣毛皮】、【天元顕現権限】を持っているプレイヤーには大きくバフがかかって、【深淵顕現権限】を持っているプレイヤーが味方にいると敵にかかるデバフ量が増えるようだね。
【ペグ忍者】【包丁戦士】さんにはバフが大きくかかっていて、【トランポリン守兵】さん【包丁戦士】さん、ボクが味方の時は相手にデバフが多くかかっていたようだよ」
あー、そういう基準なのか。
だから俺の時は二重で効果を発揮していたのか!
「あと、聖獣が相手の時は味方にかかるバフ量が減っていたから、もしかすると相手が深淵種族だとデバフ量が減ってしまうかもしれないね」
つまり敵に聖獣と深淵種族の数が少なく、味方に【聖獣毛皮】と【天元顕現権限】、【深淵顕現権限】の使い手が多いほど強くなるのか。
中々ピーキーな性能だな。
「いや、そうでもないかもしれないね」
「えっ、どういうことですか!?」
「今回の検証だけでは分からないけど、他にもバフ量が増える条件があるかもしれないし、聖獣や深淵種族が関係しなくてもバフやデバフは一応あるみたいだからね。
何も関係ない状況で使ったとしても一定の役割は果たせるんじゃないかと思います」
あー、そういう考えもあるのか。
別に最高効率を目指さなければならないなんて縛りはないから、言われてみればそうなのかもしれない。
「あと、【包丁戦士】さんが他の人たちよりも高い倍率で強化されたのは深淵天子だからかもしれませんね。
深淵種族と天子の混ぜ物のような種族ですから、あのマイクの特性からすると相乗効果があってもおかしくないと思います」
「そうなんですか!?
いや~、なんだか凄いことになってますね~」
おい持ち主!
自分が一番関係あるはずなのに何処か他人事のように聞いているな!?
「でも、何故このような性能になったんでしょうね」
「それはもちろん【包丁戦士】さんへの愛ですよ!
いや~、溢れ出る私の愛がこのマイクにぎっしり詰まってますからね~」
そんな馬鹿な理論があってたまるか!
「……とも一概に言えないんだよね。
さっきもボマードさんと話していたけれど、【修練武器上位解放】はチュートリアル武器依存だから、その使い方や担い手によってどのような形になるのかが変わるとボクは睨んでいるんだよ。
だから、ボマードさんの【包丁戦士】さんへの想いが影響した可能性は高いですね。
まさに【包丁戦士】さんをサポートするためだけに生み出されたような性能でしたから」
うーん、【検証班長】が言うなら本当にそうなのかもしれないと思えてきたぞ!?
「これは愛の勝利ですよ!
いや~、システムにまで認められるなんて嬉しいですね~!」
真実は自分たちで見つけてください。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】