1780話 熱狂剣山の地霊鉱爵
うわっ、何か急に知らないやつが【上位権限】のところに食い込んできたな!?
「あてぃしにも聞こえましたねぇぇ!
聞き覚えの無い声でしたよぉぉ!」
【キズマイナ】にも聞き覚えがないということは……
「あちきのシマで随分と手荒な真似をしてくれんしたね?
これ以上は止めておくんなんし!」
俺たちの前に現れたのは背丈が小さめなダークエルフみたいな見た目の女だった。
背丈は低いめだが、出るとこは出てて引っ込むところは引っ込んでいる体型っぽいから寸胴、幼女体型ってわけじゃない。
……おい、俺を見るな!
服装はまるで踊子のような軽装だから体型をきっちり確認できたというわけだ。
坑内にいるには不釣り合いな見た目のはずだが何故かしっくりきてしまっている。
肌は少し日に焼けたような健康的な日焼けの仕方で、手には全体を紅色の鉱石で造られたピッケルのようなものを持っている。
髪色は……灰色か?
何か一部【大罪魔】に似てる要素がある気もするが……気のせいだろうか。
「あの悪魔に地形を弄くられたからあちきの見た目もあの悪魔に寄っちまいましんした。
一生の不覚でありんす」
あー、【大罪魔】と【クシーリア】が堅牢剣山ソイングレストを弄くり回していたのは知っていたが、これが狙いだったのか!?
ちなみに、今の発言でお前の正体にも薄々気がついたんだが、一応自己紹介してもらってもいいか?
「あちきは鉱人種族の長【熱狂剣山の地霊鉱爵】……いわゆる【上位権限】レイドボスでありんす。
以後お見知りおきをお願いしんす」
「やっぱりそうだったんですねぇぇ!
とうとう会えましたよぉぉ!」
【Raid Battle!】
【熱狂剣山の地霊鉱爵】
【???】
【地霊鉱爵】【上位権限】【???】
【領域の地力を守護し】
【守護者への力を与える】
【ーーー地力封鎖による情報停止ーーー】
【身を飾るは針の筵となる熱鉱石】
【ーーー地力封鎖による情報停止ーーー】
【ーーー地力封鎖による情報停止ーーー】
【ーーー地力封鎖による情報停止ーーー】
【ーーー地力封鎖による情報停止ーーー】
【ーーー地力封鎖による情報停止ーーー】
【レイドバトルを開始します】
やはり鉱人種族……しかも【上位権限】レイドボスを引き当てるとはな!
これまで鉱人種族といえばピッケル次元のプレイヤーたちばかりだったが、ようやくレイドボスにお目にかかれて嬉しいぞ。
「あちきは嬉しゅうありんせん。
さっきからそちらの勇者がリソースを奪い続けてやす。
気分は最悪でありんすよ」
あー、それに反応して出てきたのか。
ほら【キズマイナ】、止めてやれ。
「ふひひっ……
あてぃしとしたことが止めるの忘れてましたねぇぇ……
リソースご馳走様でしたぁぁ!」
「次からはこんなことしねえでおくんなんし!」
「【熱狂剣山の地霊鉱爵】さんの動向次第ですねぇぇ!
あてぃしの敵になるならまたやるかもしれませんよぉぉ!」
【キズマイナ】、何かいつもより好戦的だな?
【勇者】としての血が騒ぐ……ってやつか?
まあ、当初の目的通り鉱人には遭遇できたから一応俺も自己紹介しておこう。
俺は【包丁戦士】。
次元天子にして深淵域の管理者にして大罪魔だ。
よろしく。
「あてぃしは【キズマイナ】、勇者ですよぉぉ!」
「随分と物々しい肩書きの方々でありんすね。
あちきのシマを荒らすのは止めておくんなんし。
本当に頼みんす」
まあまあ、お前に今すぐ危害を加えようというつもりはないから安心しろ。
それに、【失伝秘具】の【輝鋸石】は俺が見つけたんだぞ?
あれがどうなったのかは知らないがこうやってお前が姿を見せているのはその力があったからじゃないのか?
「【輝鋸石】は主さんが見つけたのでありんすか!?
これはある意味恩人のようなものでありんすね……
複雑な気分になりんす……」
なんか俺が助けたりしたやつってみんなそう言うよな……
素直に感謝してくれたらいいものを……
「【包丁戦士】さんの肩書きだけ見ると中々難しいことですよねぇぇ……
次元天子以外はあてぃしの敵でもありますしぃぃ……」
何か俺の横で【キズマイナ】が謎に腕を組んで頷いていた。
おいおい、俺の味方になってくれないのかよ!
これが孤立無援というやつか。
「何はともあれ、あちきの地霊顕現を手助けしてもらったことは事実でありんす。
害が無ければ友好的に接していくつもりでありんす。
ここに赤色鉱石を置いておくので、もしあちきに用事があればここに来るといいでありんしょう」
とりあえず【キズマイナ】と共感して意気投合したお陰か、今後も会ってくれる気にはなったようだ。
そして、【虫眼鏡踊子】を手助けしておいて良かった。
やっぱり好感度に影響してきたな!?
ふひひっ、よろしくお願いしますよぉぉ!
こちらこそよろしゅうお願いしんす。
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