1777話 地霊顕現
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【虫眼鏡踊子】と一緒に【輝鋸石】を探していたな。
何とか見つけられたんだが、まさかの【失伝秘具】扱いのものだったから驚きだ……先に言ってくれていたら良かったものを……
とりあえず【虫眼鏡踊子】に渡して俺はログアウトしたのでその後どうなったのかは不明だ。
というわけでやって来ました荒野エリア!
ここにある荒野バーで牛乳を飲みながら【虫眼鏡踊子】からあの後の話を聞いていた。
「【包丁戦士】ちゃんのお陰でユニーククエストが進んだわ~
今日は奢っちゃうわよ~!」
随分と上機嫌だな?
俺といるときはいつも機嫌がいい【虫眼鏡踊子】だが、今日はいつにも増して機嫌がいい。
それほど【輝鋸石】を見つけられたのが嬉しいんだろうか。
「そりゃそうよ!
坑内からようやく抜けられたのよ?
日の目を見られるプレイが出来るようになるのは本当にありがたいわよ。
窮屈で仕方なかったわ……」
どうやらユニーククエストそのものが進んだことよりも鉱山から抜け出せたことの方が嬉しいようだ。
ずっと興味ない、退屈って言ってたから仕方ないだろうが……
「今回のユニーククエストは【輝鋸石】を捧げる形だったから手元には残らなかったけど、【包丁戦士】ちゃんは【失伝秘具】を捧げる系のユニーククエストはやったことがあるかしら?」
あー、あるある。
【深淵域の管理者】だったルル様に【失伝秘具】をいっぱい捧げたな。
それで俺のツレを二人深淵奈落に連れていけるようになったわけだ。
「なるほど……
深淵種族関係でやったことがあるのね?
それだったら話が早いわ。
【失伝秘具】を失う分、リターンも相応に大きかったわ」
そうなのか。
ちなみにどんなリターンが得られたのか聞いてもいいか?
「具体的にはまだ言えないわ。
ただ、実績照会にあった【鉱人の地霊顕現】は多分クリア出来たと思うわよ?」
そう言うってことはそれなりの自信があるのだろう。
実績照会に出てくる項目をクリア出来たのなら貢献度はかなりデカイはずだし、【虫眼鏡踊子】の立場も多少優遇されるに違いない。
「うちのクランはそういうの無いわよ?
あくまでも身内クランだから、あったとしても大したものにはならないわね」
なんだ、それだったら今回の功績もあんまり意味がなさそうだな……
俺が出張ってきた意味もそんなに無い感じか。
それはそれとして、【鉱人の地霊顕現】って何なんだ?
文字列的に【深淵顕現権限】とか【天元顕現権限】みたいなスキルの延長線上にありそうなものに聞こえるが、ただスキルを覚えた・使っただけで実績照会されるのも妙な話だ。
それだったら【天元顕現権限】とか【深淵顕現権限】も実績照会の対象になっていてもおかしくないし……
「なんとも言い難いわね……
でも、【包丁戦士】ちゃんが思っているものとは少し違うかもしれないわ。
この辺りは中々説明しにくいわね……
【風船飛行士】から規制をかけられてるところだし、これ喋っちゃったら誰が【包丁戦士】ちゃんに情報を流したのかバレちゃうわ!」
まあ、【虫眼鏡踊子】の身を守る(?)ためなら仕方ないか。
ユニーククエスト進行に関わらせてもらっただけ有情というものだ。
これで何かしら鉱人系のユニーククエストに関わりやすくなる補正がかかるかもしれない。
どの辺りからカウントされているのかは不明だが、最低でも【虫眼鏡踊子】経由で関われるかもしれないし、もしかすると【輝鋸石】の発見者として俺が記録されていることで向こう側からアプローチがある……かもしれない。
「そこは【検証班】とか【裏の人脈】でも分からないんじゃないかしら?
でも希望はありそうよね」
とりあえずフラグは立てておくに限るからな!
頼むぞ……っ!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】