1776話 もげ!もげ!もげ!
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【虫眼鏡踊子】と一緒に岩山エリアの堅牢剣山ソイングレストで【輝鋸石】という鉱石を探していたな。
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
昨日の別れ際に【虫眼鏡踊子】と約束していたので引き続き一緒に捜索することになっていた。
「連日【包丁戦士】ちゃんとお散歩出来て嬉しいわ~!
色々とお話しちゃいましょ!」
こいつ、完全に捜索するよりも俺との会話をメインにしてきてるなっ!?
わざわざ俺が一緒に探してやるんだからある程度は真面目に探してくれよな。
一応俺の方が部外者なんだし……
「あうっ……【包丁戦士】ちゃんに痛いところ突かれちゃったわね……
でも本当に興味はないのよ……
面白くなるような話を【包丁戦士】ちゃんがしてくれたらお姉さんヤル気満々になっちゃうかもしれないけど?」
何のヤル気が上がるんだ……?(困惑)
妙に視線に熱が籠ってて若干背筋から冷や汗が流れてしまったぞ……
とりあえず俺は歩きながらもある程度は岩壁を削れるようなもので進んでいくか。
ただ、俺のチュートリアル武器の包丁は岩壁を削るのに向いてないからな……
「それは虫眼鏡も同じよ。
でも、【包丁戦士】ちゃんが削るってなると……スキルでも使うのかしら?」
俺のスキルだと適度に削れそうなものは中々無いな……
効果時間が短いか、【魚尾砲撃】のような明らかに削りすぎて落盤を起こしてしまいそうなものだ。
そうなると生き埋めになってしまうことだろうよ。
今後の活動にも支障が出そうだし、それは流石に避けたい。
「それならどうするのかしら?」
俺には最近手に入れた【失伝秘具】があるこれを使うのだ。
俺は【虫眼鏡踊子】に説明しながら角の首飾りを取り出した。
読者のみんなは覚えているだろうか、これは【失伝秘具(童話礼装)】の【恋慕戦場の怪物ー蛇馬魚鬼】……この前の次元戦争で【ロイス=キャメル】が厄介払いするかのように俺に押しつけてきたものだ!
これを俺の首にかけると……
「あら、【包丁戦士】ちゃんの腕が怪物みたいになっちゃったわ!?
また新しい深淵の力かしら?」
おあいにく様だが、これは深淵に関係してないんだよな。
だが、この腕で岩壁を削りながら進んでいけばいい感じになるかもしれない。
ほら、この通り……
「岩壁がクッキーみたいに砕けたわね……
相当攻撃力が上がっているみたいだけど、範囲は広くないから坑内で使うにはちょうどいいわね」
というわけで怪物腕で岩を砕きながら【虫眼鏡踊子】と進んでいっている。
この怪物腕はスキルとの相性は悪いが、その分ステータスは上がっているからこういう時に使いやすいな!
「本当に軽々と砕いているわね……
見ていて爽快感があるわよ!
なんというか……暇な時に流していると落ち着く動画と同じ感じね」
破壊系の動画でも見てるのか……?(困惑)
色々なものを壊していくだけの動画とかもあるみたいだからな、多分だがそれと重ね合わせたのだろう。
……それにしても岩を砕きながら歩いているからか、俺たちが進んだ後には砕けた岩の残骸が足元にボロボロと落ちていっているな。
帰り道を歩いて戻るなら大変だ!
まぁ、普通にログアウトするんだが……
「あれは【クシーリア】に片付けてもらおうかしら。
【大罪魔】に使われていた時の影響でそういう作業も効率よく出きるようになったった呟いていたのを聞いたわ」
中々強かな使い方だな……
それ、絶対本人としては不服だったから出た呟きだろ。
俺は【クシーリア】とはあまり接点がないから知らないが。
……んっ!?
そんなことを話していたら俺の怪物腕で砕けない岩に激突して腕が後方に持ってかれてしまったぞ!?
俺の腕が捥げたっ!!
「あらっ、【包丁戦士】ちゃんの腕が取れちゃったわ……
持って帰ろうかしら」
こらこら、勝手に人の腕を持ち帰ろうとするな!
それに、時間経過で消えるんだからそんなことをしても無駄だぞ?
「あら、残念ね……
さて、【包丁戦士】ちゃんの岩を軽々と砕いている腕に耐えられるものをぶつかったってことは……
……あっ、やっぱりあったわ【輝鋸石】よ!
【包丁戦士】ちゃんのお手柄ね!
この【失伝秘具】があれば一歩前進よね!」
ちょっと待て!
【輝鋸石】って【失伝秘具】だったのかよ!?
ただの鉱石じゃなかったのか……
「あら、言ってなかったかしら?」
【虫眼鏡踊子】は頭に手を当ててペロリと舌を出して惚けていた。
これは確信犯だな!?
いい気味です。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】