1775話 輝鋸石の噂
【Raid Battle！】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン！
昨日は岩山エリア堅牢剣山ソイングレストでクラン【冒険者の宴】の幹部の【ブーメラン冒険者】と【短剣探険者】、そしてクラン【紅蓮砂漠隊】の幹部【バグパイプ軍楽隊員】と会ったな。
何やら石を探しているみたいだが、誰も俺に具体的にどんなものを探しているのかとか、何に使うのかは教えてくれなかった。
それくらい【風船飛行士】による俺への警戒が強いのだろうが……
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト！
昨日に引き続きここをうろうろしていると、猫耳の赤色チャイナ服を着た女……【虫眼鏡踊子】と遭遇した。
こいつはクラン【紅蓮砂漠隊】に属していながら、クラン【冒険者の宴】のリーダーである【風船飛行士】の彼女という謎の関係性を持っている女だ。
ここで会えたのは……これは渡りに船だな！
「あら、【包丁戦士】ちゃんじゃない！
こんなところで会えるなんて嬉しいわ！」
そう、この【虫眼鏡踊子】は俺への対応がベタ甘なのだ！
まるで年の離れた妹に接するかのような甲斐甲斐しさを感じるが……これは完全に俺の年齢を勘違いしてるよな。
……まぁ、それを利用してこれまで役得してきたのだから今さら訂正するつもりもないし、これからも利用させてもらう。
同じクラン【紅蓮砂漠隊】の【バグパイプ軍楽隊員】とは俺への対応が天と地くらい差があるのはギャップで底冷えしそうだ。
それで【虫眼鏡踊子】は何を探しているんだ？
散策ついでに手伝ってやろうか？
俺は善意を装ってしれっと【虫眼鏡踊子】から情報を抜き取る方針に切り替えた。
【冒険者の宴】の双子というあてが外れた今、コイツしか頼れそうなやつが残ってない。
「うーん、そうね……
それだったら【輝鋸石】っていうものを一緒に探してもらおうかしら。
この堅牢剣山ソイングレストの中にあるのは分かっているんだけれど、中々見つからないのよね……」
キタコレ！
だが、きのこいしって食べ物なのか石なのか分からないな……
どんな見た目なんだ？
「岩とか石に生えている……茸みたいな鉱石みたいよ。
私も見たことないからあくまでも聞いた情報ね」
そんな変な鉱石があるのか……(困惑)
ただ、それくらい特徴的な鉱石ならすぐに見つかるんじゃないか？
「そう思いたいけど、歩いているだけで見つかるのか分からないのよね。
クラン【冒険者の宴】はその形で岩の中にあると考えていて、採掘しているみたいよ。
【バグパイプ軍楽隊員】も同じ方針で採掘してるみたいだけど、私はそこまでして見つけようと思ってないのよね……
リーダーの強化に繋がるから協力はしたいけど、いまいちモチベーションが上がらないのよ」
なるほどな。
採掘とか鉱石にあまり興味がないってことか。
だからこそ、外部の俺もしれっと秘密裏に協力させたってことか。
まあ、今日は暇だし手伝うけど。
「この岩山の坑内は【大罪魔】と【クシーリア】が一時期大開拓をしていて、色々なルートが出来たみたいよ。
だから迷路みたいになってるから気をつけて一緒に行きましょう」
そう言って【虫眼鏡踊子】は俺と手を繋いできた。
こいつ、絶対それを言い訳に俺と手を繋ぎたかっただけだろ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
