1774話 【包丁戦士】警戒鉱山
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【検証班長】のところで蛇腹剣次元プレイヤーの移籍について話していたな。
これまでと違う環境に身を置くことになった蛇腹剣次元プレイヤーたちがそれによってどう変わっていくのか気になっていたようで、だからこそ新規クランメンバーを募集していたというわけだ!
色々と逞しいやつだよな。
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
ほのぼの市場をここ数日ブラブラしていた時に、ソイングレストで何やらクラン【冒険者の宴】や【紅蓮砂漠隊】の幹部連中がまとまって動いているという噂を聞いたからな。
それもあって実際に【風船飛行士】に会いに行ったのだが、新規クランメンバーの面接で忙しいという話しか聞けなかった。
だが、それと堅牢剣山ソイングレストで暗躍しているのとは別の話がする。
多分だが1547話で【風船飛行士】が言っていた鉱人系のユニーククエストを進めているんだろうか……
「あっ、【包丁戦士】さんっ!
こんなところで奇遇だねっ!」
「久しぶりダヨ~」
まず会ったのは双子プレイヤー【ブーメラン冒険者】と【短剣探険者】だ。
何をしているんだ?
「何か【風船飛行士】リーダーに石を探してこいって言われたんだよっ!」
「地道に採掘してるヨ」
なるほどな。
ちなみにどんな石なんだ?
「それは……【包丁戦士】さんには言わないようにって命じられてるから言えないんだよっ!」
「【風船飛行士】リーダーが【包丁戦士】さんを警戒してたカラネ……」
ちっ、こいつらにも【風船飛行士】からお達しが来ていたか。
あわよくば情報を漏らしてくれたら……と思っていたが、あてが外れたな。
この状態だと双子から聞き出そうとしても何も教えてくれないだろう、案外こいつらは【風船飛行士】への信頼感が強いからな……
仕方ないので他の連中を当たるとしようか。
「げっ、【包丁戦士】……
こんなところで会うなんて俺の運も尽きたか……」
さっきの双子とは真逆で、俺との遭遇を心底嫌がっているのはクラン【紅蓮砂漠隊】の幹部の一人……【バグパイプ軍楽隊員】だ。
こいつは基本的に俺への嫌悪の感情を隠そうとしていない素直なやつだ。
「……で、俺をキルでもするのか?
狂人はいつもそうやってプレイヤーキルしてるって聞いてるぞ」
まあ、そうする時も結構ある。
だが生憎今日はそういう気分じゃないからな。
お前はここで何してるんだ?
「ん?
俺か?
クラン【冒険者の宴】と共同で石を掘ってるんだよ。
砂漠、海ときて次は鉱山での活動とは驚いたし、【トンカチ戦士】リーダーは何で【風船飛行士】の口車に乗ったのか……
俺としては機戒種族レイドボス討伐路線に重点を置いて欲しいんだが」
それは前に海エリアにいた時も似たようなこと言ってたな。
何でそこに拘ってるんだ?
「やっぱり俺たちだけではじめて倒したレイドボスの系統だから、極力俺たちだけで進めてみたいって気持ちが一番強いな。
狂人は【荒野の自由】に阻まれてあんまりこっちに来れないし、ちょうどいいのもある。
お前がいるとレイドボス討伐が勝手にされることもあるから怖いんだよ……いや、本当に」
おん?
そこを警戒していたのか。
……レイドボスをしれっと倒すのには否定しないけど、まさか【バグパイプ軍楽隊員】にその点で牽制されていたとは予想外だった。
それくらい【紅蓮砂漠隊】は身内での攻略に拘ってるってことか。
「リーダーの人徳みたいなところもあるけどな。
あの人に勝たせたてやりたいっていうクランメンバーが多数だし……
だからこそリーダーがやりたいって言ったことにはとりあえず付き合ってるんだよ」
随分とお人好しの集まりのようだな。
だからこそ少数精鋭でレイドボス討伐が出来たんだろうけど。
劣化天子とは違いますね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】