1772話 選抜トッププレイヤー
【Raid Battle！】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン！
昨日は【釣竿剣士】と無限湖沼ルルラシアの状況について話していたな。
あそこも蛇腹剣次元のプレイヤーで混みあっているかなと思って顔を出したんだが、予想外に閑散としていてほとんどこれまでの光景と変わっていなかったのが印象的だった。
過疎ってる場所はやはり人が集まらないなりの理由があるってことだな！
というわけでやってきました地蒜生渓谷メドニキャニオン！
ここでとあるプレイヤーに声をかけてみた。
「ちょっwww
こんな忙しい時に【包丁戦士】が来てしまったンゴねぇwww
泣きっ面に蜂でワロエナイwww」
そう、俺が声をかけてみたのはクラン【冒険者の宴】のリーダーにして、東のトッププレイヤーである【風船飛行士】だ！
相変わらず鬱陶しい喋り方をしているが、その様子からしてかなり忙しそうな感じだな？
「そっちは暇そうでいいよなwww
オレのクラン【冒険者の宴】は蛇腹剣次元から包丁次元へ移籍してきたやつらが加入したいって次々に申請してくるからそれを捌くのに苦戦してるンゴwww
人気クランでスマンゴwww」
くそっ、俺のクランが人気ないからってここぞとばかりに自慢しやがって……
別に大して気にしてないことだったんだが、こうやって【風船飛行士】に煽られると妙に気になってくるから不思議だ。
それで、そいつらは結局加入させたのか？
それだけ希望人数がいるならかなりの大所帯になるだろ。
「零細クランには分からないだろうが、全員加入させたらクランの質が下がるンゴねぇwww
役割を果たせないクランメンバーはアリエーヌwww
面接とか、入団試験みたいなのを毎回やってるぞwww」
んおっ？
思ったよりもしっかりと選抜してクランに入れてるんだな。
【冒険者の宴】って人数が多いからわりと選り好みせずに加入させてると思ってたんだが。
「確かにオレが本当に求めてるハードルよりはかなり低めに設定してるンゴwww
その基準で選抜してたら両手以下になるゾwww
それだと勢力として小さすぎてレイドボスに挑めないからなwww
いつかは【検証班】とか【お屋敷組】、【釣り堀連盟】、そして【コラテラルダメージ】のメンバーの力を一切借りずにレイドボスを討伐するのが今のところの目標ンゴwww」
それはあれか？
クラン【紅蓮砂漠隊】に刺激されたのか？
あいつらもほぼ自分のクランメンバーだけでレイドボスを討伐したって聞いたし。
それにお前は最近あそこのリーダーの【トンカチ戦士】と色々やってるみたいだから、その話をよくきく機会も増えたんだろ。
「ただ、オレはその上を征く！
クラン【紅蓮砂漠隊】は傭兵たちの力を借りてたが、オレたちは本当に【冒険者の宴】メンバーだけで勝つンゴねぇwww 」
それは普通にいい目標だな。
……まぁ、俺は１人でレイドボス討伐したことがあるから、クラン単位クリアよりもさらに上のレベルだけどな！
俺はここぞとばかりにどや顔をしておいた。
もはや天使の笑みと言っても過言ではないだろう！
「ちょっwww
お前が天使とかクソワロタwww
悪魔の間違いだろwww
どう考えても不穏な予兆にしか見えないンゴねぇwww
……とはいえ、レイドボス単独攻略は素直に凄いが……」
最後だけ急に真面目な顔になって俺を称賛してきた【風船飛行士】。
うおっ、急に冷静になるなよ……ってギャップで驚いてしまったが、それくらいレイドボスを自分のクランだけで倒したいという野望への熱は強いのだろう。
単独で倒せたらクランに箔がつくというのもあるだろうしな！
「だからこそ、蛇腹剣次元のプレイヤーでも変なやつがいたら弾かないと後々困るンゴねぇwww 」
まあ、お前自身が変なやつではあるけどな！
「それはお前だけには言われたくないンゴねぇwww」
どっちもどっちです。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
