1768話 インバウンド到来!ほのぼの市場の危機!
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】と蛇腹剣ダンジョンに潜んでいたレイドボス【怠惰なる妖蛇女】を一緒に倒したところで終わっていたな。
色々な機能が解放されてたり、新たなスキルが解放されてたりしたが……
まずは包丁次元の環境の変化を確認するべきだろうな!
というわけでやってきました……新緑都市アネイブルにあるほのぼの市場!
ここには普段以上の活気と人混みが生まれていた!
「あっ、変態お姉さん!
包丁次元のアネイブルは活気があっていいね~!
こんなに市場にお店が並んでて、選びたい放題だよ~」
さっそく安寧村ジャバラケンから外に出ることが出来た【マキ】もここに訪れているわけだな。
そして、周りを見渡してみると【マキ】とは別行動のようだが【ネコドラ】とか【ヲ神死弖煌邪】のような俺が認知しているプレイヤーも別行動ではあるが来ているのが分かった。
俺が蛇腹剣次元のプレイヤーだったら同じ様に真っ先に来ているだろうから気持ちはよーくわかる。
ちなみに【マキ】はなんでここに来たんだ?
「だって前に変態お姉さんがこのエリアが一番活気があって楽しい場所って教えてくれたもん。
ずっと気になってたんだよ~」
なるほどな。
俺の言葉を鵜呑みにして来てくれたというわけか。
それはありがたいことだ。
だが、この混雑具合はインバウンドに呑み込まれた観光地のようになってるぞ……
出店の店主たちも手足を忙しなく動かして接客対応をしているので本当に大変そうだ……
「これがどれくらい続くのか分かりませんが、しばらくしたら他のエリアにも蛇腹剣次元のプレイヤーは分散していくと思うのでそう悲観的にならなくてもいいかもしれないよ?」
俺が現状を嘆いていると【検証班長】が会話に乱入してきた。
「あっ、【検証班長】お兄さんだ!
久しぶり~」
「これは【マキ】さん、お久しぶりです。
【包丁戦士】さんと毎回次元戦争を頑張っていると聞いてます。
次回もよろしくお願いしますね」
「わかったよ~!
うち、もっと頑張るからね~!」
なんかおれを差し置いて世間話を始めたようだが、次元の垣根がまた一つ取り払われた以上こういう機会も増えるだろうし仕方あるまい。
この交流で包丁次元のプレイヤーたちにもいい影響が出るといいな。
これまで次元戦争に一度も参加したことがないプレイヤーはこの前の蛇腹剣次元との合同公式イベントで戦った時以外に他の次元のプレイヤーとの交流はないだろうし、その機会が持てるようになるのは化学変化が起きるかもしれない。
逆に、既得権益を守ることに拘っていたり、これまで包丁次元プレイヤー同士の戦いで培ったセオリーに拘っているようなプレイヤーは没落していくことだろう。
何せ蛇腹剣次元のプレイヤーは扱うスキルがガラリと違うわけだからな!
そこの変化に対応しきれない者は時代の流れに淘汰されてしまうだろう。
【山伏権現】がわざわざ次元という単位でサーバー分けをして、今さら合流させようとしたのはこういうプレイヤーたちの振るい分けをしたかったからかもしれないな。
「それにしても、この人混みは一時的なものとはいえ大変なことになっていますね……
これで疲弊して店を閉めてしまうようなプレイヤーが出ないといいですが……
それに価格の値上げでより多くの利益を得ようとする人もいそうです。
これだけ需要が増えるなら無理をして低価格に抑える必要もないからね」
インフレの予兆というわけか。
俺は特に苦としないが、零細クランにとっては活動資金が一気に目減りしてしまうからかなりキツイ状況になってしまうことだろう。
それこそボトムダウンオンライン初期のようなチュートリアル武器だけで戦う原始的な戦い方へ逆戻りする可能性もあるな。
「ねぇ~難しい話は分からないよ~
それよりも変態お姉さんのおすすめのお店に行こうよ~」
【マキ】には早すぎる話だったか。
それなら俺がよく行くクレープ屋にでも行くか!
甘いものだし、きっと【マキ】も気に入るぞ!
「やった~!
行こ行こ~!」
そうして一抹の不安がありながらも、俺と【マキ】はクレープを味わいながら喧騒を楽しむのであった。
底辺種族【検証班長】が一人で置いてかれていますが、彼はそれでいいのでしょうか……?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】