1767話 永眠する妖蛇女
「お腹の中に入っていくのは怖いけど頑張るよ~!」
【マキ】はそう言いながら俺が切り開いた【怠惰なる妖蛇女】の中へと突入していった。
蛇の体内に入るのははじめてだろうが、何とか中腹部までたどり着いてもらいたいものだな!
「うへぇ~
なんだかベタベタドロドロしてるよ~
気持ち悪い~」
何かしらの液体、粘液などで【マキ】は苦戦しているようだ。
だが、そこの応援にかまけている場合ではない。
【マキ】を身体の外に出そうとしている【怠惰なる妖蛇女】の動きを妨害しないと俺たちの作戦がパーになってしまう。
そこは俺がサポートして【マキ】を自由に動かせるようにしないとな!
……とは言っても俺は四肢を失った状態だ。
手足を使って動くことは出来ない。
なのでこういう時は……
スキル発動!【天元顕現権限】!
俺は黄金の天子の左翼をスキルによって生やしてそれで飛び上がっていく。
腰を何とか捩らせながら飛行方向を誘導していく。
口が動くならまだスキルは使えるからな。
このまま攻撃させてもらうぞ!
スキル発動!【渦炎炭鳥】!
俺は【怠惰なる妖蛇女】の足元に赤色の魔法陣を設置し、そこから天井に向かって立ち上る火柱を発生させた!
これは効くんじゃないか?
「あっ、ちょっと!?
変態お姉さん!
中にいるうちも結構熱いんだけど~!?」
【怠惰なる妖蛇女】の中にいる【マキ】もこの火柱の影響を受けているんだろうが、そこは計算済みだ。
スキル【水流万花】でバリアを張った状態になっているからダメージは入らないはずだぞ!
「ううっ、そうだけど熱いのは変わらないよ~」
まあ、そろそろ頃合いだしと思ってな。
そんなに長時間というわけじゃないんだし、我慢しろよ!
「変態お姉さん、確かに頃合いだったね~
いい感じのところにたどり着いたよ~
ここでやっていい~?」
ああ、俺の奇策を存分に味わわせてやれ!
「スキル発動!【真名解放】!
あなたを倒すうちの蛇腹剣の真名を教えてあげる。
【修練武器上位解放】【涸沢之蛇】だよ~!」
体内で【マキ】が発動させたのは戦いが始まってから一度発動させ、途中で一度キャンセルしてもらった【修練武器上位解放】【涸沢之蛇】だった。
それによって【マキ】の蛇腹剣が再び膨張していく。
するとどうなるかわかるな?
「すごーい!
【怠惰なる妖蛇女】の中が奥までみっちりいっぱいになっていくよ~!?
まだまだ広がっていってるよ~」
そして次の瞬間、【怠惰なる妖蛇女】は体内からの膨張に身体が耐えきれず身体が四散していったのだった!
飛び散った身体は光の粒子となり消え去っていっている。
「えっ、これ勝っちゃったの~!?
うちの【涸沢之蛇】の勝利だよ~!」
【ワールドアナウンス】
【※このアナウンスは包丁次元と蛇腹剣次元全体に流れます】
【レイドクエスト【怠惰なる妖蛇女】が【包丁戦士】と【マキ】によってクリアされました】
【この次元のプレイヤーにスキル【怠惰蜷局】が開放されました】
【【安寧村ジャバラケン】への出入りが包丁次元プレイヤーおよび蛇腹剣次元のプレイヤー共に可能になりました】
【蛇腹剣次元と包丁次元のプレイヤー同士のスキル【渡月伝心】によるフレンドメッセージ送付機能が常時解放されました】
【蛇腹剣次元から包丁次元への移籍が可能になりました(移籍を選択した場合蛇腹剣次元へは戻れません)】
【その他移籍に関する注意点はヘルプに記載してありますので必ず確認をした上で移籍してください】
【レイド参加者へのアナウンス】
【レイドクエスト参加者全員が称号【【怠惰なる妖蛇女】の討伐者】を獲得しました】
【レイドクエスト参加者全員が称号【安寧村ジャバラケンの解放者】を獲得しました】
【【マキ】がスキル【修練武器超位解放】【湖奼姤之蛇】を使用可能になりました】
【個人アナウンス】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が150になりました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が151になりました】
なんか色々とまた解放されたな!?
ふふふ、包丁次元が一層潤う時が来ましたね!
これは非常に喜ばしいことです!
劣化天子よ、これからも邁進しなさい!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】