1758話 三力分立
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【フランベルジェナイト】と冒険者ギルドのダンジョンで素材集めをしていたな。
蜘蛛モンスターばかり出てくるダンジョンだったが、【骨笛ネクロマンサー】関係で蜘蛛糸を見慣れていたのもあってやりやすかった感じだったぞ!
素材もホクホクだったし、【フランベルジェナイト】の高火力殲滅も見ていて痛快だったので今回行ってみて良かったな。
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
【フランベルジェナイト】と話していて話題になった【骨笛ネクロマンサー】……現在の【キズマイナ】に会いに来たわけだ。
「そういう理由でなんとなく会いに来たんですねぇぇ!
あてぃしは今日闘技場に行くつもりが無かったのでちょうどよかったですよぉぉ!」
【キズマイナ】もどうやら今日は戦い休めの日らしい。
流石にNPCでも戦いまくりの生活は疲れるようだ。
そういえば、最近蜘蛛モンスターばかり出てくるダンジョンに潜ってて思ったんだが、【キズマイナ】は勇者の力以外のabilityの力とか、深淵の力とか以前の【骨笛ネクロマンサー】としての戦い方ってあまりしなくなったよな?
「ふひひっ、それは【包丁戦士】さんがあてぃしに前に勇者として戦うなら他の力は一旦使うのを意図的に避けるように言ったからですよぉぉ……」
あっ、あれ?
俺が言ったのか?
……確かに今の【キズマイナ】ならともかく、前の勇者の力を手に入れて制御しきれてなかった時にはその制限が明らかに必要だったかもしれない。
あんまり記憶にないが、俺が言ったのならそれが理由だろう。
だが、今ならもうある程度は勇者の力を制御出来てるだろ?
闘技場でモブプレイヤーたち相手に戦闘を繰り返していたんだからその力に振り回されることは無いんじゃないか?
「ある程度ならそうですねぇぇ!
ですが、全力戦闘はまだ経験したことがないのでどこまで力を出していいのかの最上限は把握できてないですよぉぉ!
なので、普段闘技場で戦っている力を出しながらだったらabilityと深淵の力を併用することは可能かもしれないですねぇぇ!」
あっ、やろうと思えばやれるのか。
つまり純粋に勇者だけの力だけじゃなくて、勇者スペックの【骨笛ネクロマンサー】として戦うことも可能というわけだ。
搦め手メインだった以前とはがらりと戦い方も違うから、両方出来るという情報が知れただけでも面白い気付きだな。
「ただ、まだ一度も実戦で試したことはないですけどねぇぇ!
一人でその動きが可能か試したことはありますけど、勇者としての戦い方とスペックに慣れるために使わないようにしてましたからブランクはありますよぉぉ!」
それは仕方ない。
実際、【キズマイナ】の持っている力の中でも勇者の力は一番大きなウエイトを占めているのにも関わらず全く研鑽されていない状態だったからそれを磨くのに専念するというのは最適解だろう。
それによって他のabilityや深淵の力にブランクが出るのも仕方ないだろうし、全く使ったことがないならともなくブランク程度なら少し慣らしをすればすぐに使えるようになるはずだ。
いつか全ての力を使って全力戦闘している【キズマイナ】の姿を見てみたいものだ。
「そんな相手は中々いないですよぉぉ!
いたとしてもあてぃしと同等の【上位権限】レイドボスくらいですぅぅ!
【荒野の自由】や【カニタマ】、【エルル】辺りが今はその対象ですかねぇぇ?
【槌鍛冶士】さんは全力が出せないようになってしまっているみたいですし、【菜刀天子】は限定的にしか【上位権限】の行使が出来ない通常のレイドボス相当まで格が落ちてますし、【大罪魔】は今はもうその姿もないですからぁぁ!」
まあ、言われてみるとそうか。
全力で振るう機会が無いのに研鑽を続けているのは【キズマイナ】の美徳だよな。
ふひひっ、褒めても骨しか出ないですよぉぉ!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】