1756話 イケメンエスコート
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【槌鍛冶士】に【師匠】対策のことを色々と相談していたのだが、どうやら思い当たるものがあるらしい。
だが、それを作るための素材が全く足りていないということなので俺が集めてくることになった。
ちょっと面倒くさいが、俺が欲しているものを作ってくれるというのならこれくらいの苦労は安いものだ!
というわけでやって来ました渓谷エリア……地蒜生渓谷メドニキャニオン!
なぜ今回ここにやってきたのかというと冒険者ギルドから通じるダンジョンに用事があるからだ!
ここにあるダンジョンを幾つか回って素材を集めて帰るのが手っ取り早いというわけだな。
「フェイちゃんに呼んでもらえて嬉しいよ!
クラン【コラテラルダメージ】の中でも俺がトップクラスに冒険者ギルドダンジョンへ挑戦している回数が多いから、フェイちゃんが求める素材がどのクエストを受注したらいけるダンジョンにあるのかある程度分かるからね。
きっと役に立てるはずさ!」
そう言うのはクラン【コラテラルダメージ】の二番手ポジションにいる金属鎧を着たイケメンプレイヤー……【フランベルジェナイト】だった。
【コラテラルダメージ】は活動地域がそれぞれ偏っているんだが、【フランベルジェナイト】は俺に会う前からこの地蒜生渓谷メドニキャニオンで活動しているからある意味一貫しているので分かりやすい。
「フェイちゃんのためなら何処へでも駆けつけるよ!
でも、ここなら俺の力を存分に発揮できるし、後れを取るつもりもないさ。
さあ、一緒に行こう」
そう言って【フランベルジェナイト】は二人分のクエストを【オメガンド】がいる受付で発注して、ダンジョンの入口へと突入していった。
「さっそく敵が来たよ。
これくらいなら俺一人だけで片付けられるからフェイちゃんは襲われないように離れて見ていてね」
【フランベルジェナイト】は颯爽と俺を取り残して敵へ突撃していった。
今回のダンジョンにいる通常エネミーは……蜘蛛型のモンスターだ。
ファンタジーものだと『○○スパイダー』とか言われがちな少し大きめのサイズ感だな。
巣から蜘蛛糸を飛ばして【フランベルジェナイト】を牽制してきているが、それを意にも介さず自然な動きで回避して蜘蛛本体を一刀両断してから俺の方へ戻ってきた。
他のモンスターを相手にするよりもスムーズに動けている気がするんだが、気のせいか?
「流石繊細なフェイちゃんだ!
俺は蜘蛛型のモンスター相手だとかなりやり易いんだよ。
なにせ、同じ様に蜘蛛糸を扱う【キズマイナ】……いや、【骨笛ネクロマンサー】と一緒に行動する機会がそれなりにあったからね。
蜘蛛糸がどういう目的で使われて、何処を狙って放たれるのかはそれこそ息をするように分かるようになったんだ。
【キズマイナ】に感謝しておかないとね?」
【むっ、私以外の女の人を褒めるのは嫉妬しちゃいます……】
うおっ、さっきまで俺に会話を任せていた【フェイ】が急に乱入してきたな!?
ちょいヤンデレ気質なのは俺の独占欲の強さを恋愛方面に反映させた結果なんだろうが、見ていて複雑な気分になるな……
「安心してよ。
俺はいつでもフェイちゃん一筋さ!
それを踏まえても感謝すべき相手に感謝する心は忘れないようにしないとね?」
この電波系イケメン……元が深淵種族の竜帝王【ガルザヴォーク】だったとは思えないくらい爽やかで、気持ちのいい発想してるよな……
劣化天子と関わってしまったがばかりに深淵に再び堕ちてしまいましたが、それでも次元の善行を促進する側のプレイヤーではあるのが興味深いですね。
たまに劣化天子と一緒にプレイヤーキルをしていたりしますが……それはおおめに見ておきましょう。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】