1753話 強制蛇コンタクト
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は聖獣【ゼータンパ】から【スネークスタン】という【失伝秘具】を買っていたな。
死蔵していた【失伝秘具】の【魔立半咲】を交換に出したので実質タダだったし良い買い物が出来たぞ!
機戒種族由来という来歴みたいだが、どうせ俺が使うわけじゃないからそこは気にしなくてもいいか。
というわけでやって来ました蛇腹剣次元の専用エリア……安寧村ジャバラケン!
ここで【マキ】と落ち合っていた。
「変態お姉さん、今日も来てくれたんだね~!
どうしたの~?」
お前に渡したいものがあってな。
俺はそういいながら小箱に入れてきたコンタクト……【スネークスタン】を【マキ】に手渡した。
これはお前を強化してくれるはずの【失伝秘具】の【スネークスタン】だ。
目にはめてみろ!
「これを目に入れるの~!?
何だか怖いんだけど~!?」
そうか、【マキ】はコンタクトとか知らないか。
一応リアルでも似たようなのをメガネの代わりにつけてるやつは世の中にゴロゴロいるし、安心しろ!
どれ、俺がはめてやろう!
「痛い痛い!
痛いよ~」
流石に人にコンタクトをはめた経験は無かったが、一応VRMMOということもあって目に近づけたら自動で装着されたようだ。
それでも痛覚が機能したようで痛そうだったけど。
「変態お姉さん!
急に酷いよ~
心の準備くらいさせて欲しかったもん!」
涙目になりながら訴えかけてきている【マキ】だったが、相当お怒りのようだ。
……まぁ、リアルでも勝手に強引にコンタクトレンズをつけてくるようなやつがいたら俺でも怒ると思うけどな。
とりあえず怒るのはそれくらいにしておいて、その【失伝秘具】の力を試してみてくれよ。
そのコンタクトは目にはめ込んで蛇系スキルか魔眼スキルを使うと、そのスキルに一回だけスタン効果を付与する効果があるらしいぞ!
「え~、それってうちにピッタリだ!
蛇系スキルはいっぱい持ってるから簡単に効果が発揮出来ちゃうよ~!」
そうだろう。
そのために手に入れてきたんだからな!
俺もこの【失伝秘具】を手に入れるために別の【失伝秘具】を犠牲にしたんだから感謝しろよ!
俺は【マキ】に恩着せがましくするために【失伝秘具】を質に出したことを強調しておいた。
別に失っても全く痛くないものだったが、こういう恩を売れるタイミングでより大きな恩にしておくのはある意味処世術だろう。
得られる利益を最大限にするための努力とも言うぞ!
「せっかくだからさっそく変態お姉さんにさっきのお返しをするついでに試しちゃうよ~!
スキル発動!【潜蛇影手】~!」
【マキ】が唐突にスキルを発動させ、地面を這う影の蛇を俺へと差し向けてきた。
共闘している回数が増えているから分かるが【マキ】の手の動きと連動して動くこのスキルは迎撃は難しいものの、回避は頑張れば何とかなるタイプのスキルなのだ。
とはいえ、ここで避けてしまうと【失伝秘具】の【スネークスタン】の効果を確認できないし、【マキ】の憂さ晴らしをさせておくためにもあえて避けずに受けてやろう。
感謝するんだな!
そうして影の蛇に噛みつかれると俺の身体が硬直して動かなくなってしまった。
まるで金縛りにでもあったような感じだな……
これが【失伝秘具】の【スネークスタン】による付与効果か。
戦闘中にこのスタンを受けてしまうと致命的な隙を見せてしまうことになりそうだ。
そして……
「これでトドメだよ~!
変態お姉さん直伝の袈裟斬り!」
俺の肩から腰にかけて放たれた蛇腹剣による一撃が炸裂し、そのまま身体が切り裂かれてしまった。
傷口から光の粒子が漏れ出ていき、俺はそのまま死に戻りすることとなった……
まぁ、既定路線だけどな!
そういえば【マキ】にキルされたのってはじめてか?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】