1752話 コンタクト
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】の種族やジョブについて聞き出していたな。
種族が【蛇獣人】でジョブが【パラディン】という俺にとってはどちらも初耳のものだったが、【マキ】本人の普段の戦い方に合っているもののようだ。
とはいえ、それが俺と一緒に戦ってるときに活用されているかと言われたらわりと微妙な感じだったので身の振り方を考えないといけないだろう。
というわけでやって来ました渓谷エリア……地蒜生渓谷メドニキャニオン!
ここに来るのは久し振りのような気がするな!
炊き出しとかでたまに来ていたが、それ以外の場所には足を運んでないし……
「うわわっ!?
次元天子様がおいらの店になんの用事だポン!?」
俺が来たのはタヌキレイドボスの【ゼータンパ】がやっている売店だ。
俺が来たことに慌てているがそんなに慌てることないだろ……
確かに俺はお前を一度倒してるけどさ……
ちなみに今回は普通に客として来てるぞ?
【失伝秘具】を探してるんだ。
【蛇獣人】にピッタリ合いそうなものってあるか?
「【蛇獣人】だポン?
この次元だとまだプレイヤーはその種族に誰も転生してないって聞いたポンよ?
何に使うポン?」
蛇腹剣次元のやつにプレゼントしようと思ってな。
「次元天子様がプレゼントだポン!?
天変地異の前触れかポン!?」
おいおい、そんなに驚くなって。
俺だってプレゼントくらいするぞ?
「いや、だって前の次元天子様はそういうことほとんどしなかったポン……
逆においらたち聖獣にもわりと自分へ貢がせていたポンよ」
【菜刀天子】ェ……
立場的に問題ない振る舞いなんだろうが、配下への労りがないのか?
真面目すぎるという評価を【山伏権現】から受けていたが、実務上【菜刀天子】が不要と思ったコミュニケーション面はかなり蔑ろにされていたようだな。
そりゃ下克上したり、反乱したりする聖獣も出てくるわな……
「分かってくれるポンか!
おいらとか【タウラノ】はその中でも直接的な戦闘力が低めだったから露骨に冷遇されてたポン……
そんな分かってくれる次元天子様にはこの商品を見てもらいたいポン!」
話の流れを汲んでいるのか、ぶったぎっているのか分からない微妙なラインで商品のセールスを始めてきた【ゼータンパ】。
商人ムーヴを好き好んでしているだけあってわりと手慣れているな……
「これは【スネークスタン】だポン!
機戒種族と過去に共闘した時に記念にもらったものだポン!
コンタクトみたいになっていて目にはめ込んで蛇系スキルか魔眼スキルを使うと、そのスキルに一回だけスタン効果……つまり身動きを少しだけ止められる効果を付与できるんだポン!
クールタイムがあるから当然連発なんて出来る代物じゃないポンが、手に何も持たなくても使える【失伝秘具】だから便利かもしれないポンよ!」
へー、中々面白そうな【失伝秘具】じゃないか!
【マキ】は蛇系スキルを幾つも持っていたはずだから、それらに一回だけでもスタン効果をつけられるならかなり便利だろう。
どれくらいの強度のスタンかにも依るが、戦いを優位に進めるための土台作りの一因にはなってくれるに違いない。
よし、それを買わせてもらおう。
代わりに宝物庫に何故かあった【失伝秘具】の【魔立半咲】をお前にくれてやろう!
俺には名前だけで効果が分からなかったが、【失伝秘具】マニアのお前ならきっと使い方を見つけて適任者に売ってくれることだろう?
「おいらも見たことがない【失伝秘具】だポン……
珍しいから色々と調べてみるポン!
こういうものが案外有用だったりするポン!」
そうか気に入ってくれたようで何よりだな!
【スネークスタン】もありがたくちょうだいしておくぞ!
今回は平和的交渉で終わりましたね……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】