1749話 包丁次元の強み
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【槌鍛冶士】の新作アイテムを受け取っていたな。
もらったスク水を普段の服の下に一回着込んでみたが、着た後になんかマニアック過ぎるなと思い直してとりあえず脱ぎ直した。
流石に重ね着するにしても水辺に行く前提か、戦闘をする前提のタイミングにしておこう……
悪名が広がるのは一向に構わないのだが、スク水を愛用しているという噂が広がるのは普通に恥ずかしいし……
というわけでやって来ました蛇腹剣次元の専用エリア……安寧村ジャバラケン!
ここで【マキ】と蛇腹剣ダンジョンのレイドボス【怠惰なる妖蛇女】の攻略に向けて動いていた。
次元戦争で共闘していてやはり他のMVPプレイヤーと比較すると力不足の【マキ】。
そんなパジャマロリの素のプレイング技術を上げるのは普段の特訓でやるとして、それとは別に新たな力……スキルや【失伝秘具】などを手に入れさせるためにも共闘して挑めるレイドボスを倒すのが手っ取り早いと思ったわけだ。
特にここのレイドボスは【マキ】を成長させた姿のような見た目だから、きっと相性が良いパワーアップが出来ると見込んでいるぞ!
「あのレイドボスはうちに似てて戦いにくいよ~
しかも成長した姿だからズルい~!」
ただ成長させただけじゃなくて異形化してたけどな。
人馬一体……ではないが人蛇一体となったレイドボスなのでかなりトリッキーな戦い方を強いられることだろう。
それは前にメインで戦った【マキ】が一番分かってると思うけどな?
「そうだね~
一体のレイドボスと戦ってるはずなのに二体同時に相手にしている感じだったよ~
何だか不思議な感じだった!」
【マキ】は率直な感想を述べてくれたが、俺にとってはそこまで不思議な感じではない。
何故なら包丁次元では聖獣と深淵種族が混ざったようなレイドボスとこれまで何度も対峙することがあったからな!
特に【ジェーライト=ミューン】なんてまさに今回の目標である【怠惰なる妖蛇女】と同じ様に上部と下部が別々の意思をもって動けるタイプのレイドボスだったから、俺としては慣れてるまであるぞ!
「そうなんだね~!?
変態お姉さんって変な経験が多いんだ~
頼りになるね~!」
それは褒められてるって認識でいいのか?
「褒めてるよ~」
若干目が泳いでいる気がするんだが……まぁ、いいだろう。
実際、一緒に挑むとなれば俺の経験が活きてくる場面が少なからずあるだろう。
流石にレイドボスとしては別の種類だから攻撃パターンとかはあてにならないが、その場その場での対処はできるはずだ!
「そこは頼りにしてるよ~!
うちは多分翻弄されちゃうからね」
慣れてないとそうだろうな。
実際、包丁次元が一番はじめのレイドボス討伐が他の次元と比べて遅かったのはこの辺りも要因として絡んでいると思っていた。
だからこそそういったレイドボスとの戦いの経験がない【マキ】では慣れるまでかなり苦労することだろう。
この辺の慣れという意味では包丁次元の第1、2陣プレイヤーたちの方が軍配が上がるくらいには包丁次元での強制エンカウントで鍛え上げられているぞ!
「そんな相手と戦わないといけなかった包丁次元がかわいそうだけど、だからこそ一位になり続けられてるのかもね~!」
その観点は無かったが、可能性として無いことはないだろうな。
実際、一番【ジェーライト=ミューン】と戦っていた俺が皆勤賞で次元戦争に参加して勝ち続けられているんだから全く因果関係がないとは言えない。
研鑽を積んだ時間とその努力は認めましょう。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】