1748話 魅惑の新衣装
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【釣竿剣士】と次の次元戦争についての方針を考えていたな。
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルにある拡張エリア……の【槌鍛冶士】の鍛冶場!
スキル【渡月伝心】によるメッセージ送信機能で俺に【槌鍛冶士】からのメッセージが届いていたので赴いたというわけだ。
俺が【渡月伝心】で会話できる相手はabilityの影響でかなり限られているし、使う先がほとんど【槌鍛冶士】ばかりになっているから過去の履歴を見ても【槌鍛冶士】の名前ばかり並んでいて変な気持ちになるな……
「ガハハ!!!
また次元戦争に勝ったようだな!!!
相棒が変わらず活躍してくれているのはワシも嬉しいぞ!!!」
豪快に笑って俺の勝利を称えてくれているのは少し照れくさいが、その言葉は素直に受け取っておこう。
それで今回俺を呼んだのは例の製作物が完成したからだな?
「そうだぞ!!!
【アキカゼ・ハヤテ】というプレイヤーと会ったという【邂逅次元 海光カイコウ海溝】で見つけてきた素材でお前の言うようなものを作ってみた!!!
実際に機能するか試していないが、おそらく大丈夫だろう!!!」
そう言って手渡してきたのは……水着だ!
しかも学校で使うようなもの……いわゆるスク水だな。
ガチムチのおっさんから渡されると犯罪臭がプンプンするが一応水着というジャンル自体は俺がリクエストしたものだ!
とはいえスク水を指定したわけじゃないけど。
とりあえず控え室で着替えてきてみたぞ!
サイズぴったりだな!
「ガハハ!!!
似合っているぞ!!!
ワシが見込んだ通りだな!!!」
そ、そうか……
俺にはよく分からないが、恥ずかしいな……
「あれだけの素材を水着にしたいとは途中でリクエストが送られてきた時には驚いたぞ!!!
確かに素材の適性から海エリアに使用するためのものが作れると予想してお前に伝えておいたがな!!!」
そう、【槌鍛冶士】が素材を分析した結果海エリアで使用すると効果を発揮するものになるとのことだった。
武器や道具も考えたのだが、海にそんなに持ち込んでも邪魔になるだけだと考えたので身につけるタイプの衣服……つまり水着にしたというわけだ。
「この生地に無理矢理鉱石やレイドボスの素材を鍛冶で打ち込んで練り込んだのだ!!!
外部からの攻撃でも見た目では分からないほど強固な防御力だぞ!!!」
なるほどな!
それならいつもの服の下に着込んでおくか……
下着のようなものと割り切ってしまえば純粋に防御力も上がるし、海でも活動出来るようになるから良いこと尽くしだ!
というか生地に鉱石とかレイドボス素材を打ち込んで練り込むってどんな技術なんだ……?
普通に考えてスク水が破れそうな気がするぞ!?
「ガハハ!!!
そこはワシの技術と経験でなんとかしたぞ!!!
お前に着心地の悪い水着など着て欲しくないからな!!!」
流石相棒!
配慮が行き届いているな!
ちなみに、このスク水の機能を他にも教えてほしい。
どうせまだあるんだろ?
「お見通しだったか!!!
まずは海中での呼吸と移動の補助機能だ!!!
この水着を着ている間は無制限で海中でも呼吸が出来るようになるぞ!!!
移動は水の抵抗を幾らか軽減してくれる!!!
海中での戦闘を見越してこの辺りは抜かりなくエンチャントしておいたぞ!!!」
おおっ、それは助かる!
呼吸も水の抵抗も海中行動の懸念点としてずっと問題視されていたからな!
まあ、俺が海エリアのレイドボスに挑むことってほとんどないと思うがあって困ることはないだろうよ。
やっぱり【槌鍛冶士】は期待以上の仕事をいつもこなしてくれるから信頼できるな!
相棒、これからも頼むぞ!
ガハハ!!!
万事ワシに任せておけ!!!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】