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1729話 狂人のお茶会

 というわけで、とりあえず【ロイス=キャメル】と協力してレイドボスを倒してくれそうな【アリス(仮)】を見つけたので、こいつを護衛しながらステッキ次元を見つけようと思う。

 ただ、条件がある。



 「条件……なのら?」

 【気になるわね】



 なに、今すぐ行ってもパイルバンカー次元とステッキ次元の争いに巻き込まれるだけなのがオチとして見えているからな。

 ジャバウォック……つまりレイドボス【恋慕戦場の怪物ー蛇馬魚鬼】が登場してから合流しなくてはならないってことだ。


 流石にレイドボスが出てきたら内輪揉めをしている余裕が消し飛ぶので、いざこざに巻き込まれる危険性がグッと減るだろうという算段だ。



 【あら、まだ待たないといけないのかしら?

 退屈だわ……】



 いかんいかん、いざこざばかり気にしているとNPCの好感度が落ちていっているな……

 スタートがフラットな状態だったから、そこからマイナス要素が出てくるとすぐに悪印象になってしまう。

 それはいただけないな……

 すぐに出発できない以上、あらかじめ何か好感度を稼いでおかなければな!



 「【包丁戦士】しゃん、それならお得意の料理しかないのらよ!

 アリスといえば気違いのお茶会なのら!」



 あぁ、そういう……

 帽子屋と三月ウサギが参加していたやつだな。

 ……その組み合わせだと本来紳士姿の【ロイス=キャメル】が適役なのだが、ここにいない以上俺が代役を務めるしかないだろう。

 

 ちょっと待ってろ、民家にあった食器と食材で簡単なお茶会をひらいてやろう!



 【お茶会?

 退屈な時間をただ過ごすよりは良さそうね】



 【アリス(仮)】も満更では無さそうな表情なので【ペグ忍者】の提案は良かったようだ。

 ナイスフォローだ!

 そして、ナイスフォローついでにテーブルとかイスを村の真ん中に集めてお茶会の会場セットをしておいてくれ。


 流石に料理しながらそこまで手を回すのは俺でも大変だからな!

 おい、モブプレイヤーたちも手伝え!

 雑務だ!



 「えっ、俺たちもアリスちゃんと同伴出来るのか!」

 「プレイヤーキラーのくせに料理が上手いと噂だったが、ここでご相伴にあずかることがてきるとは」

 「【包丁戦士】の料理楽しみ過ぎる」

 「不思議の国のアリスのお茶会再現をまさかアリスコスチュームの女の子と出来るなんて……

 これは夢かしら!?」

 「確かにテーマパークでも中々体験できないシチュエーションだ」

 「今、一番【包丁戦士】についてきて良かったと思ったわ!」

 「はじめに【包丁戦士】陣営から離れた連中、アホです」

 「椅子、探してきます!」



 そしてモブプレイヤーたちのモチベーションが過去一番に高まって来てるな!

 やはり【アリス(仮)】がいることと、お茶会再現なのと、俺がたまにしかモブプレイヤーたちに提供してなかった料理を食べられるという要素が積み重なった結果だろう。


 流石にお茶会と言いながら、【アリス(仮)】を一人で食事させるわけにはいかないからな!

 ここは素直にモブプレイヤーたちで人数をかさ増しして賑やかにしておくのが吉というものだ。

 寂しいお茶会なんて開催してしまったらそれこそ好感度は下がってしまうだろうし、ここは労力を費やすところだろう。





 というわけで、簡易アフタヌーンティーセットを人数分作ってみた。

 モブプレイヤーたちが集めてきた机や椅子の前に行くと、テーブルクロスもきちんと敷いてあった。

 


 「あっ、オレが見つけてきました!

 どうっすか、花柄でいい感じの見た目のテーブルクロスっしょ!」



 おっ、いい仕事をしたモブプレイヤーがいたようだ。

 褒美にデザートを一品追加してやろう。

 料理は料理そのものだけじゃなくて調度品や周りの雰囲気も評価に関わってくるからな!

 こういう細かいところも侮ってはいけないのだ!



 ちなみに、ケーキスタンドは無かったので平皿に横並びにして配膳していった。

 本当はせっかくのアフタヌーンティーだからそこも拘りたかったんだが、無いものは仕方ない。

 


 「うおっ、これが【包丁戦士】の料理……

 次元戦争のフィールドでケーキとかクッキーとか焼けるって生産プレイヤーとしての腕も本当にあるんだな」

 「でも味がいいとは限ら……うまいっ!」

 「普通に店で食べたことあるやつよりもうまいんだが……」

 「どうして狂人になってしまったんだ、普通に料理人プレイしてくれてたらよかったのに」

 「悔しい……でもうまみ感じちゃう!」

 「プレイヤーキラー飯ってわけか」

 「俺、女の子の手料理食べられて感激なんだが!!!」

 「早まるな、相手は【包丁戦士】だぞ!?」



 【ふぅん?

 中々美味しくて賑やかなお茶会かしら!

 私も気に入ったわ!

 あなた、見どころがあるじゃない】



 【アリス(仮)】もご満悦のようだ。

 時間稼ぎのお茶会だったがモブプレイヤーたちもリフレッシュ出来たし、【アリス(仮)】の好感度も稼げたし一石二鳥だったということにしておこうか!




 貴重な料理人プレイシーンですね。

 こうやって普段から徳を積んでいれば良かったものを……

 

 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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