表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

170/2237

170話 その理由

 【グゴゴゴゴゴ】


 そんな呻き声をあげているのは、俺たちの目の前にいるレイドボスだ。


 「えっ、なにあれ何あれ~

 気持ち悪いよ~」


 パジャマロリがレイドボスの【ケイトリー=ホウセ】の姿を見て、この時点で戦うのを嫌がっている。

 こいつ、俺が【深淵顕現権限】でジェーの尻尾を見せた時も同じこと言ってたよなぁ?

 ……メンタル弱すぎないか。


 レイドボスは全身赤色のスーツみたいなものを着ているどう見てもキワモノなやつだが、それ以上に凄いのは、頭が何かの被り物をしているかのような感じになっているのだ。


 具体的に言うなら、顔より大きい赤色の毛糸玉をそのまま被っている感じだ。

 綿密な毛糸のような繊維がぐるぐると回っているのが不気味さをさらに際立てているぞ。

 だが、これをただの被り物と考えると痛い目を見そうだから気をつけよう……

 このプレイヤーに人権のないゲームで楽観視はすぐ死に繋がるからなぁ……


 「どんな相手でも倒せるなら挑むだけです。

 当然ですよ、生産プレイヤーなら!」


 ヤル気満々の【釣竿剣士】、こいつは全く心配してない……というよりめっちゃ頼りにしてるから頑張ってくれよ!

 

 「さて、リベンジといきましょうか。

 ボクをメッタメタにしてくれたお礼を倍にして返してあげよう!」


 【検証班長】にとってはこれが【ケイトリー=ホウセ】との2回目の戦闘だからな。

 今回は情報を持てるだけ持ってきたから、本来の司令塔としての役割が期待できそうだ。


 マックスやインフォは静かに闘志を高めているようだ。

 えたいの知れないやつらだが、次元戦争に来てるくらいだから、それなりに役立ってくれないと困るぞ!







 【ケイトリー=ホウセ】はさっそく攻撃を仕掛けてきた。

 指先から赤色のワイヤーをこっちに向けて伸ばしてきた。

 なるほど、ワイヤー使いってのは本当のようだな?

 しかも【ペグ忍者】とは違って、ペグを介してではなくメインで使ってきている。


 「うわっ、うちを狙ってきたよ~

 気持ち悪い~」


 赤いワイヤーはパジャマロリを狙ったものだったが、パジャマロリが身体を横に動かし回避することで直撃を免れた。

 だが、【ペグ忍者】がやってきた攻撃を思い返してみると、ここで攻撃が止まるとは思えない!!


 俺はパジャマロリに向けて駆け出した。


 「えっ?

 変態お姉さん、いったいどうしたの!?」


 【グオオオオオオ】


 そして、俺がパジャマロリの横にたどり着いた瞬間、俺の眼前には【ケイトリー=ホウセ】の姿が超近距離で映し出されていた。

 ……やっぱりかよ!


 俺はパジャマロリに向かって撃ち込まれようとしていた【ケイトリー=ホウセ】の拳を包丁の腹で受け流してパジャマロリを間一髪守ることに成功した。

 あっぶな!?


 回避されて壁に撃ち込まれた赤いワイヤーを縮ませることで、爆発的なスピードでの移動を可能にしたんだろう。

 【ペグ忍者】がたまにやってきていたからもしやと思ったが、こいつもおんなじことをしてくるってわけか。

 

 まあ、俺の十八番である包丁の腹での受け流しでなんとかなったから良かったが……


 「変態お姉さん助かったよ~

 あんな攻撃を対処できるなんて流石はMVPプレイヤーだねっ!」


 変態お姉さんという呼び名が本当に不服ではあるが、称賛は本物みたいだし素直にその言葉を受け取ってやろう。


 「この隙に私が行きます!

 釣竿一刀流【抜刀斬】です!」


 【釣竿剣士】がレイドボスの攻撃後の硬直を狙って得意の釣竿一刀流を放つ。

 釣竿一刀流【抜刀斬】は釣竿でやる居合い切りみたいなものだ。

 初動でのスピードが保証されている技術だからこの局面で使ったのだろう。


 だが、【ケイトリー=ホウセ】に攻撃が当たることはなかった。

 前方に出しているワイヤーを切り離し、もう片方の手を後方に向けてワイヤーを放ち、接近してきたときの要領で一気に間合いをとられてしまった。


 こいつ……レイドボスの癖にプレイヤーみたいな動きをしてくるな……

 今までの獣タイプのレイドボスが得意だったプレイヤーでも、こいつと戦うときはまた違う立ち回りが要求されるだろう。

 そもそもサイズ感が全然違うし。


 今まではサイズが巨大で、言ってしまえば大人数でテキトーに攻撃してもなんだかんだ攻撃が当たったりていた。

 だが、この【ケイトリー=ホウセ】は人型で、サイズが俺たちと同じだ。


 何を言いたいのかというと、みんなで一斉に攻撃するとフレンドリーファイアの可能性がめちゃくちゃ高い。

 これはアークエンジェルナイトと戦ったときのように、補助を多めにして前線メンバーを絞るのが良さそうだ。


 「大方、ボクも同じ意見ですね」


 「それならうちと変態お姉さんが前に出ようよ~!

 うちの蛇腹剣もそろそろ遊びたがってるしっ!」


 「私が前に出ようと思っていましたが……

 いえ、補助としての経験をここで積むのも今後の参考に……?

 わかりました、今回は下がりましょう」


 「あっ、インフォは戦力外だからその辺で寝ててね~

 マックスも装備作成の続きしてていいよ~」


 ちょっ!?

 蛇腹剣次元の動きテキトー過ぎないか!?

 俺たちと底辺順位で争っている理由もなんとなく分かるかもしれない……









 あの……レイドバトルなのですが……?


 【Bottom Down-Online Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 蛇腹剣次元の2人は本物の生産職ですね 生産職は普通戦闘しないはず [一言] 初見殺しの速攻ですか ここから検証班長が上手く指示出来るかですね 対人と似た感じですから闘技場の経験が活きます…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ