表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/2236

168話 情報のコラボレーション

 「次は……【釣竿剣士】さんだね。

 その本で何に気づいたのかな?」


 【検証班長】が【釣竿剣士】を指名して話を次に進めようとしている。

 

 「私は、屋敷内に流れていたマグマで、釣りをしていたら釣れた溶岩魚というものについての本を読んでました」


 その言葉を聞いて蛇腹剣次元のプレイヤーたちはめちゃくちゃ驚いている。

 俺もマグマで釣りをしたって聞いたときは同じくらい驚いたから、気持ちはよーくわかるぞ。

 どう考えても一般人の思考じゃないからな。

 というか普段から【釣竿剣士】の思考回路は意味不明だけど。


 蛇腹剣次元のプレイヤーたちの中でも特にパジャマロリが一番分かりやすいリアクションで驚いていた。


 「ええっ!?

 マグマで釣りをしたの~?

 そんなところに近づいたら暑すぎるよ~!

 暑すぎると寝汗で、気持ちよく寝れないからうちは行きたくないよ~」


 いや、マグマに近づくと暑いから行きたくないって理由はまだわかる。

 だけど、基準が寝ることっていうのがこれまた一癖あるな。

 普段着がパジャマだから、初対面でパジャマロリはだらしないか眠たいのかの二択くらいまで特徴を絞れるが、こいつは睡眠欲おばけか。

 今度俺のベッドの横で寝させてやるか!


 「包丁次元に行けたら考えておくよ~」


 うーん、うまくはぐらかされたな。

 残念(?)


 「すぐ話を脱線させようとするのは【包丁戦士】さんの悪い癖ですよ。

 これ以上話が横道に逸れる前に【釣竿剣士】さんは続きをどうぞ!」


 完全に議論が停滞する前に、【検証班長】が待ったをかけて元の話題に戻していく。

 こういうのは助かるよな。


 「溶岩魚ですが、どうやら鱗とかを使って装備やアクセサリーを作るのに適しているみたいですよ?

 赤く光る性質と、頑丈さが素材としての有用性を示しているとかなんとか書いてありました。

 私なら何匹でも釣れそうですが、肝心の加工は全く出来ないんですよね……

 生産プレイヤーでも分野以外だと無力です……」


 心底悔しがっている表情を浮かべている【釣竿剣士】。

 生産プレイヤーとしての誇りを異常と思えるほど持っているからこそ、釣り以外で自分が出来ないことがあるという事実に悔いているのだろう。


 ……まあ、そこは生産の方向性の違いだし、あまり気にすることはないと思うぞ。

 お前が出来ないことは他のプレイヤーに頼ればいいんじゃないか?

 何も、無理してまですべてのことを自分一人でこなそうとする必要はない。

 相互扶助も生産プレイヤーなら当然だろう?


 「……!?

 まさか【包丁戦士】さんに生産プレイヤーとしての心得を教わることになるとは思っていませんでした」


 いや、そんなに驚くなよ!

 俺も生産プレイヤーなんだから別に一言二言くらい言ってもいいじゃん!


 「いえ、別に言ってはいけないとまでは口にしてないですが……

 でも、その通りですね。

 得意なことは得意な人にやってもらえればいいのはシンプルな考え方ですけど、生産的です。

 というわけで、この中に鍛治や細工が得意なプレイヤーはいますか?」


 ……俺は全然できない。

 俺がそういうものを必要としたときはいつも【槌鍛治士】にやってもらってたから当然だろう。

 

 そして、【検証班長】も俺の視線に気がついたのか、首を横に振ってどっちも出来ないことをアピールしている。

 【検証班長】がこれで実は鍛治か細工の才能があるって言ったら完璧超人過ぎて逆に怖くなってくるくらいだから、正直ホッとした。


 そんなことを考えていると、パジャマロリが声をあげた。


 「あっ、うちの次元のメンバーで鍛治が得意なプレイヤーがいるよ~!

 それがこのマックス!

 マックスは鍛治系の生産プレイヤーだから、溶岩魚も加工できるんじゃないかな~?」


 その発言を聞いた【釣竿剣士】はおもむろに溶岩魚を懐から取り出し、ガチムチプレイヤーのマックスに手渡した。

 唐突に手渡されてさぞびっくりするだろうと思っていたが、マックスは溶岩魚をあらゆる角度から観察して、一回頷くと溶岩魚を持ったまま隠し部屋の外へ出ていった。


 「あっ、オッケーみたいだよ~!

 しばらくしたら何かしら出来てるだろうから、気長に待っていようね~」


 あれはオッケーの合図だったのか。

 いまいち反応に困る仕草だったが、まあ、結果として何か作ってくれるのなら問題ないか。

 

 「待っている間に次に進もうか。

 次は【包丁戦士】さんだね。

 どんな情報がその本に書かれていましたか?」


 俺の本に書かれていたのは、レイドボスが溶岩魚をどうしても焦がせなかったという記述が書いてあったな。

 溶岩魚って実はレイドボスの天敵なのかもしれないってことだ。


 「なるほど、つまりマックスさんが作る装備次第ではレイドボス特効のものになる可能性があるということですか。

 これは、面白いですね。

 【釣竿剣士】さんの見つけた情報と、【包丁戦士】さんの見つけた情報が奇跡的に組み合わさって大きな意味を持つものに昇華したということですから、包丁次元の相性の良さがここで出てきましたね」


 なるほど、その考え方はなかったな。

 うんうん、いいじゃんいいじゃん!


 「それで最後にボクがかき集めた情報ですが……」


 うんうん。






 「レイドボスの行動パターンがほとんど読めるようになったかもしれません!」


 !?!?

 なんか【検証班長】、凄いこと言ってるぞ!?











 やはりこの底辺種族【検証班長】というプレイヤーは要注意ですね……

 下手をすると【荒野の自由】よりもこちらを警戒した方がいいのでしょうか……

 悩ましい……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 包丁次元の仲間らしく 互いの情報が噛み合ってますね [気になる点] マックス前は瞬殺されてしまったけど 今回はかっこいいところを見れそうですね [一言] 検証班長さすがっすね 攻撃パターン…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ