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165話 探索の成果【検証班長】

 「次はボクの持ち帰った情報だね」


 順番を見計らっていた【検証班長】が口を開いた。

 溶岩魚の料理とかで話が完全に中断されていたから、その雰囲気を壊さないようなタイミングを狙ったのだろう。

 流石は人の上に立つ才能を持つ男だ。


 「毎回思うけどなんで【包丁戦士】さんはそこまでボクを持ち上げるのか気になりますね……?

 いや、評価されてるのは素直に嬉しいですけど。

 ……ボクが持ち帰った情報は、レイドボスのいる部屋の場所だよ」


 【検証班長】は俺の言葉に照れて頭を掻きながらそう告げた。

 ……どうやら俺の持ってきた情報と被っているようだな。

 俺もレイドボスのいる部屋を見つけたぞ?

 炎の扉が入り口のレイドボスだよな?

 他の次元のやつと炎の扉を力押しで突破して中を確認したんだが、【炎上屋敷の怪主人】っていうレイドクエストの名前しか確認できなかった。

 なにせ部屋に入った瞬間、物凄い熱気で死に戻りしたからな。

 あれは何かしらの対策を万全にしないと耐えられないだろう。

 でも、【検証班長】ならあの扉の攻略方法をもう思いついているんじゃないか?

 なんたって包丁次元のブレインだからな!



 【検証班長】の口を休ませるために俺が代わりに話す。

 

 すると、【検証班長】が怪訝そうな表情を浮かべて話を続ける。


 「???

 ボクが見つけた部屋は普通に金属の扉でしたよ?

 他の次元のプレイヤー……マックスというプレイヤーでしたが、そのプレイヤーと中に入ったところ【炎上屋敷の怪主人】というレイドクエストの名前でした。

 【ペグ忍者】が使うようなワイヤー戦術に近い攻撃をしてくる人型のレイドボスでした。

 立体的な動きをしてくるので、ボクとそのプレイヤーだけでは太刀打ちできずに死に戻りしてこの部屋に送還されてきたということです」


 はぁ?

 いったいどういうことなんだ?

 俺と【検証班長】の情報に食い違いがある。

 仲間同士でブラフをかけるのは意味が分からないから、二人とも真実だと考えるとレイドボスは2体いるのか?

 いや、レイドクエスト名は【炎上屋敷の怪主人】で同じだった。

 それなら同じやつってことだろう。


 だけど、入り口の扉がどう考えても金属の扉だったとは思えない。

 あれは炎でしかないしなぁ……


 別の入口で繋がっていた可能性はあるか。

 広い部屋なら入口が何個かあっても不思議じゃないし。


 「……しかし、同じ部屋だとしても入った瞬間死に戻りするような熱気はボクは感じませんでしたよ?

 すぐに死に戻りしたとは言っても、レイドボスの姿を見てきちんと戦った上でここに来たからね」


 ???

 全く訳がわからんぞ!

 

 「困りましたね?

 【検証班長】さんと【包丁戦士】さんの情報が色々と違っていて判断が難しいです……」


 【釣竿剣士】も困惑している。

 俺や【検証班長】は少なくとも自分の目で確認しているからまだいいが、【釣竿剣士】はどっちの情報についても知らないのでなおさら悩むだろう。


 そんな俺たちを見かねた【検証班長】が、人差し指を立てて提案するかのような口調で話し始めた。


 「ここには同じレイドクエストのレイドボスが二体いる、ということにしておこう。

 この二体がどんな関係なのかは不明だけど、少なくともどっちかは倒さないといけないのは間違いなさそうだから倒しやすそうな方を見極めて攻略していこう」


 まあ、落としどころはそんなところか。

 俺と【検証班長】だから拗れずにストンと話が落ちたが、メンバーに絶対自分の意見を譲らないプレイヤーがいた場合には情報の差異で仲間割れが起きてもおかしくない案件だったから、なにごともなく伝えられて良かった……


 「とりあえず、左側に道を進むと【検証班長】さんの戦ったワイヤー戦術の人型レイドボス、中央の道を進むと【包丁戦士】さんの見つけた炎の扉があるレイドボスに挑めるわけですね。

 それならば当分はレイドボスアタックを続けていく感じですか?」


 これ以上情報が出なかったら俺もそれでいいと思っただろう。

 だが、俺はあれを見つけてしまったからなぁ……

 レイドボスアタックより先にあれ関係を片付けないといけないだろう。

 

 「あれとは?

 もしや、【包丁戦士】さんはまだ何かしらの情報を拾ってきたのですか?

 生産プレイヤーの鑑ですね!」


 たしかにそれは生産プレイヤーっぽいかもしれない。

 なんか久しぶりに納得する生産プレイヤーという言葉の使い方だな。


 「それで?

 拾ってきた情報はどんな情報なのかな?」


 俺が拾ってきた情報は、隠し部屋についてだな。

 なんかよく分からないが、ギミックを偶然にも解除してしまって見つけたんだが、書斎みたいな部屋が壁の中にあった。

 ただ、俺だけだと書物を調べるのに時間がかかりすぎるから【検証班長】たちを呼びに戻ってきたってわけだ。


 「それをもっと早く言ってくださいよ!?

 こんなところで話している場合じゃないですね。

 急いでそこへ向かうとしようかな!

 さあ、【包丁戦士】さん案内を!!」


 おっおっおっ!?

 なんか【検証班長】のテンションがバグり始めたぞ!?






  【Bottom Down-Online Now loading……】

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[気になる点] 主人が2人の屋敷って一体なんなんだ マックスって一体どこの次元なんだろう [一言] 包丁戦士が検証班長を心から喜ばせられている珍しいシーン
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