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164話 探索の成果【釣竿剣士】

 はい、というわけで死に戻りで包丁次元の控え室まで戻ってきました!

 というかさ、結局死に戻りするならギアフリィ相手に素直に負けても良かったんじゃ……とは思わなくもない。

 でも、あいつのスキルをいくつか引き出せたし、その辺の情報を【検証班長】に上げたら喜んで考察しそうだしいい土産話になりそうだ。



 あと、プレイヤーキラー撃退ポイント的なボーナスみたいなのもあるかもしれないし、倒しておいて損はない……はず。

 単純に俺もプレイヤーキラー扱いで逆にポイントが減ってたりすると泣ける……

 プレイヤーキラーとして活動してポイントが増える可能性もあるし、悲嘆にくれるのはまだ早いかもしれないが……


 いや、言い訳はよそう。

 ギアフリィと戦った正直な気持ちとしては、やっぱりプレイヤーキラーとしての欲望を抑えきれなかった!!というわけだ!

 あんな風に戦いになって、何もせず殺されるのは俺らしくない。

 だって俺はプレイヤーキラーだぞ?

 プレイヤーキラーがキルされてどうするんだって話だ。

 俺はあくまでもキルする側、そういう意味ではその辺をぼーっと歩いている【モブ】とは意識が違う。

 どうせキルされるなら、先に相手をキルしてから自害で死に戻りしたほうがずっと俺らしい……気がする。


 まあ、そんなわけだ。




 そんな自己葛藤を終えて控え室を見渡すと、【釣竿剣士】と【検証班長】がいた。

 二人とも戻ってきていたのか。

 【検証班長】に関して言えば予想通りだが、【釣竿剣士】がここにいるのは意外かもしれない。

 プレイスタイル的にずっと探索しててもおかしくないと思ったけど。


 「面白そうなものが手に入ったので【包丁戦士】さんに見せようと思って。

 これはいいものですよ」


 そういって俺に手渡してきたのは、一見するとただの魚のようにしか見えない。

 だが、少しすると鱗の間から赤い光が灯り、しばらくするとまたその灯りが消えた。

 なんだこの不思議生物は?


 「ふふふ、実はマグマが流れている用水路のようなものがありまして、そこで釣りをしてみたら釣れたんですよ。

 中々面白い魚が釣れたので嬉しいですね!」


 いや、マグマに釣糸を垂らして釣りに興じるとは意味不明過ぎるだろ!?

 常識あるプレイヤーならそんなことを試そうとするやつはいない……というよりそもそもマグマから離れて進むレベルだ。

 それをこの天然を蹴っ飛ばしたような思考を持つ【釣竿剣士】は平然とやってしまったわけだ。


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」


 いや、これに関しては全く当然でもなんでもないからな!?

 チュートリアル武器で耐久力が無限大の釣竿じゃないと釣れないだろこんなの。

 運営もそんな遊び要素を追加するなんて、さては暇だな?



 それはさておき、魚をよく観察してみる。

 赤い灯りに目を奪われてしまったが、じっくり見てみると鱗が溶岩のようになっている。

 触れても熱くはないが、カイロを胸にしまった時のような暖かさが感じられるな。

 そのままカイロみたいに使ってもいいが、ここはそもそもかなり暑いエリアだから不要だろう。


 目は……これ、宝石か?

 ルビーのような赤い色の鉱石がハマっているみたいだ。

 実際には溶岩に耐えられているので、もっと別の石なんだろうけどキレイだから後でもらっておこう。

 何かに使えるかもしれないしな。


 ヒレは……岩っぽいさわり心地っていうことを除いたらまあ、普通か?


 総評としては、面白い素材だってことだな。

 俺はこの中でも唯一の二次産業プレイヤーだからな。(上位職的な意味ではなく、例をあげるなら、生産加工販売の中の二番目の工程である加工の部分を担うということだ。

 一次産業プレイヤーは【釣竿剣士】、二次産業プレイヤーは【包丁戦士】、三次産業プレイヤーは【検証班長】。)

 だからこそ、そんな判断を下せたりする。


 「ということは、【包丁戦士】さんがすることは1つだろうね。

 料理でしょうか」


 その通り!

 時間はかけてられないのでお造りでもぱぱっと仕上げるか。









 はい、できました。

 さて召し上がれ。


 「はふはふっ!?

 これは面白い感覚ですね。

 新鮮な刺身を食べている感覚があるのに、焼いたようなしっかりとした食感と薫りが感じられます!

 美味しいですね!」


 「これは、舌の熱に反応して刺身の熱が励起されているのかな?

 加熱調理済みのような気もしますが、実際にはこれが生の状態……

 細胞に発熱の秘密が隠されているのだろうか……ブツブツ……」


 【釣竿剣士】は素直に食レポをしてくれている。

 それだけ高評価なら嬉しいところだ。


 【検証班長】はなんか魚についての考察を始めている。

 食べながら考察をするのって不気味だぞ、おい。

 これが検証考察にとりつかれた男の末路ってやつか……


 一応俺も空腹度を回復させるために食べておく……あっうまい!







 「「ごちそうさまでした」」

 

 満足そうな表情を浮かべた二人を見て俺も満足した。

 これが生産プレイヤーの真髄ってやつよ。

 決して【釣竿剣士】が普段から言っているようなとんでも生産プレイヤーのことではない。

 あれは参考にしてはいけない生産プレイヤーの見本だ。


 







宝物庫にも後で送ってください。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 真っ当な生産プレイヤーとしての活動 [気になる点] ハブられている菜刀天子 イベントエリア限定の魚っぽいですから食べれるときは来るのでしょうか [一言] 宝物庫使えるならイベントエリア限…
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