1639話 Atlantis World~スキルから始めるクールタイム~
「それは任せるよ。
さっそくさっき見せてもらったのとは別のスキルを見られるのはツイてるねぇ。
どんなものが見られることやら」
【アキカゼ・ハヤテ】の期待の眼差しを横目に俺はスキルを発動させていく。
スキル発動!【天元顕現権限】!
まず起動させたのは黄金色の天子の左翼だ。
このスキルはデメリット無しで使える権限スキルだから気軽に行使できるのが助かるなぁ……
「天使の翼……ということは君は聖典陣営側のプレイヤーに近い存在なのかな?
それだと魔導書陣営の私と相性が悪そうだけど」
いや、【アキカゼ・ハヤテ】が思い浮かべている天使と俺が発音した天子は読みが同じだが文字が違うんだ。
俺のこの翼は中国皇帝関係でよく使われた天子の力を顕現させているわけだ。
「あぁ天子……!
天使ではなく天子なんて中々珍しい翼だね。
ある意味では近い存在なのかもしれないけれど、一応別物だよね?」
そうだな。
神の力を使うというよりは配下の聖獣たちの力を行使できるのがこの翼の最大の力だ。
それと、もちろん飛べるぞ!
「配下の聖獣か、ということはやっぱり聖典陣営側に近いかな……
聖典を基軸にしているわけじゃないから明確には違うんだろうけど、枠組みとしては近そうな気がするよ」
まぁ、天使や聖獣っていうワードに反応しているということは善に寄った性質のことを【アキカゼ・ハヤテ】は聖典陣営と言っているのだろう。
そして、それと相性が悪いと自称している魔導書陣営は悪とか混沌に寄った性質のことだろう。
それならこれを見てくれたら分かるんじゃないか?
俺も【深淵異本】っていう魔導書(?)みたいなものを持っているし、俺が得意としているのは今使っている天子の力よりも深淵の力だからな。
むしろ【アキカゼ・ハヤテ】とは力の相性が良い方だろう。
「これは驚いたねぇ。
【深淵異本】……私も似たような名前の本に選ばれていたから親近感が湧くよ。
もしかするとその縁でここに呼ばれたのかもしれない。
お仲間と出会えたみたいで嬉しくなってしまうよねぇ」
それは大袈裟な!
……と言いたいところだが真っ向から否定できる要素もないし、何なら【縁】の力を持つabilityを使う俺だからこそ信憑性が高いと感じてしまった。
まぁ、とはいえその力を見せるにはまだ時期尚早というか、本格的な戦闘が始まってからだな。
使えば使うほどリソースやステータスを犠牲にしてしまう利かん坊なスキルが起点になっているからどのスキルよりも使いどころを考えないといけないんだ。
「本当に【包丁戦士】君の使うスキルは制約が多いみたいだね。
私からするとそれでよく戦えていると思うけど、ボトムダウンオンラインのプレイヤーからするとそれが普通なんだろうねぇ」
そこはゲームの違いだな。
うちのゲーム運営プロデューサーは『面白い』ことが好きなんだが、プレイヤーへの締めつけ……というかスキルやシステムを安易に使わせないようにしている傾向にあるからな。
……とこの辺で話は置いておいて、そろそろ次のスキルを使わせてもらうとしよう。
スキル発動!【渦炎炭鳥】!
俺は石像を中心に赤色の魔法陣を生み出し、そこから上に向かって噴き出すように火柱を発生させた。
その火柱が石像を巻き込んでいき熱量を上げていく。
【スキルチェイン【天元顕現権限】【渦炎炭鳥】】
【追加効果が付与されました】
【スキルクールタイムが増加しました】
「スキルチェイン!
スキルを組み合わせることで強化出来るんだね?
ただ、アナウンスによるとデメリットでスキルクールタイムも伸びているみたいだけど、どれくらい伸びてるのかな?」
今はそこまで長くないんだが、昔は24時間のクールタイム延長を強いられていたな……
元々俺が使える【渦炎炭鳥】は攻撃用のスキルじゃないのもあって、鳥獣人に種族転生しないとこれくらいの制約を受けてしまうのだ。
だからこそ気軽には使えなかったというわけだな。
「丸々1日使えなくなるスキルがあるのは辛いところだねぇ。
思っていたよりも長くて驚いたよ」
他にも3ヶ月くらい使えなくなるスキルもあったりするから1日くらいで驚いてもらっても困るぞ!
「3ヶ月……そうなるとほとんど手札として使えないスキルだろうね。
過ぎたるは猶及ばざるが如しとはよく言ったものだよ。
さて、そろそろ火柱が収まる頃だね。
鬼が出るか蛇が出るか見届けさせてもらおうじゃないか」
純粋な天子に種族転生していればそこまでスキルクールタイムが長引くことも無かったでしょうに……
全く、これだから劣化天子は……
改めて自分の異常性を理解してください。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




