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16話 考察会議は踊る!~次元深度編~

 「称号に附随して出てきた謎のワードについてですが……」


 【検証班長】が引き続き言葉を紡ぐ。

 なんか自然と司会役をやってるなこいつ……

 これが【検証班長】と言われる由来か!

 活動規模が大きく、やることが多彩な集団をまとめるにはごく自然に周囲を引き込むような才能が必要なのかもしれない。

 

 「【深度】と【次元】というものが今回新規で出てきたものだと思われます。

 みなさん、どこかでこの2つについて聞かれたことはありますか?」


 「無いな」


 「いや~、全く聞いたことないですよ!

 トッププレイヤーの【包丁戦士】さんや【検証班長】さんでも聞いたことがないならみんな知らないんじゃないですか?」


 ファンが増えつつあるお前の情報網でも引っ掛からないなら、なおさらそうだろうな。


 「いや~、アイドル活動めちゃくちゃ大好評でグッズとかも結構売れちゃったりしてるんですよ~

 収入で何か凄いことやってみたいですね!」


 「俺をヒモとして養ってくれたらいいと思うぞ」


 このロリ巨乳の野望は特に興味がないから適当に流しておく。


 「わ、私が【包丁戦士】さんを養う……?

 いや~、それってもしかして!!??」


 爆弾魔が何やらぼそぼそ言っているが、気にすることでもないだろう。


 「二人とも……いちゃつくなら他でやってくれませんか……?

 まあ、ボクの質問に一応応えてくれているだけマシと思うべきなんでしょうか……」


 【検証班長】……強く生きろよ!


 「あなたが困りごとの種なんですけど!

 それで、まずはワールドアナウンスで出てきた【次元】についてですが」


 強引に軌道修正かけてきたな、流石班長の才能を持っているだけはある。


 「わざわざ【この次元】というフレーズを毎回つけてきている辺り、別の次元がこのゲームにあると考えられませんか?」


 「たしかにそうですね!

 別種族が住む次元みたいなのがあるかもしれないですよね!

 エルフとかドラゴンとか!」


 まあ、種族村みたいなのはファンタジー系のVRMMOでは定番のスポットだし、このゲームでもあってはおかしくはない。



 「だけど別種族が住むエリアを【次元】という言い方をするだろうか?」

 -


 「【包丁戦士】さんのおっしゃる通りです。

 ボクもそこに引っ掛かりを覚えました。

 そこで、考えた仮説としては……」


 【検証班長】は一旦間をおき、もったいぶるかのように一度俺とボマードちゃんの顔を見回した後に再度口を開いた。

 このちょっとした会話の仕方が、集団を纏める時に上に立つものが持つ素養だろうな……


 「1つ目、ボクたちとは現在隔絶されているエリアからスタートしているプレイヤーがいる説、です。

 この場合考えられるのは何らかの手段で種族人間ではなく、他の種族で開始していたりバランスブレイカーとして目をつけられているプレイヤーがいる可能性があります」


 「あ~、一昔前のネット小説とかでよく見たことあるわそういうやつ!

 人間に嫌われている魔族やゾンビ系統プレイヤーが運営の配慮で、なった種族に合うエリアから開始するやつは実際に色んなVRMMOで実装されてるな。

 バランスブレイカープレイヤー説は正直リアルチートな【釣竿剣士】がそれに該当してない時点で、可能性としては考えたくないわ……あれ以上がいるなんて」


 別種族で開始するプレイヤーは基本物好きが多いとされているニッチジャンルだ。

 体の構造が人間と異なる部分があるためフルスペックでその種族のメリットを活かしきれるプレイヤーは少ないとされているためだ。

 俺も他種族を使いこなすのを諦めた口だ、あれは難しすぎる!

 まあ、このゲームで他種族スタートする方法があるとは聞いたことがないけれど。


 バランスブレイカープレイヤーはキャラクリの時点で運営に目をつけられ隔離場所へ送られることが多い。

 序盤でゲーム全体のバランスを崩しかねないので、他のプレイヤーと簡単に交流することが出来ないところに置いておきたいという運営の悲しみを感じる。


 「いや~、私だったら1人で隔離なんてされたら詰んでますよ!」


 そりゃ、介護なしじゃ動けない体になってるくらいだしな。


 「ううっ、反論できないです……」


 「仮説の2つめだが、似たような環境の別【次元】があるという可能性だね。

 いわゆるサーバー分けというやつだよ!

 処理落ち対策にそうされることが多いらしいけど、シミュレーションの一環としてあえて似たような環境で人の違いや少しの条件差で結果がどう変わるのか試している……そういう企業もあるみたいだよ」


 プレイヤーを対象にした箱庭実験といったところか……

 

 「【次元】に関する考察はこれくらいかな。

 次は【深度】についてだよ!」


 サーバー分けされているのにわざわざ他のサーバーがあることを仄めかす必要はあるのか?

 普通は言う必要なんて無い気がするが……

 まあ、とりあえず【次元】についての考察は置いておくみたいだし、俺も司会の進行に従おう。


 「称号の獲得によって謎のワード、といってもゲームのタイトルに入っているワードだけど【Bottom Down】という現象が起きた。

 これは二人も認識しているね?」


 「ああ!」


 「それって……あっ!

 いや~、ビックリしましたね」


 爆弾魔、なんか俺に申し訳なさそうな顔をしているがスルーでいいだろう。

 やめろロリ巨乳、俺に憐れみの表情を向けるな!


 「ボクがこの現象を確認しているのは、今のところここにいるレイドボスに挑んでいた3人だけだよ。

 ただ、【Bottom Down】は称号獲得と同時に個人アナウンスで流れたから既に他の人に同じ現象が起きていてもおかしくはないよね?

 ここは検証班がそれとなく聞き込んでみるよ」


 「助かる。

 正直【深度】が1になったと言われても自分の体に何が起きたのかさっぱり分からないのは気持ち悪いからな……」


 「いや~、私なんて【深度】2ですよ!

 本当になんなんですかこれ!」


 耳元でぎゃんぎゃん騒がないでくれ……

 うるさいし、吐息が耳に当たってこそばゆいんだが……


 「これも推測ですが、レベルやランク、熟練度のようなものじゃないでしょうか。

 称号の積み重ねで数値が増えるみたいですし」


 これを上げていくのがプレイヤーに求められていることなんだろうか?

 ゲームのタイトルになっているようなワードが使われているし、何か重要な意味合いがあるに違いない。

 なので、もしかするとレベルというよりは……


 「イベントのフラグ数値みたいな可能性もありそうじゃないか?」


 「いや~好感度みたいなものですか?

 【深度】を上げて進む先にいるものの好感度が上がっても嬉しいというよりはなんだか怖いですね」


 大袈裟な身振りでぶるぶる震える演技をしているボマードちゃん。

 まだ辛うじてそれくらいは動けるんだな……


 「それは興味深い意見ですね……

 称号獲得以外でも【深度】が上がるか気になるところですが、何をしたら上がるのかの条件が不明なので検証には時間がかかりそうですね」


 「それなら当初の予定通り、明日はレイドボスに総力戦を仕掛けないか?

 レイドボス討伐称号みたいなのももしかしたらあるかもしれないし、そこから再検証しても遅くないだろ?」


 ぶっちゃけ、せっかく討伐の目処が立ったジェーの討伐を後回しにされたくないだけだ。

 他のプレイヤーに先を越されることはおそらく無いだろうが、それでも俺の宿敵ジェー討伐をいつの間にかされたら泣ける……


 「そうですね、わかりました!

 明日はレイドボス討伐ということにしましょう!」


 「おー!

 私の新スキルが火を噴きますよ!」


 いや、それ実質自爆なんだけどな……








 早くレイドボスを討伐してくれと思いながら見守る存在が居たとか居なかったとか……


  【Bottom Down-Online Now loading……】

 

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