158話 再会の再開
【ディメンションバトル】
【【7位 ピッケル次元】VS【8位 パイルバンカー次元】VS【9位 包丁次元】VS【10位 蛇腹剣次元】】
【終了条件 レイドボスの討伐または一定時間の経過】
【異次元の風が吹き荒れている】
【ピッケルが硬き意思を打ち砕く】
【パイルバンカーが物々しく嘶く】
【包丁が血を求める】
【蛇腹剣が激しく取り巻く】
【Duel Start!】
アナウンスと共に俺たちは部屋を飛び出し、屋敷の廊下に出た。
どうやら俺たちがいた部屋は突き当たりの部屋だったようで、三方向に道が分かれている。
どうやって進んでいこうか。
安定行動なら三人まとまって動くんだろうけど。
「とりあえず3人で別々に行動しましょう。
なにせこの屋敷の全体図や広さも分からないからね。
ここは危険を侵してでも先行して情報アドバンテージを得るべきだ」
了解!
それなら俺は中央の道を進んでいこう。
「【包丁戦士】さんが中央なら私は右に行きましょう。
消去法で【検証班長】さんは左側の道をお願いします」
「そうだね。
それでは行くとしようか!」
【検証班長】の声を合図に俺たちはそれぞれの方向へ駆け出した!
俺が進んだ中央の廊下には、所々壺や彫刻などが飾られたりしている。
怪しいものを見つけて手に取ろうとしたら、めっちゃ熱かったので投げるように放したりするアクシデントがあったりもした。
壺も彫刻と鉄製のものばかりだから、このイベント限定エリアの熱で暖まってしまったのだろう。
これではオチオチ調査もできない。
いや、逆に考えたら調査する必要がないからそんな設定にしている可能性もあるのか?
うーん、考えが堂々巡りしてきてワケわからなくなってきたぞ……
ああでもない、こうでもないと腕を組み頭を首をかしげながらキョロキョロと進んでいくと、曲がり角付近に人影を……というより気配を感じた。
ここは先手必勝の袈裟斬りで……
じゃなくて、今回は穏便にいくんだったな……自分で言っておいて即効で方針を狂わせるところだった。
本能ってこわい、そう思った瞬間だった。
「いやっ、本能で殺気を飛ばしてくるの止めてよね~
うちも思いっきりビックリしちゃったじゃん!」
曲がり角の先から小さな人影がひょこっと顔を出した。
ぬいぐるみを持つかのように蛇腹剣を持っているパジャマを着たロリだ。
忘れている人もいるだろうが、このパジャマロリは38話くらいに登場している蛇腹剣次元のMVPプレイヤーだ。
「うちのことパジャマロリって呼ぶな~!
うちには【マキ】って言うちゃんとした名前があるんだよっ!」
そうそう、そんな感じの名前だったな。
で、パジャマロリは今暇?
良かったら話しながら進まないか?
「うちもイベント参加中だから暇ってわけじゃないんだけど~
でも、今回のイベントは協力プレイみたいなところあるし、ついてきてもいいよっ!
なんていったって、うちは魅力的だからね~
ついてきたくなる気持ちも分からなくもないかなっ!」
このすぐ調子に乗る感じ、ボマードちゃんに似てるよな。
ロリ系アバターのやつはみんなこんな感じなのか?
そんな生意気な言いぐさだといつかその辺のおっさんに【ワカラセ】られるぞ……
「???」
いや、意味が通じてないなら通じてないでスルーしてくれた方がいいぞ。
というかこいつはアバターだけじゃなくて、現実もロリっぽいんだよなぁ……
前の次元戦争のときお母さんお母さんと何度か口にしていたし……
変な発言をすると俺のアカウントが葬りさられそうなので、少しは自重していこう。
で?バストは?
流石に俺でもパジャマロリくらいの絶壁相手なら勝てる気がするので、マウントを取りに行く。
大人気ないとか言うなよ?
悲しくなるから……
「このセクハラお姉さんめ~
そんなの秘密に決まってるでしょっ!
秘密の多い女は魅力的ってお母さんが言ってたし」
パジャマロリに何を教えてるんだこいつの母親は……
「別にうちがどんなこと教わっても関係ないでしょっ!
それより、あそこにあるいかにも怪しい扉見てよ~
どう考えてもボス部屋の入口でしょ~!」
そう言われて、パジャマロリの顔から目線をずらし、正面に顔を向けると誰がどう見ても怪しい扉があった。
他の扉が一般家庭にある扉を2ランクくらいグレードアップさせたものというのに対して、いかにも怪しい扉は毛糸のようなもので編み上げられている。
それだけでも怪しいが、それ以上に一目で怪しいと思う点がある。
「燃えてる扉ってどうなんだろうね~?
暖かくて近くて寝たいくらいだけど……」
おい、燃える扉の近くで寝ようとするな!
こんなとんでもな状況でも平然と寝ようとするパジャマロリの行動力には有る意味驚かされた。
いや、本当に驚いたのは燃え続ける扉に対してだけど。
近くによるとちゃんと熱を感じるので、こけおどしではなく間違いなく炎として燃え盛っているのだろう。
さて、この扉どうするかなぁ……
さすがにそのまま通過するなんてことはできないんだろうけど。
そんなことよりも早く情報を集めてください。
【Bottom Down-Online Now loading……】




