150話 日常のはじまり
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、もきたの舞!
今日も元気にログイン!
深淵天子となって初のログインだが、【菜刀天子】相手に特殊演出がなかったみたいだ。
【ウプシロン=ウーグウイ】のときはバリバリ反応してたけど、俺の中にある天子としての宿業が深淵種族に対する忌避感を打ち消してくれた……のかなぁ?
「おはようございます天子【包丁戦士】……っ!?
えっ、なんですかその種族は??
天子から深淵天子に変わっているではないですか……
はぁ、やはり【包丁戦士】の行動は読めませんね。
どうしてこんなことになったのでしょうか?」
俺もよくわからん!
というかこんな種族があるなんて俺が知ってたわけないしな。
複合種族とかいう謎枠種族になったしまったのは幸運なのか不幸なのか、よく分かってないけど中途半端な感じがするぞ。
「なってしまったものは仕方ないでしょう。
正直不服ではありますが、貴重な複合種族です。
プレイヤーとして貴重な種族を謳歌するのも悪くはないでしょう」
【菜刀天子】がそれでいいなら問題ないか。
深淵種族複合だからどんなことになるかヒヤヒヤしていたが、まあこれで一安心ってわけだ。
「それで、【包丁戦士】はこれからどうしますか?
次元戦争までまだ時間はありそうですけど」
あれ?
まだ時間がかかるのか。
もうすぐだったんじゃないのか?
「まだ二体目の聖獣レイドボスを倒せていない次元が1つだけ残っていて、そこが倒せるのを待っている状況です。
なので具体的にいつ始まるかは運営すら分からないということです」
そうか……
それならこれからはしばらく日常回だ!
「……日常回ですか?」
そうだ!
最近闘技場イベント、【ウプシロン=ウーグウイ】攻略、ダンジョン攻略と戦闘が絡む出来事が続いてたからな。
そろそろ日常回も恋しくなってきた頃だろう。
「相変わらず訳の分からないことをいいますね……」
深い意味は無いから気にしなくていいぞ!
……でも、日常回と言っても何をしようか。
やっぱり俺と言えば料理か?
「いえ、どうせやることがないのならクランを作りに行ってはどうですか?
【クランリーダー】の【ウプシロン=ウーグウイ】を倒したことでクラン機能が解放されましたから。
……もっとも、劣化天子の【包丁戦士】と同じクランに入ってくれるプレイヤーがいるかは別の話ですが」
劣化天子とか言うなよ!
なんか混ざってるけど一応俺も天子なんだから。
……ただ、俺とクランを作って入ってくれるプレイヤーってあんまり居なさそうだよな。
なぜなら、俺はプレイヤーキラーだからな。
トッププレイヤーとしても名前が知られ始めてたらしいが、それ以上に悪名の広がり方のほうがえげつない。
マイナス感情のほうが気持ちが強く出やすいし、情報も拡散しやすかったんだろう。
日課レベルでプレイヤーキルを楽しんでたのも原因なのか、俺の交遊関係はあんまり広くない。
「やはりそうでしたか……
ですが、次元戦争の次のイベントはクランが関わってくる予定です。
今のうちに馬車馬のように必死になってメンバーを集めた方がいいですよ」
まじか……
そこまで言うならなんとか集めてみるか……
そういうわけで行ってくるわ!
というわけでやって来ましたメッテルニヒ!
検証班のたまり場であるメッテルニヒは、俺のログイン場所である王宮からさほど離れてないところにあるからな。
まずは目についたここでメンバーを募集してみるか。
おーい、【検証班長】~!
俺の作る予定のクランに入れ~!
「その言い方、分かってて聞いていますよね?
【包丁戦士】さんの作るクランには入れませんよ。
ボクたちは【検証班】というクランを作ってそこに所属していますからね」
行動が早いな。
この前の会議のときにわかった情報なのに。
「検証は早さが命ですからね。
検証材料があれば何処へでも飛んでいくのがボクたちです。
ちなみにクランメンバーは今までの検証班メンバーをただ集めただけなので代わり映えはしないですけど」
くっ、やっぱりか。
正直ダメ元で来てみたが、案の定断られてしまったか。
【検証班長】が同じクランにいたら絶対頼りになっただけに残念だ。
じゃあ、【ペグ忍者】は?
「【ペグ忍者】も【検証班】のメンバーなのら~!
残念でしゅが、諦めるのら~」
「【ペグ忍者】は【検証班】の秘密兵器ですからね。
そうやすやすと転籍してもらっては困りますよ!
性格には難ありですが、プレイヤースキルはトップクラスだからね。
【包丁戦士】さんもその身で体験したからこそ勧誘したのだと思いますが」
その通りだ。
流石【検証班長】……
諜報能力と、戦闘スペックの高さはまさに忍者と言っても過言じゃない……まあ、淫乱ピンク髪の時点で忍ぶことは諦めてるんだろうけど。
くー、それにしてもここは完全に空振りだったか。
次にいくかぁ……
やはりぼっちでしたか……
【Bottom Down-Online Now loading……】




