14話 激動!ワールドアナウンス!
【Raid Battle!】
【兎月舞う新緑の主】
【荒れ狂う魚尾砲】
【レイドバトル同時発生につき難易度が上昇します】
今回は検証の大詰めだ。
今回の検証には【検証班長】と、この少女。
「いや~、今さらアネイブルで何を検証するんですか?
私もう自力じゃ動けないんですけど!」
【名称公開】のデバフ効果を高めていった結果棒立ちすることしか出来なくなってしまったボマードちゃんだ。
「今回の大規模レイド攻略はあなたの力が必要になるかもしれません。
ボクが岩山エリアで集めたボマードさんのデータがここでも通用するか、最後のテストみたいなものです」
どうやら俺がいない間にボマードちゃんで色々と検証していたようだ。
「じゃあ、当初の予定通りまずは俺が戦ってみるから見てるといいぞ」
「いや~、私の出番はあるんですか?」
「後でな」
とりあえず、いつも通りジェーと戦う。
ジェーと戦う上で気をつけないといけないのは前も言ったが、ウナギ尻尾による攻撃だ。
尻尾が蠢き始めた瞬間にバックステップで回避、直後目の前にはクレーターが出来る。
パターンさえ読めれば尻尾部分の通常攻撃だけならかわせないことはない、しかし……
「ウサギ部分と尻尾部分が全く別の攻撃をしながら迫ってくるからなぁ……
両方読みきるのは慣れてきてもムリゲーでしょ!」
ウサギが回避しながらウナギは攻撃。
ウサギが攻撃しながらウナギは回避。
両方とも回避。
両方とも攻撃。
という回避、攻撃のパターンだけでも4つ存在する。
これに攻撃のバリエーション、回避のバリエーションを追加するともう頭が回らない。
一撃必殺型のウナギと手数が豊富なウサギのキメラは魔王軍幹部と言われてもおかしくないくらい、人権が保証されていない俺たちプレイヤーには難易度が高いのだ。
そのためログインエリアにいるにも関わらず未だに討伐されていない。
「これくらいでいいでしょう。
【包丁戦士】さんとジェーの戦闘データがあらかた取り終わりました。
次が本命の検証です!」
「了解!
さて、爆弾魔ちゃん、一発大きいの行っちゃいな!」
「ふぇぇ!!
いや~、なんで私投げられているんですか!!」
俺はボマードちゃんをジェーに向かって投擲した。
ちなみに大きいのというのはボマードちゃんのロリ体型に付いている2つの巨峰のことではない。
いや、本当に違うから……【検証班長】もそんな目で俺を見ないで……
投げられたボマードちゃんは一瞬にしてウナギによってミンチにされた。
「さて、ここからが【包丁戦士】さんの見せ所ですよ」
「分かってるって!
さあ、第2ラウンドだ!」
ボマードちゃんがミンチになった後も俺の行動は今までと変わらない。
ウサギ部分も先程までと全く変わらない動きをしている。
しかし、ボマードちゃんをミンチにしたウナギ尻尾は……
「弱くなったなぁ……ジェーさんよぉ!」
今まで感覚で避けるしかなかった尻尾による広範囲殲滅攻撃や、事前察知出来ないノーモーション突きなどが目視してから回避できるようになるくらいスピードダウンしている。
また、包丁の腹で衝撃を受け流せずガードが少し崩れた状態になっても衝撃だけで吹き飛ばされることも無くなった。
やはりボマードちゃんが現在保有している能力は……
「そう、【名称公開】はプレイヤーが名前を公開することで知名度に応じて自身にデバフが加算されていくだけの能力かと思われていました。
しかし本質は今解き明かされました!
【名称公開】を一度発動させたプレイヤーは倒されたとき、自身の知名度に応じて倒した相手にデバフをかける所謂黒魔法スキルと言っても過言じゃないでしょう!」
【検証班長】が検証結果を俺に説明した、その瞬間。
【ワールドアナウンス】
【プレイヤーによって【名称公開】がスキルと認識されました】
【スキル獲得条件達成者を検索……対象者1名】
【ボマードに対してスキル【名称公開】を付与しました】
【効果は認識された通りに発動します】
【この効果は以後、この次元の条件達成者全員に適用されます】
【この次元で初めてスキルが獲得されました】
【ゲーム運営者からの忠告】
【※【名称公開】発動によってプレイヤーの能力低下による移動不能状態が確認されています。
これからこのスキルを獲得される方は自身の責任でこのスキルを取得されますよう、よろしくお願い致します】
【※この忠告部分アナウンスは、この次元のプレイヤーがいつでも【ヘルプ】で確認出来るようにしておきますので、ご確認ください】
【レイド参加者への個人アナウンス】
【ボマードが称号【名称公開の先導者】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【ボマードの深度が1になりました】
【ボマードが称号【スキル獲得の先導者】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【ボマードの深度が2になりました】
【【包丁戦士】【検証班長】が称号【スキル効果認識の先導者】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】【検証班長】の深度が1になりました】
「「は????????」」
とりあえず突然の波のようなアナウンスに驚いて呆けていた俺と【検証班長】はジェーによってミンチにされ、死に戻りした。
ようやくここまで来ましたか……
これで流石にいけるでしょう……
【Bottom Down-Online Now loading……】
ブックマークまたまた増えていました!
登録ありがとうございます!