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132話 考察会議は踊る!~【堕枝深淵】から見るルル様編~

 「それで、このヒントから読み取れるのは何もスキルの性能だけではないんですよね。

 何が読み取れるか分かる人はいるかな?」


 【検証班長】が珍しく自分の意見を真っ先に出さないで、他のメンバーへ問いかけた。

 【検証班長】の考察がメインになってしまっていて忘れがちだが、はあくまでも進行役で司会。

 他の人が発言しやすい雰囲気を作るのも手法の1つだろう。

 ルル様のスキルからわかることか……なんだろうか……


 そんな【検証班長】にのせられて【ブーメラン冒険者】が口を開いた。

 

 「今さらだけど、【包丁戦士】さんがルル様って呼んでいるのはレイドボスの【深淵域の管理者】についてだよねっ?

 レイドバトル中に聞くのもあれかな~って思ったからなんとなく思ってたんだけど、合ってるかなっ?」


 あー、まずそこについて話してなかったわ。

 せっかく【検証班長】が話題を出してくれたが、まずそこから説明しないとな。



 とりあえず、ざっくりと俺が【深淵奈落】でルル様に会った時のこととかを話すと【ブーメラン冒険者】は納得してくれたようだ。


 「だからわざわざ【ウプシロン=ウーグウイ】をあそこまで移動させていたんだねっ!

 足場を整えて戦いやすくするためだと勝手に勘違いしてたよっ……」


 あれっ?説明してたような気がしたが、気のせいだったか?

 ……うーん。


 まあ、倒せたしいいか。

 それで、【深淵域の管理者】=ルル様っていうのは今説明したが何か気づいたことはあるのか?


 「デメリットで火に弱くなるってあったよねっ?

 っていうことは黒色だけどあれはやっぱり植物なのかなっ?」


 黒い粒子から生まれた枝が植物なのか……は判断に困るところだよな。

 火に弱いならルル様って実は植物系レイドボスだった可能性もあるのか!?


 「その可能性もあるということですね。

 ボマードさんは何かありますか?」


 唐突に名前を指名されてあたふたしているロリ巨乳が、慌てながらも口を開いた。


 「えっ、私ですか!?

 いや~、炎に弱いってことは植物以外にも悪魔みたいなものっていうことはないですか?

 ただのあてずっぽうですけど!!ですけど!!」


 いや、そこ強調するところか?

 テンパりすぎてこのタンクトップロリは頭がいかれてしまったのかもしれない。

 でも、頭はいかれてしまったかもしれないがその考えは気になるな。

 なんでそうなったんだ?


 「えっ、だって聖なる炎に焼かれるって悪魔のやられ方の定番の1つじゃないですか?

 不浄なものを炎で焼き払う的な意味でも、悪魔かな~って思ったんですけど……

 いや~、突拍子もなかったですかね?」


 ほー、いつも頭お花畑だった割にはそれなりに筋の通っている考えだな。

 深淵種族という種族の名前からしても悪魔っぽい感じもするし、ありえない話ではない気がするぞ。


 「聖なるもの……聖獣と敵対しているということも考えると、光と闇の関係のようで釣り合いも良さそうですね。

 最後に【包丁戦士】さんはどう思いますか?」


 うーん……悪魔説が結構有力すぎて俺の意見が言いにくくなったぞ。

 まあ、あくまでも憶測だしテキトーに言っておくか。


 俺が思ったのは水中の生き物シリーズなんじゃないかってことだな。

 ジェーはウナギみたいだったし、ルル様は羽とか生えてたけどベースはタコみたいな見た目だったからな。

 だけど、炎耐性が低いのと繋がらない気もするんだよなぁ……

 やっぱり見た目だけなのかな……



 俺の自信なさげな意見にも真摯に対応しようとする【検証班長】。


 「うんうん。

 今の時点だと判断材料がそこまで無いから、簡単な憶測でいいだろうね。

 1人の行き詰まった考えよりも、大勢の幅広い考えのなかに意外な答えが隠れていたりするものですからね。

 ……まあ、私的には枝という文字がフレーバーテキストにも明確に書かれているので植物系レイドボス説を推しますけど」


 フォローしつつも、全く俺を支持してないのは割りきりがいいな。

 ……ちょっと悲しい。


 「そういえば、【包丁戦士】さんが最後の止めに【深淵纏縛】と【堕枝深淵】を使ったのはなぜですか?

 【深淵顕現権限】と【堕枝深淵】の状態だけでも、ギリギリいけそうな気はしたのだけれども?」


 【検証班長】が露骨に話を逸らしはじめた。

 俺のしょぼくれた表情を見てやるせなくなったからか?


 それにしても【検証班長】はよく細かいところまで見てるな。

 実際、あのまま【深淵顕現権限】だけでもいける可能性はあった。


 ……あったが、勝つか負けるかの瀬戸際でもあった。

 あの時点でメンバーもほとんど残ってなかったし、あんなに時間をかけて負けたりしたらシャレにならないだろ。

 それくらいなら俺の深度の1つや2つくらいくれてやるさ。


 「そのおかげであそこから早期決着に持ち込めましたからね、【包丁戦士】さんの活躍には感謝しかないです。

 ……ですが、【深淵纏縛】を使った理由はそんな全体的な利益のためだけじゃないですよね?

 【包丁戦士】さんが、全体への奉仕者ではないのはボクが知ってますから。

 ……ズバリ言ってしまうと、レイドボスになった状態で【堕枝深淵】を使いたかっただけだろうね」


 ……ぐっ、流石は【包丁次元】のブレイン。

 何もかもお見通しだったってわけか。


 「具体的にはレイドボスになって自分の体力の底上げなどを行い追加効果を狙ったり、スキル性能の変化を確認したかったというところでしょう。

 何せデメリットの大きいスキルの【深淵纏縛】を使う機会なんて大一番しかありませんから。

 あの場面で使うのなら深度が下がってしまうにしても、【包丁戦士】じゃなくボクだったとしても後悔はしないでしょう。

 気持ちはよく分かりますよ」


 俺としては【堕枝深淵】で棘つきの黒い枝とか出たらいいなとか思ってたから、実際に出せて良かったぜ。

 レイドボスとして使うスキルの性能が変わるのは、闘技場イベント決勝戦の最終局面でもあったからなおのこと確認したかったわけだ。


 今後使わないといけない場面のことを考えるとな。








 



 底辺種族にしては色々と考えているようですね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[一言] 深淵種族の特性とかで見た目と実際の権能が逆ってわけでもなさそうだしなー スキルチェインでどうなるかは使うまで分からないから 忘れないうちに試すのは賢いですね
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