131話 考察会議は踊る!~【堕枝深淵】の性能編~
とりあえず【ブーメラン冒険者】が特に知ってそうな山間部エリア関係はこれくらいか。
「そうだろうね。
次に行くとしようかな?」
「いや~、次は何について話すんですか?」
「そうだね……【堕枝深淵】についてでも話しますか。
これもかなり詳しい情報がありますからね。
……【包丁戦士】さんのおかげ?……せい?で」
なんとも反応に困る振り方で俺に投げないでくれよ。
たしかに俺の質問の仕方が悪かった結果、あの時【ウプシロン=ウーグウイ】の使ってきた【花上楼閣】については分からなかったけど、代わりに本来手に入らなかったルル様のスキル【堕枝深淵】が手に入ったからいいだろう!
「それについては元々【包丁戦士】さんの手にいれた特権ですから、とやかく言うつもりはないので安心してください。
とりあえず、急いでメモをした【堕枝深淵】の性能についてよく見てみるとしようか」
……あの激戦中にメモを取っていたのか……
流石は情報が命の検証班のリーダーだな。
若干呆れもするが、そういうところも必要なんだろう。
そんなことを思いながら、【検証班長】が差し出したメモ書きを確認する。
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【【堕枝深淵】】
【要求ステータス 深度】
【深淵適正 100】
【クールタイム 0秒-24時間】
【射程 深度×0.5メートル】
【強度 深度×10キログラム】
【威力 深度×10+(固定ダメージ)】
【拘束時間 深度×1秒】
【効果 深淵から漆黒の枝を呼び出し、対象へ巻きつける。このスキルで巻きつかれた対象の現在のヒットポイントが、スキル発動者の100分の1であった場合に確率で即死または麻痺状態または睡眠状態を付与する】
【フレーバーテキスト】
【【深淵域の管理者】が最も好んで使用すると言われているスキル】
【美しくも禍々しい枝に惹かれ、捕らわれたものは、醒めることのない深きネムリに誘われるだろう。】
【我々は、捕らわれたものにとってそのネムリが、安らかなものであることを祈ることしかできない】
【注意 深淵種族以外がこのスキルを使用すると、性能が大幅に劣化します】
【炎に対する耐性が低下します】
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あらためて見るとかなり深度に依存したスキルだよな、これ。
深淵種族のルル様が使うスキルってことを考えれば自然なことなんだろうけど、それにしてもスキルの性能が深度に影響を受けやすすぎだなぁ。
「いや~、私とか【検証班長】さんレベルの深度だとこのスキルあまり強くないですよね?
特に拘束時間なんてほぼ一瞬じゃないですか!?」
このタンクトップロリ巨乳の言う通りだ。
たとえば、深度1のプレイヤーがこのスキルを使ったとすると
【射程 深度1×0.5メートル】
【強度 深度1×10キログラム】
【威力 深度1×10+(固定ダメージ)】
【拘束時間 深度1×1秒】
50センチしか枝が伸びず、10キログラムの重さにしか耐えられず、拘束時間は1秒しかない。
威力については他の基準がないから比較しようがないが、どう考えても弱いスキルだ。
これなら普通にチュートリアル武器で攻撃した方がいい。
「【包丁戦士】さんに賛成だねっ!
私のブーメランの方が強いよっ!」
だろうな。
攻撃射程とか圧倒的にそっちの方がいい。
「しかし、これはあくまでもこの段階での話だよね?
あのエルルという深淵種族の強さは、この時点で倒せるものじゃなかったと考えると、このスキルはもっと後半で手に入れるはずだった可能性が高い気がしますね……
さっきの計算式を【包丁戦士】さんに当てはめてみたら違いが分かるはずですよ」
【射程 深度23×0.5メートル】
【強度 深度23×10キログラム】
【威力 深度23×10+(固定ダメージ)】
【拘束時間 深度23×1秒】
……11.5メートル黒い枝が伸びて、230キログラムの重量に耐えられる。
そして、23秒の拘束時間か……
拘束時間についてはなんとなく微妙な気がしなくもないが、射程と強度は数値上はかなり強そうに見えるぞ!
「理論値ではたしかにそうだろうね。
だけど、注意書に注目してみるとその限りじゃないんですよね。
【注意 深淵種族以外がこのスキルを使用すると、性能が大幅に劣化します】この制約がかなり響いてきそうですよ。
深淵種族に転生なんてよほどできそうにないですから」
……それができてしまうんだよな~
俺はこの【ウプシロン=ウーグウイ】討伐で深淵種族への転生条件を満たしたって言ったら信じるか?
「いや~、都合良すぎじゃないですか!?
これは絶対いつもの冗談ですよ!」
あ~ん?
冗談なのはお前の体型じゃないか?
そんなロリ巨乳体型見せびらかして!
走る度にバルンバルン揺れてるじゃないか!
うらやまし……けしからん!
「男のボクがいるなかでそんな話題をされると困るんですけど……」
安心しろ、お前の横にいるパッと見可愛いやつも女に見えて男だからな。
「そうなんですか!?
これは新情報ですね!!」
いや、何に興奮してるんだ【検証班長】は……
多分2つ名持ちプレイヤーの情報を手にいれたことそのものに興奮しているんだろうな。
……男の娘ってことに興奮してたらちょっと怖いからそういうことにしておこう。
「というのは置いておいて、【包丁戦士】さんが深淵種族になれるのならあの棘つきの【堕枝深淵】を出せるようになるかもしれないということですね?
種族転生できたらまた情報の提供をお願いします!
検証班でも種族転生の情報は【ペグ忍者】の提供したものが一番情報量が多いですから、他からの情報も比較としてどうしても欲しいので首を長くして待っていますよ?」
【検証班長】の獲物を睨むような鋭い眼差しを真っ正面から受けてしまった俺は、おとなしく頷くことしか出来なかった……
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