130話 考察会議は踊る!~山間部エリア関係編~
はい、開始早々【ブーメラン冒険者】によるぶっこみ発言があった考察会議だ。
スキルそのものにも興味はあるが、それ以上に興味がある話題が出てきたな、
【下克上の陰陽妖狐】についてだ。
実績照会でレイドボスのクエスト名が羅列されている欄にこの名前があったからこの妖狐もおそらくレイドボスなんだろう。
「その通りだよっ!
でも、今回の【ウプシロン=ウーグウイ】みたいに詳しいアナウンスじゃなくて、他のレイドボスみたいな簡単なアナウンスしか流れてないからどんな名前なのかとか分かってないけどねっ!」
なるほどな。
「いや~、でもそんなレイドボスに出会ったことないですよ~?
いったいどこにいたんですか?」
タンクトップロリ巨乳のボマードちゃんが疑問に思い問いかける。
俺も結構色んなエリアを渡り歩いてきたが、ボマードちゃん同様【下克上の陰陽妖狐】には会ったことないから気になるところだ。
「あっ、そうだよねそうだよねっ!
実はみんなに隠しエリアって呼ばれている山間部エリアにいたんだよねっ!
南のトッププレイヤーの【トランポリン守兵】さんとか知ってたから同じトッププレイヤーの【包丁戦士】さんなら知ってるかなって思ってたけど、意外だねっ!」
ぐぬぬ……
まさか山間部エリア探索を後回しにしたツケがこんなところで回ってくるとは……
「実はボクの方でも山間部エリアの情報はほとんどないんですよね……
検証班に情報が伝わってないということは、他のプレイヤーの中でもごく一部しか知らない情報ということだろうから、そんなに落ち込むことないだろうよ?」
ほっ、それならちょっとメンツが保たれた……のか?
で、【下克上の陰陽妖狐】ってどんなやつなんだ?
「私も実はそんなによく分かってないんだよっ!
会ったときは狐のお面をしていて、いかにも陰陽師っぽい服を着てたっていう感じかな?
妖狐っていうだけあって、狐の耳がついてたり、狐の尻尾がついてたりしたけど人型のレイドボスだったよっ!」
「人型のレイドボスなんているんですね!?
いや~、なんだか戦いにくそうな予感がしますよ~」
ボマードちゃんはそう言っているが、人型で底辺種族のプレイヤーの前に姿を現したレイドボスを他にも俺は知っている。
【菜刀天子】……は積極的に戦うレイドボスって感じじゃないから除外すると、渓谷エリアの竜人ギルドマスターとかまさにそんな感じだった。
ただ、あのギルドマスターは戦うときに竜に変身してたし、この狐も変身する可能性はありそうだ。
それに、竜人ギルドマスターはプレイヤーにスキルを配っていたからそういう面でも似てるのかもしれない。
「そうなんですよっ!
【休息万命急急如律令】しか呪術スキルもらってないですけど、百鬼夜行に参加して位を上げていくか、功績を上げたらもっと色んな呪術を教えてくれるっていってたよっ!」
「ほほう、百鬼夜行ですか。
ボクが記憶している限りだとそれについても実績照会に項目があった気がするけど?」
【検証班長】が抜け目なく情報を回収しようとしている。
【ブーメラン冒険者】は謂わば、山間部エリア、【下克上の陰陽妖狐】、呪術関係で現段階ではかなり精通しているプレイヤーだ。
それが惜しげもなくはたけばはたくほど情報を落としてくれるのだから、情報を何よりも重視する検証班のリーダー【検証班長】が見逃すはずはないってことだな。
「百鬼夜行っていうのはねっ!
……渓谷エリアで言う冒険者ギルドみたいなものかなっ?……多分?」
多分?
それはいったいどういうことだ?
「……なるほど、そういえば百鬼夜行に加わるという実績は失敗扱いでしたね。
つまりは詳しいことに関して知らないということだね?」
すかさず【検証班長】がフォローを入れる。
「そういうことっ!
実は百鬼夜行加入条件がよく分かってないんだよねっ!
山間部エリアに行ったことがあるプレイヤー自体が少ないから情報も集まらないし、何にしても手探りなんだよねっ……」
冒険者ギルドは来るもの拒まず、どんなやつでも仕事さえこなしてくれたらいい……みたいな感じで竜の里の復興を手伝わせていたが、百鬼夜行はまたそれとは話が違うみたいだ。
そもそも加入条件すら教えてくれないっていうのは厳しいよな……
「たしかにそうですが、希望は捨てない方がいいですよ?
なにせ、レイドボス討伐がフラグになっている可能性も充分にありますからね。
今話していた冒険者ギルドについても新緑都市アネイブルレイドボス攻略が終わってはじめて出てきた要素だったからね?
……でも、実績に登録されていたってことは既に加入自体は不可能じゃないんだろうけど……」
【検証班長】が思考の海へ航海を始めてしまった……
どっちにしても、その加入条件を見つけないと新しい呪術も覚えられないだろうし、実績も解除されない。
ということはグランドクエストとかの進行比率がその分遅れていってしまうってわけだ。
それはよくない。
【休息万命急急如律令】はお試しとして、こんな呪術があるよ~って感じで配っているおそらく初心者向けのスキルだ。
初心者向けであの使い勝手の良さなら、上級者向けの呪術にも期待が持てそうだしなんとしてでもその辺りの実績は頑張ってもらいたいものだ。
「わかりました、こうしましょう。
【ブーメラン冒険者】さん、検証班と協力して山間部エリアの攻略を進めてみませんか?
きっと力になれるはずですよ?」
「うーん、いいのかなっ?
ちょっとそれは考えさせてねっ?
姉とか東と南のトッププレイヤーたちにも確認取ってみるねっ?
私一人だけで判断すると争いが起こりそうだしっ!」
「……既得権益争いですか……
返答は気長に待つとしようか……ハァ……」
【検証班長】ががっくりと肩を落としている。
哀愁漂ってるな……
既得権益……その辺りは底辺種族【包丁戦士】緩いですよね。
それがいいことでもありますし、悪いことでもありますが。
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