129話 考察会議は踊る!~導入編~
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
なんか久しぶりに【菜刀天子】のレイドバトルアナウンスを聞いたような気もするが……そんなことなかったぜ。
2日ぶりなだけだからな……
おっかしいなぁ……?
「何よく分からないことを言っているんですか?
全く……これだから底辺種族【包丁戦士】は。
とりあえず、レイドボス攻略お疲れさまでした。
これでようやく2体の聖獣を攻略したことになりましたね……」
そうだな。
このゲームのサービスが開始してから結構時間経ったが、明らかに討伐のペースが遅いとは俺も薄々は思ってたけど。
「確かに他の次元と比べると聖獣の討伐ペースは遅いですからね……
ですが、それ以外で開放されている要素で勝る部分もありますから、気を落とさないように」
なるほどな。
……というかなんかやけに優しい気がするぞ。
なんか変なものでも食べたか?
いつもと違う態度の【菜刀天子】を気遣ってみる。
「宝物庫にあった【包丁戦士】料理は食べましたが……
別に特別優しくしているのはわけではないですよ」
どうだかな?
というか俺の料理勝手に食べたのかよ!
……この雰囲気からすると毒物料理を食べたわけじゃなさそうだけど。
それで、なんか俺に用事があるんだろ?
「実はもうじき第二回次元戦争が始まる……という告知がありますね。
今回の参加者は次元代表者……ここだと【包丁戦士】です。
それ以外だと、トーナメントの優勝者……ここだと【包丁戦士】になってしまい被るので準優勝者の【釣竿剣士】を連れていきます。
あと1人は次元代表者が好きに選んで連れていけますね、今回はフレンドじゃなくてもいいようです。
運営が【包丁戦士】に配慮したようですよ?」
あー、俺ってそんな不憫な状況に陥ってるんだな……
フレンドを任意で登録できないのは地味に不便だ。
【渡月伝心】でのフレンドコールがほぼほぼ無意味になってるのは、機能的にも気分的にも虚無感が半端ない。
まあ、それでも配慮してくれてるならいいか。
とりあえず次元戦争に連れていくメンバー考えとくわ。
告知サンキュー!
「精々、役立ちそうな人を選んでくださいね?
流石に勝ちに行きたいですから、ここで変なもの連れてきたら承知しませんからね?
底辺種族【包丁戦士】自体がそもそも変なものみたいですが……」
変なものとはいい度胸じゃないか?
覚悟しておけよ?
そう言い捨てながら俺は【菜刀天子】がいる王宮を後にした。
俺にはこの後の用事が詰まってるからな、こんなところで油を売っている暇なんてないのさ。
というわけでやってきました検証班のたまり場、樹木をくり貫いてできた自然建築【メッテルニヒ】!
ここでまいどのごとく【検証班長】との会議があるってわけだ。
昨日、俺が消える前にここに来てほしいって【検証班長】が慌てて叫んでいたからとりあえず来てみたってことね。
樹木の建物の入り口に俺が立つと、中から出迎えるように白衣を着た細身のメガネ男が出てきた。
こいつが検証班のリーダー【検証班長】だ。
「誰に説明しているのかわからないけど、説明ご苦労様だね。
ようこそ、メッテルニヒへ!
他のメンバーも来てるから、はやく上がってくるといいよ」
そういって、中に入るのを促される。
一階の広間を抜けて、二階へと上がっていくとそこにはボマードちゃんと【ブーメラン冒険者】がいた。
「いや~、やっばり【包丁戦士】さんも来たんですね!
あのレイドボス攻略で一番無茶苦茶なことをやったのは【包丁戦士】さんですから、予想できてましたけど」
無茶苦茶なのはお前もだろロリ巨乳!
ボマードちゃんが開始早々俺を煽ってきた。
中々煽り耐性ついてきてるな。
「私初参加なんだけど、いつもこんな感じなのかなっ!
楽しい雰囲気で良かったよっ!」
女装男の娘の【ブーメラン冒険者】が安心している。
こいつが呼ばれたのは……レイドバトルで使っていたお札を使うスキルとかその辺についてか?
よくわからんが、こいつならいても問題ないだろう。
「さて、君たちを呼んだのは他でもない。
これから考察会議を開始する!」
ドンッ!という効果音が出そうな感じで無理やり会議の開始宣言をして話を進めた【検証班長】。
リーダーとは、時にはこういう強引な手段に踏み切れるやつが一番強いってよく言われてるから……
それにしても強引だったが、まあいいだろう。
それで、今回最初の議題はなんだ?
会議の議長、進行役の【検証班長】に問いかける。
こいつを起点にしておけば、何事も間違いないからな。
「最初は……そうだね……
【ブーメラン冒険者】さん、君の使っていたお札のようなものを媒介にしたスキルについて教えてもらえないかな?」
やっぱりそれか。
未知の情報よりもまず、確実に知っている人がいる情報から引き出して会話が停滞するのを防ぐ上手い話題選択だ。
こういうさりげないところで【検証班長】の手腕が発揮されてる。
「あっ、スキル【休息万命急急如律令】のことだよねっ?
このスキルは実績照会にも出てきていた【下克上の陰陽妖狐】から教えてもらった呪術スキルだよっ!」
さっそくぶっ込んできたな、おい!?
ほう。
【Bottom Down-Online Now loading……】




