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126話 ひっくりかめ

 ability【天地逆転】についての効果を聞いたが、見事に色々と逆のものを生み出したりするabilityみたいだ。

 普通にプレイしたいプレイヤーが持ったら、面倒臭そうなabilityだ。

 

 ……いや、abilityで面倒臭そうじゃないやつ知らないけど……




 「それでっ、ability【天地逆転】でどうするのっ?」


 どうしようか……

 攻撃力分回復効果を上げる……?これはだめじゃないか?

 ここまでダメージ与えたのに回復させるのは嫌すぎる。


 耐性を反転させる……のは意味なさそうか。

 

 だめじゃん。

 【ウプシロン=ウーグウイ】の耐性を反転できたらワンチャンあるかな……?と期待したが、よくよく考えたらあいつの耐性とかわからないし、そんなことなかったぜ。



 それなら……こけさせるか。


 「え~、それやりたくないんだけどなっ!

 恥ずかしいしっ!」


 何人もの命が散っていってるのに、今さら恥ずかしいも何もないだろう。

 それくらいは我慢してくれ。


 それに、もし【ウプシロン=ウーグウイ】をこけさせることができるなら大きな隙を作れるチャンスだ。

 【ブーメラン冒険者】が今まで説明とかしなかったり、自分で使おうとしてなかったのはまあ一応理由があったみたいだが、こんな最終局面でそんな手札があるなら使わないわけにはいかないよな!

 さあ、使え!


 「闘技場イベントとかで見てて思ったけど、【包丁戦士】さんって結構強引なところがあるよねっ!

 でも、そういうところが私好きなんだよっ!

 いいよっ、使ってあげるability【天地逆転】スリップモード!」


 なんかどさくさに紛れて俺に半分告白のようなことをしてきた【ブーメラン冒険者】。

 こいつ、パッと見女の子にしか見えないが、男だからか普通に少し照れる。


 まあ、それは置いておくにしてもabilityをちゃんと使ってくれたようだな。

 ここで使ってくれなかったらどうやって締め上げようか考えていたところだったが、その必要も無くなったみたいだ。




 ability【天地逆転】を【ブーメラン冒険者】が発動させると、手に持っていたブーメランが鈍い色で光り始め、その光が徐々に強くなっていく。

 そして、手に持っていたブーメランが光で見えなくなった頃を見計らって【ブーメラン冒険者】は【ウプシロン=ウーグウイ】へとブーメランを投擲した。


 グルグルと回転しながら光を放つブーメランが飛んでいくなか、俺もブーメランの後を追うように骨の翼で飛翔する。


 この光るブーメランが効果を発揮したら俺も奥の手を使うつもりだ。

 【堕枝深淵】で棘ミサイルをはたきながら俺はそう考えている。

 ……この黒い枝の使い勝手結構いいな。

 深度に依存する性能だからか、俺が使うとそれなりの仕事をしてくれたりする。

 【検証班長】とかボマードちゃんが使ったらまた話は違うんだろうが、それでもいい感じだ。







 そして、回転しながら【ウプシロン=ウーグウイ】に突き刺さったブーメランが効力を発揮しようとしていた。

 ブーメランを包み込んでいた鈍い光が【ウプシロン=ウーグウイ】の身体全体を包み込んだ。


 そして、後方にいる【ブーメラン冒険者】の身体も同様に鈍い光に包まれた。

 ……くるか!?



 そして、光に包まれた一体と一人はability【天地逆転】の名にふさわしいくらい見事に天地逆転した。

 ……つまり頭からひっくり返ったってわけだ。


 ギャグマンガのように見事にひっくり返った【ウプシロン=ウーグウイ】は甲羅の重さで体勢を整えられないのか、足をバタバタさせて起き上がろうとしている。


 【ブーメラン冒険者】はめくり下がろうとしているスカートを手で抑えている。

 ……お前男の娘だよな、そういえばなんでスカート履いてるんだ?


 「べっ、別に男でもスカート履いてもいいでしょっ!

 ……着たいものを着てるだけだよっ!

 というかやっぱりこの姿勢は恥ずかしいよ~っ!?」


 着たくて着てるなら別に問題はないな。

 もしかしてあの双子の姉の【短剣探険者】に無理やり着せられてるのかと思ったんだが、ちょっとだけ安心したわ。

 あいつは拗らせてたから、下手すると強要しててもおかしくなかったように思えたからなぁ。


 まあ、それは置いておくとしてこんな大きな隙を作ってくれたことに感謝だ。

 ここからが俺の奥の手披露タイムだ!


 いくぞ、スキル【深淵纏縛】発動!

 これでキメてやるぜ!



 デメリットがかなり大きいスキル【深淵纏縛】を発動させたが、今回は前に発動させた時と違って【P(エルル)細胞】を選択した。

 そうするとどうだろうか、俺の背中に生えていた右骨翼周辺にもやがかかり、黒い羽が形成された。

 また、それと同時に俺の身体も黒いもやに覆われて、新たな服へと変化させていく。

 そして、黒いもやが晴れた時、俺が着ていた服は緑色がメインで、黒色のフリルのついたゴスロリへと変化していた。

 うへー、まさかこの俺がゴスロリを着ることになるなんて思っても無かったぞ……


 いや、たしかに服のデザインとか可愛いのはわかるが、それを俺が着てもなぁ……


 とりあえずゴスロリモードの俺が【ウプシロン=ウーグウイ】の腹の上空へと顕現したとき、いつものように無機質な声のアナウンスが頭に鳴り響いた。


 【Raid Battle!】




 【深淵域の管理者】




 【最上級深淵適正者(贄)】




 【レイドバトル同時発生につき難易度が上昇します】




 【正規のレイドボスではない者が混ざっているため、大幅に難易度が低下します】



 【ワールドアナウンス】




 【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】




 【消滅まで00:05:00】




 【Warning!】




 【深淵を押し止めるため】




 【冒険者を俯瞰する】




 【深淵種族の【深淵域の管理者】の地上顕現時間が制限されます】




 【深淵種族の【深淵域の管理者】の顕現中【ウプシロン=ウーグウイ】によるプレイヤーへのダメージが無くなります】




 【【深淵域の管理者】送還まで00:03:00】



 ここがお前の処刑場だぁ!

 目にものを見せてやる!






 イキイキしてますね……

 全く……これだから底辺種族【包丁戦士】は……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 男の娘でも恥じらってる姿っていいっすよね [一言] おそらく弱点剥き出しの状態にして ダメージなし状態に入りましたね これで決めれるかな もしかしたら第二形態残してますかね?
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