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121話 スパートかけよう

 俺のチームでいつの間にか死に戻りをしていた、鞭で動きを拘束してくれていた【モブ包丁1】【モブ包丁2】、モップに仕込んでいた針山でひたすら突き刺していた「大したものですね」が口癖の【モップ清掃員】を除いたメンバー全員を集めて再度【包丁戦士】チームとして活動を再開した俺たち。


 なんか振り返ってみるとまともな指示出して無かったから、そろそろまともにチームリーダーとして活躍しておかないとな!


 【槌鍛治士】は悪いが玉砕覚悟で突っ込んで行ってくれ!

 【魚尾砲撃】で活路を開くんだ!


 「わかったぞ!!

 お前のためならこの身を捧げて、一矢報いてやるぞ!!」


 むさ苦しい見た目をしているが、やっぱり返事まで頼りになるな【槌鍛治士】は。




 次、【短剣探険者】と【ブーメラン冒険者】はどうせ変わったなんかスキル持ってるだろ?

 それ使って全力で戦場をかき乱してやれ!

 空を飛べるスキル持ってた気がするし、優先的にそれを使って衝撃波対策も忘れずにな。


 「了解ダヨ~!

 前に戦った後も行ったこと無かった場所に行って位置情報を増やしてきたから、スキル【竜鱗図冊】とability【天手古舞】の完成度も上がってるから期待シテテネ!」


 「そういえば【包丁戦士】さんに私の手札見せてなかったねっ?

 でも、全力ってオーダーなら任せてっ!

 【短剣探険者】お姉ちゃんにも負けないやつ見せつけてあげるからっ!」


 特に【短剣探険者】は直接戦ったことあるから知っているが、スキル【竜鱗図冊】とかability【天手古舞】という竜の姿になれるやつ持ってたからな。

 あれである程度浮けるなら、地面を這うように広がってくる衝撃波を気にせず攻撃に集中できるだろう。

 俺のP細胞バージョンの【深淵顕現権限】みたいなものだろうな。


 そして、【ブーメラン冒険者】はそんな変わったスキルやabilityを持ったやつの双子らしいからな。

 どうせ、こっちも変わったかくし球の一つや二つ持っているに違いない。


 代表戦に上がってきているくらいの実力者だし、その辺はあんまり心配してない。

 期待してるぞ。



 そして、最後ボマードちゃん!

 お前はそのタンクトップロリ巨乳で誘惑!


 「いや~、了解です?

 うっふ~ん?」


 ボマードちゃんはその小さな体躯で前屈みの姿勢になり、そびえ立つ二つの巨大な双丘を主張するようなポージングをし始めた。

 

 【検証班長】のチームにいる男共が一斉に息を呑んだような音が響き渡った。

 ちっ、やっぱりロリ巨乳は強いな……


 ……じゃなくてだな。

 おい、本気にするな!

 脳内お花畑か?

 お前はレイドボスにそんな誘惑が通用するとでも思ってるのか?


 「えっ、なんでですか!?

 【包丁戦士】さんがやれって言ったんじゃないですか、酷いですよ!?

 いや~、流石の鬼畜っぷりですね……」

 

 まさか本気にするとは思ってなかったからな……

 とりあえずお前は【深淵顕現権限】でヘイトを奪っておいてくれ。

 やられるときに【名称公開】でデバフかけとくのも忘れずにな。


 お前がやられ次第、俺が【深淵顕現権限】でヘイト管理するのを引き継ぐ。

 まあ、ボマードちゃんがそんなに持つとは思ってないから気軽に行っていいぞ~。


 「いや~、頼られてるのか貶されてるのか、気遣ってくれているのか判断に困るところですが……

 そういうことなら任せてください!

 私も頑張りますよ~」


 「【包丁戦士】チームのみんな!

 総員同時に俺の指示通りの動きを開始してくれ!」


 「「「「了解!」」」」




 俺たちの声に反応して【ウプシロン=ウーグウイ】がスキル【花上楼閣】で棘ミサイルを飛ばしてきた。

 これを対処するのは【槌鍛治士】


 「こいつはワシに任せろ!

 お前たちの活路はワシが拓く、スキル【魚尾砲撃】発動だ!!!」


 【槌鍛治士】の身体にエネルギーがたまっていくのを感じる。

 そして、棘ミサイルが身体を貫いた瞬間爆発した。


 【ability【会者定離】が起動しました】


 その間に他のメンバーの準備がはじまる。


 「イクヨっ、スキル【竜鱗図冊】っ!

 ability【天手古舞】っ!」


 目の前の女の腰に提げられていた巻物がぶわっと広がり帯のように伸びていく。


 そしてその巻物から六角形の竜の鱗のような物が飛び出てきて【短剣探険者】の短剣と身体を包み込んだ。


 そして青く光輝くとそこにはあの竜人ギルドマスターを成長させたような姿の【短剣探険者】がいた。



 前に対戦したときは、鱗はまだ疎らで身体の2割くらいしか覆われてないし、羽や尻尾もハリボテに近いくらい脆そうな感じだったが、今は少しだけ鱗の割合が増えて三割ほどになっている。


 「私も行くよっ!

 スキル【竜鱗図冊】っ!

 そして、ability【天地逆転】だよっ!」


 先程と同様に【ブーメラン冒険者】の持っていた巻物から六角形の竜の鱗のような物が飛び出てきて【ブーメラン冒険者】のブーメランと身体を包み込んだ。


 だが、鱗の色が青色ではなく赤色だった。

 【ブーメラン冒険者】の身体は1割ほどしか覆われていないが、チュートリアル武器であるブーメランは5割ほど赤色の鱗に覆われた。


 ……組み合わせるabilityによって【竜鱗図冊】の作用が変わるってことか……


 【短剣探険者】は鱗の覆われた短剣を手に【槌鍛治士】の自爆によって切り開かれた道を進んでいく。

 【ブーメラン冒険者】はその進路を妨害しようとする棘ミサイルを鱗付きブーメランで守っていく。

 ブーメランは弾かれてもすぐ手元に戻り、再度投擲することができるようだ。


 「いや~、こんな大舞台失敗するわけにはいかないですよね!

 【包丁戦士】さんだけのスキルじゃないってことを見せつけてあげますよ、【深淵顕現権限】です!」



 ボマードちゃんはスキルを使ってくれた。

 ここは深淵奈落と同じ環境になっているので、本来必要な生け贄は必要ない。


 ボマードちゃんがスキルを発動すると、臀部から湧き出すように粘液が垂れ出てきて、それと同時に触手のようなウナギの頭が隆起した。


 ウナギ尻尾からは溢れるようにどろどろの粘液が垂れている。


 「ヨォ、俺様の半身!

 イャ~、あれは暴飲暴食の聖獣カァ!

 コリャ~、いっちょ俺様の力を見せつけてやるゼェ!」


 ボマードちゃんが乗っ取られ、深淵種族ジェーさんの意識が浮上してきた。

 ロリ巨乳でこの口調はそそるものがあるな。


 あっ、ジェーにも伝えておくけど、死にそうだったらボマードちゃんに意識返して【名称公開】だけ使わせてあげろよ。


 「オッ、了解ダァ!」


 【Warning!】




 【聖獣【ウプシロン=ウーグウイ】が深淵種族の気配を察知しました】





 【聖獣であるが故に】





 【深淵と敵対する】





 【ボマードにヘイトが極大集中します】



 よしっ、ここからがラストスパートだ!






 ……俺?

 チームが戦ってるの後ろから見てるだけ。

 後方でヘイト奪わないといけないから待機してるんだ、仕方ないね……







 狂人と言ってもトッププレイヤーと呼ばれるだけはありますね……

 全く底辺種族【包丁戦士】は、普段からこれくらいやってください……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] 包丁戦士とジェーの共闘キタ ボマードちゃん素直に言うこと聞き過ぎだよ 会者定離が発動したけど、未だに効果が良く分かんないっすね [一言] 槌鍛冶士、奴はいい漢だったよ
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