1143話 二つの心得
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【(妖怪)】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は【トランポリン守兵】お嬢様のところにいくぞ!
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
クラン【お屋敷組】のあるエリアで待ち合わせていたというわけだ。
「あら、【包丁戦士】様!
随分とお早い到着ですわね!
時間までまだ一時間もありましたのに」
そう、暇だったから待ち合わせ時間までテキトーにこのエリアをぶらつこうと思っていたんだが、どうやら相手側も早く待機していたらしい。
計画とは違うが早めに会えたのなら前倒しにしてしまえばいいだけだな!
「そういうことですわね!
あなた様は次のレイドボス攻略のためにあの崖のエリア名【瀦溜断崖アキュムクリフ】を暴き出していただきましたので、ワタクシもその分戦いで貢献させていただく予定ですわ!
エリアについてもレイドボスについても、名前を判明させるというのは重要なことでしてよ!」
それは包丁次元全員が実感していることだからな!
明確に難易度が変わってくる要素なのだから、それを判明させられたらそれだけでレイドバトルでの貢献度は高いと言えるであろう。
この辺は俺以外でも他の四方トッププレイヤーたち、【短弓射手】、そして【トンカチ戦士】辺りがこれまで達成している。
その中でも特に俺と【トンカチ戦士】の割合が高い気がするので、俺がMVPプレイヤーとして次元戦争に参加できなかったら【トンカチ戦士】が代わりに参加することになる……のかもな?
その辺の代役の選定基準が不明だから何とも言えないけど。
「【トンカチ戦士】様も剛毅なお方ですわね。
あなた様と違いムードメーカータイプのプレイヤーですが、時折【包丁戦士】様と似たような雰囲気になることがありましてよ!
【フランベルジェナイト】様との戦いの最中でそうなる機会が多かった気がしましてよ?」
俺と直接関わることのほとんどない【トンカチ戦士】だが、こうやって実力や人柄を評価されている辺りプレイヤーとしても一級品なのだろうな。
一回くらい直接対決してみたいが、普段いるエリアやタイミングの関係で会うことすらままならないのでせめて【ハリネズミ】たちが海戦で勝てるようにアシストしてやるしかないけど。
「ワタクシのクランも負けませんわよ?
今は豪華客船を作って快適に海エリアを探索出来るようにしている最中ですわ!
戦艦に戦闘力は必要ですが、船の用途は戦艦だけではありませんわよ!
その部分で【紅蓮砂漠隊】や【コラテラルダメージ】と差をつけましてよ」
確かに広さや戦闘力で考えるなら魔海城船アンサンセを上回る性能の船を越えるのは費やすリソースのことを考えてもあまり現実的じゃない。
あれは天子王宮の宝物庫にあった有り余るリソースを引っ張り出して作ったロマンの塊のようなものだ。
だからこそ、別の側面での需要を満たしていくのは悪い選択肢じゃないはずだ!
レイドバトル中や長距離航海探索中では【トランポリン守兵】お嬢様のクランが作る豪華客船の方が役立つ可能性は高い。
快適さを追求するというのはこれまでに無かった形だからだ!
「もちろん、戦闘力という点でも手を抜くつもりはありませんわ!
快適さと戦闘力、その両方を兼ね備えてこそワタクシが率いるクラン【お屋敷組】に相応しい船と言えましてよ!
戦う時も優雅たれ……ですわ!」
常在戦場の心得と似て非なるものだな。
戦場であっても日常の余裕を忘れないというのもまた一つの考えだろう。
どちらが優れているとかそういう話じゃなくて、どちらも心得ている人が一番強いのだろう。
「それは中々難しい話ですわね……
達人、超人、仙人のような類いにならなければ実行困難なものだと思われますわ!
【包丁戦士】様は出来まして?」
いや、俺も無理だな。
俺がこのゲームで会ったプレイヤーの中でも確実に出来そうなのは、釣竿次元の【師匠】レベルの超越者くらいだな!
無理無理!
諦めないでくださいよ……
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