1139話 ルル様からの労働命令
【Raid Battle!】
【深淵域の管理者】
【エルル】
【???】【上位権限】【ボーダー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【深淵へ誘い】
【冒険者を堕とす】
【深き真価を見極め】
【境界に流転する】
【封印された夢想が解き放たれし時】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は深淵奈落からスタートだ!
昨日ボマードちゃんと【骨笛ネクロマンサー】に念押しされたから一応ルル様にデカブツムカデの名前とか、エリア名とかの情報を仕入れようと思う。
「我に眷属の情報を吐かせようというのは大体不敵だのぅ……
お前が深淵の力を新たに得るということには大歓迎なのだが、それを易々と渡してしまっては深淵種族としての沽券に関わる。
それに、あやつらは我を慕っておるのだからそれを我から一方的に晒してしまうのは不本意であろう。
せめて、何か我に得るものがあれば話は変わってくるのだがのぅ……」
俺がデカブツムカデのことを聞きたいとルル様に伝えた後に言われたことがこれである。
案の定、これ見よがしに対価を要求されてしまったぞ!
ルル様がメリット無しで露骨な優遇をしてくれるとは思ってなかったから想定通りだが、俺から差し出せるものは大してないぞ?
「【八卦深淵板】を置いていってくれるのであれば話が早いのだが、お前がその条件を呑むわけがないからのぅ……」
ん?
ルル様は今も【八卦深淵板】が欲しいのか?
意外なワードが出てきて少し驚いてしまった。
【八卦深淵板】とは俺が天子王宮のダンジョン【誓言の歪曲迷宮】で手に入れた【失伝秘具】だ。
天子であることを証明するものであると同時に、聖獣側が使えば深淵の気配を辿り、深淵側が使えばその力を増大させるという代物である。
……ちなみに俺はこれを一回も有効利用出来たことがない、使い方が分からないからな!
それでも、【深淵天子】であることを維持するなら手放せない。
その他の俺が持っている【失伝秘具】たちも俺の力を維持したり、変身したりするのに必須なものしかないのでルル様に渡せるようなものはない。
まぁ、渡せそうなものも前に【骨笛ネクロマンサー】とボマードちゃんが深淵奈落の中層に進むために差し出したから素寒貧だ!
あの時は【フランベルジェナイト】と【バットシーフ】後輩、それに【骨笛ネクロマンサー】から使わない【失伝秘具】をもらって切り抜けたが、今回はその手が使えそうにないからなぁ……
他にルル様が欲しがるようなものってあっただろうか?
「そうだのぅ……
我に【失伝秘具】が差し出せないのであれば、この深淵奈落で少しばかり働いてもらおうかのぅ……」
深淵奈落で働くぅ~?
これまた珍妙な言い回しだな……
ここに労働環境なんて、あってないようなものだが……
「それはそうだ。
今はお前以外自由に動き回れる存在がいないのだからな。
だからこそ、お前に労働を持ちかけたのだ」
なるほど、ルル様は俺の身体が目当てだというわけだ。
深淵奈落の環境に耐えられるプレイヤーは一握りしかいないから仕方ないといえば仕方ない。
だからこそ自由に動ける俺に白羽の矢が立ったのだろう。
……とはいえ、ルル様の持ちかけてきた労働なんて怪し過ぎる。
安請け合いしてしまうには情報がまだ足りないから、もうちょっと話を聞いてみるとしよう。
「ふむ、多少は乗り気があるようだのぅ……
それならば話だけしておこう。
新たな深淵種族レイドボスが倒されたことによって、前に解放された図書館のように深淵奈落に新たな施設が解放された。
お前にはそこに行ってもらい、そこの調整や整理整頓をしてもらう予定だ」
調整に整理整頓?
身構えていたわりには本当に雑用レベルの用事を頼んできたな……
これならリスクも少なそうだし、引き受けてもいいのかもしれないな!
「そうかそうか。
引き受けてくれるのなら我も肩の荷が降りるというもの。
あれだけ荒れた状態では深淵奈落のリソースを無駄に使っているのと同義であるからな。
【荒野の自由】との闘争や、【勇者】の召喚のことも考えると無駄に使えるものなどない故にな」
ルル様に肩があるのかどうかは別として、それだけ負担になっているものが新たに解放されたということなんだろうが、ルル様にそこまで言わせる荒れ具合ってなんだかちょっと不安になってきたな……
やっぱり止めたほうがいいんじゃないかと内心ハラハラしてきた。
それに【勇者】か……
最近ポロポロと話に出てくるが、【ランゼルート】並のプレイヤーなんて現れないだろ……
そう思っている俺を完全に無視してルル様は話を続けていく。
「新たな施設が解放されたのは【深淵奈落浅層ールルイン】だ。
我が現時点で出せるヒントはそこまでだ。
後は、現地へ行けば自ずと分かることであろう。
では行くのだ!」
ルル様にそうやって送り出された俺はとりあえずルル様の視界から外れてすぐにログアウトしていった……
やっぱりルル様と話していると緊張するから今日はこれで終わりだ!
我の視界から外れたと思っておるようだが、しっかり認知しておるぞ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




