1137話 鴨フラージュ
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ】ー【次元天子】【(妖怪)】【上位権限】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は蜘蛛糸を張り巡らせたんだが、それを引っ張りあげる人員が集まらなかったので今日はそれをどうこうするつもりはなくクランメンバーと喋ることにした。
というわけでやって来ました岩山エリアにあるクラン【コラテラルダメージ】のクランハウス!
普段はここにハリネズミの連中がたむろしているが、今日は海エリアで魔海城船アンサンセを乗り回すらしいので不在だ。
その代わりにいるのは【フランベルジェナイト】と【バットシーフ】後輩だな。
若い男二人に囲まれていると逆ハーレムかよ! 突っ込まれそうだが、実情としては別にそんなことはない。
【フランベルジェナイト】は俺の分身みたいなやつとラブラブだし、【バットシーフ】後輩は訓練で俺にボコボコにされているのでむしろ涙目だろう。
「そうッスよ!
先輩容赦ないから毎回大変なんッスよ……
もうちょって手心とか加えてくれてもいいんじゃないッスか?」
「それは甘い考えだよ。
フェイちゃんが君のためを思って力を入れてくれているんだから、それについていけるように頑張るのが男として道理じゃないかな?」
「ぐぬぬ、このイケメンはいつもスカしたセリフばっかり吐くッスね!
でも、正論だから反論は出来ないんッスけど」
どうやら俺の知らないところでもかなり二人は打ち解けているらしいな。
前々からそんな感じではあったけど、時間を経るにつれてそう感じるようになった。
俺が異性ということもあるかもしれないけど、あいつらが男同士だからこそ親しみやすかったのかもしれないな。
俺では成し得ないコミュニケーションだけあって少し眩しく、そして羨ましいと思う。
「先輩だってボマードちゃんとか【骨笛ネクロマンサー】とかと同じ性別じゃないッスか!
俺っちたちと似たようなものッスよ」
「いや、フェイちゃんは【骨笛ネクロマンサー】と関わるのを止めておいた方がいいよ。
俺やこの【バットシーフ】が絡むのは今さらのことだし、本質的に異物ではあるからね。
でも、フェイちゃんは繊細な心の持ち主だから下手するとあれに心を囚われてしまいかねないよ」
そんな大袈裟な……
俺はそう言いながら肩を竦めていたが、【フランベルジェナイト】はそんな俺とは対称的に何やら危機感を持っているようだ。
「天子や聖獣に心を靡かせた経験があるからね。
フェイちゃんはそうあってはならないというのに……
だからこそ、俺が守ってあげないとね!」
「なんかこのイケメンかなり拗らせてるッスよね?
先輩はそんなに守られるような対象じゃないッスよ!
むしろ暴れる側なのがこれまでの経験から分かるッス」
【フランベルジェナイト】と【バットシーフ】後輩はそれぞれ俺に対しての印象が真逆のようだ。
【フランベルジェナイト】の場合は【フェイ】という守るべき別の対象と混在させているだろうから、実際の認識は【バットシーフ】後輩の方が正しいと思う。
……とはいえ、【フランベルジェナイト】もたまに正鵠を射るような鋭い観点でものを言うことがあるから軽視するのも勿体ないな。
「いやいや、絶対にテキトー吹かしてるだけッスよ!
先輩も真に受けたらだめッス!
【骨笛ネクロマンサー】は変な趣味嗜好してるッスけど、ああ見えて良いやつッス!
遠ざけると多分普通にへこむッスね」
確かに【バットシーフ】後輩の言うように、【骨笛ネクロマンサー】は根暗な感じだが別に感情が死んでいるわけじゃない。
今ここで遠ざけてしまうのは良くないだろう。
それに、次のレイドボス攻略のためにはアイツの蜘蛛糸の力が必要だからな!
必然的に関わり合うことになるので、そもそもの話遠ざけるのは無理だぞ!
「……フェイちゃんならそう言うだろうとは思っていたけどね。
それがフェイちゃんの美徳だけど、危険な存在に近寄るのは止めた方がいいからね。
特に力を失ったとはいえ、【菜刀天子】は未だに権限を幾つか持っているようだから要注意だよ」
まぁ、話し半分で頭に置いておくとするか……
私を警戒しているのですか……?
それともカモフラージュ?
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