表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/2236

105話 不意義なダンジョン

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】


 はい、今日も元気にログイン!

 今日は久しぶりに何もやること考えてない……

 さて、どうしようか。


 「さて、どうしようかではないです。

 底辺種族【包丁戦士】、イベントの報酬で王宮の設備を早く開放してください。

 毎日来ているというのに、なんですぐ使わないのかわかりませんね。

 これだから底辺種族は……」


 おっ、【菜刀天子】おはおは~!

 今日も上から目線の辛辣な言葉攻めが冴えてるな。


 「別に冴えてはいませんが……」


 そうか。

 まあ、別に俺としてはどっちでもいいが。


 というか、そういえば設備開放できるんだったな。

 すっかり忘れて各地を彷徨いてしまってたが、さっさと開放してやるか。

 別に放置しててもメリットなんて無さそうだし。


 【王宮拡張権】使用!

 さらにもうひとつ【王宮拡張権】使用!

 ダブル連続使用だ!


 やるとなったら行動が早いのが取り柄だからな。

 言われたその場で使ってやった。


 権利を使用すると、俺の手に二つの鍵が収まっていた。

 これで本開放するってわけだ。

 

 これで文句ないだろ?


 「まあ、そうですね……

 それで開放されたのは……また探しますか」


 そうだよなぁ…というか前も一日中開放されたはずの施設を探し回った記憶がある。

 たしか64話前の41話のことだな。


 「何を言っているんですか、この底辺種族【包丁戦士】は?

 わけのわからないことを言わないでください」


 まあ、気にするな。

 分かりにくいから説明しただけだ。


 それは置いておくとして、【王宮拡張権】を使用した後に現れたのは2つの鍵だけじゃなかったみたいだ。

 この広間にも変化が現れている。

 空中に鍵穴が浮いているのだ。


 どっからどう見ても、鍵のどっちかで開けてくださいと言っているようなこの鍵穴にとりあえず挿してみる。


 ……こっちは違うか。

 だが、2本目の鍵を挿して回してみるとそこから空間が裂けていき、空間の歪みのようなものになった。


 そして、その空間の歪みを俺が観測したことによる影響か、あの無機質なアナウンスの声が脳内に鳴り響きはじめた。



 【ワールドアナウンス】



 【【包丁戦士】により【誓言の歪曲迷宮】が開放されました】



 【【次元天子】の俊敏性が上がりました】



 また厄介そうなものが開放されたんじゃないか?

 おい、【菜刀天子】!

 【誓言の歪曲迷宮】ってなんだよ!


 「これは……底辺種族【包丁戦士】の深淵適正に影響されましたか……?

 やはりability【会者定離】は……」


 おい、一人で納得してないで俺の質問に答えてくれよ。

 これはなんだと聞いているんだが?


 「プレイヤーである底辺種族【包丁戦士】にも分かりやすく伝えるのなら、ダンジョン……ですね。

 これを聞いてなんとなくイメージが湧きませんか?」


 あー、わかるわかる!

 RPGだと絶対あるやつね。

 深い階層まで敵を倒しながら潜っていって、奥にいるボスを倒してお宝ゲット!……それが定番のダンジョンだと思う。

 かくいう俺も、VRダンジョン作品の中で迷作とファンから声が上がる【不意義なダンジョン】っていうやつをやったことがある。

 タイトルの時点で、そもそも突っ込みどころ満載だ。

 無意義の誤字なのか、造語なのか有識者の中でも長年意見が割れている。



 いわゆるクソゲーなんだが、ストーリーは良い。

 だが、システムが色々ととてつもなかった。

 意図的に仕込んでいるんじゃないかってくらい、バグ技が多かった。

 このご時世そんなゲームは珍しいから、なおのこと人気になったみたいだ。

 落ちているお金を砕くと、腕の当たり判定が無くなるバグにはお世話になった。

 あれで壁のなかにアイテムを錬成できるという更なるバグを生み出したりできるからなぁ。


 そんなバグ要素ばっかりだったが、定番のダンジョン要素は一応入っていた。

 歩くとお腹が減る、所々にアイテムが落ちている、落ちているアイテムは鑑定しないと効果がわからない、罠が仕掛けられているといったものだ。


 おそらく【誓言の歪曲迷宮】もそんな定番をなぞったダンジョンなんだろう。


 ……いや、待てよ。

 このプレイヤーに人権のないどん底ゲームにそんな定番のダンジョンがあるなんてそんな虫のいい話があるわけないだろ!

 むしろ、【不意義なダンジョン】寄りのクソシステムが実装されているに違いない。

 どうせ、鬼畜仕様さ。


 「……ノーコメントです」


 おい、顔を背けながら喋るな。

 俺の目を真っ直ぐ見ながら喋れよ、なあ!


 「この【誓言の歪曲迷宮】は、本来エンドコンテンツとしてもっと後に現れる……と運営が言っていましたが、abilityによる不具合で内部データが引き出されたようです。

 つまり、今のこの次元のプレイヤーたちではまずクリア出来ないでしょう。

 それでも、先取りして得られる情報もあるとは思いますが……私からすると、底辺種族にとって何が良いものか分かりませんから」


 俺のability【会者定離】ってそんな変なabilityなのか?

 たしかに今まで想定外のことばかり起こしてきたが、そんなability実装していいのかよ……


 「いえ、ダメですね……」


 だよな……









 なんとなくセンチメンタルな感じになってしまいましたね……




 【Bottom Down-Online Now loading……】


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ