序章+一章
序章
少年は死んでしまった少女に問う。
「なぜいなくなってしまったのか。」と。
死んでしまった少女は少年に問う。
「なぜ私を好きになってしまったのか。」と。
生きる少女は自分に問う。
「なぜ恋なんてしてしまったのか。」と。
一章
好きだった美里が死んでしまった。病死だった。
なぜ自分には伝えてくれなかったのだろうか。
仲が良くなりたいと思っていたのは自分だけだったのだろうか。
「おーい。」
もしかしたら自分は嫌われてしまっていたのではないk
「おーいっ!聞いてる?」
「あぁ。美冬か。どうした?何か用か?」
「何かって...もう一週間したら文化祭でしょ?文芸部は部誌を書くんだから、そろそろ始めないと...」
「わかってるよ。」
「ほんとにわかってるの?美里が中心でやってくれてたんだから、代わりに私達が中心に...」
「わかってるよ!」
思わず声が大きくなる。
「わかってる...わかってるよ...でも...でも俺は...美里が...好きだったんだよ...さすがにまだ立ち直れないんだ...」
美冬が悲しそうな顔をした気がする。多分気のせいだろう。
「と...とにかく!締切は守ってよね?」
「あぁ。わかってるよ。」
そうして俺は立ち上がる。そろそろ行かなければ。
ドアを開けたとき
「部室...毎日開いてるからね。」
と言われる。たまには部室に顔を出せということだろう。
その優しい気遣いが、嬉しくもあり、悲しくもある。
あの部屋は、まだ美里の死を乗り越えられていない自分にとっては、美里の色が強すぎる。
「またな。」
ドアを出るとき、美冬の顔は見ることが出来なかった。
序章だけだと文字数が足りないので、一章も一緒に公開します。三章まで連続で公開します。