第98巻
第108章 追試[3]
1週間が経ち、山門は高校の教室にいた。
「チャイムと同時に、始めてください」
全学年で6人しか、受けていない追試を受けている最中だった。
高校のコンピューター部には、鈴や桜が待っていた。
その場で採点し、結果が分かるということだったので、山門が来るのを待っていた。
「いつ終わるのかな…」
「9時から1時間ぐらいって言っていたから、始まってもいないわよ」
鈴と桜は、パソコンを前にして、いろいろと話していた。
山門はチャイムが鳴ると、同時に目の前の机の上に裏返しにされていたプリントをめくり、英語の問題を解き始めた。
チャイムが聞こえてくると、鈴はそわそわし始めた。
「大丈夫だって、山門は、しっかり勉強したんでしょ?」
「それだけど、心配になるでしょ」
「鈴がそわそわしても、仕方がないでしょ。山門なら大丈夫。信じないと」
「そうやで、わが弟やねんからな。必ず大丈夫や」
琴子が鈴のすぐ横に立って話し出した。
「いつの間に、弟になったんだ?」
「今からや。それにな、そんな細かいこと気にしとったら、長生きできへんで」
雅の突っ込みに、すぐに琴子は答えた。
「とりあえず、何かしておこう。ここにずっといても暇だし」
桜が鈴だけに話した。
琴子と雅は、姉弟ケンカの様相になりつつあったから、二人とも無視した。
50分たった時、もう一チャイムが鳴り、山門は持っていたシャーペンを置いた。
「では、前に持ってきてください。採点が終わるまでは、帰らないでください」
先生が6人にそういうと、一人ずつ持ってこさせた。
コンピューター部では、ちょうど掃除をしているときだった。
「どうなったのかな」
掃除も手に付かないと入った雰囲気で鈴が、オロオロし始める。
「大丈夫、落ち着きなって」
桜がホットプレートを机の上に並べてコンセントをつないでいる。
位置を確認しながら、机の上用の小さな箒を手に持って立っている鈴に話しかけた。
「そうだよね」
自分に話すように言った。
ちょうどその時、コンピューター部のドアが開いた。