97/688
第97巻
第107章 追試[2]
翌日の午後1時少し前、山門の家に黒いリムジンに乗った家庭教師と鈴がやってきた。
「こんにちは」
「こんにちはです」
山門の親は買い物に出かけていたが、妹と山門本人が玄関で出迎えた。
「初めまして、山門です」
女性の方が、玄関に立っていた。
普通の私服で、どこかのスーパーで売っていそうな服装だった。
「よろしくね」
持ってきていたカバンを玄関に置くと、鈴と一緒に上がった。
「どこにいけばいい?」
「2階の自室でお願いできますか?」
「いわよ」
山門が聞くと、すぐに快諾したので、2階にある山門の部屋へ案内した。
妹である華音は、途中まで一緒についていっていたが、部屋の扉の前で華音の部屋へ入っていった。
「どのあたりが分からないの?」
「どのあたりだろ…」
山門は教科書をめくって、考えてみた。
「最初の方は、テストでも得点高かったから、多分大丈夫。だから…」
ある単元のところへ入ると、手が止まった。
「このあたりから、ずっと最後まで」
「分かった。じゃあ、頑張りましょう」
残り、1週間で、どこまでいけるのか、それは彼らにもわからなかった。