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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
修了式編
92/688

第92巻

第102章 部の総括[1]


料理部へ行った幌は、なぜか情報部の星井出と一緒にいた。

「なんでお前が料理部に来るんだよ」

幌が聞くと、星井出は一言だけ言った。

「部長がここでやるってさ」

狙いは一つだけだとわかっているが、幌は何も言わなかった。


「こんにちはー」

幌は部室のドアを開けると、すでに何人か部屋の中にいた。

「先に来とるよー」

手を上げて幌を手招きしているのは、琴子だった。

だが、思っていたよりも人数が少なかったようで、幌に聞いてきた。

「あれ?雅は?」

「雅だったら、アニ研の方に行ってからこっちに来るってさ。それで、今日の食材は?」

「鈴から提供を受けたヒレ肉やで。先輩らは幌を作るのを見たいってゆうてて…」

「別にかまわないよ。準備するからちょっと待ってて」

そう言って、カバンを星井出に預けてからエプロンをつけ、銀色のトレイに載せられた300gの豚のヒレ肉に、常時置いてある塩や胡椒などで下味をつけ始めた。

「それで、いつからここは情報部と公安部の部室になったんですか?」

幌は、その場にいたそれぞれの部員に聞く。

「ここは部室じゃなくて、"部活動をするうえで必要な部屋"の一つ。料理部の視察のついでに居させてもらってるだけだから、問題はない」

堂々とした態度で、情報部部長が言い返した。

幌が作っている間、公安部と情報部は一年間の総括をしていた。

どこの部活でもしていることであり、報告書を作成し情報部へ提出することになっている。

「さて、この1年間どうだった?」

公安部部長が2つの部活の部員に聞いた。

「4月に立てこもりがあって…ケンカも数件あったね」

「夏休みには鍵がかけられていた地下通路に金塊が眠っていたし…」

「体育大会のころには、夏バテで何人か病院に運ばれてったっけ」

「文化祭もなかなか盛況だったね」

何人かがそれに応じるようにうなづく。

「ほかに何かあったっけ」

「カップルになったのは15組で、そのうち他校の人と成立したのは3組。別れたのは4組で、他校の人とカップルになっていた人は2組だね」

「別れるのもひっつくのも勝手だけど、数字を書き換える必要があるから、面倒なのよねー」

持ってきていた報告書を見ながら、それぞれが思い思いに話す。

「別れたり、ひっついたり。なんでこんなものまで統計を取る必要があるんですか」

「さあ」

公安部部長は、氷ノ山にさらっと言った。

「ほら、そんなことよりも、出来たぞ」

幌が、一口大に切ったヒレ肉を、近くに適当に積まれていた皿の一つに盛って持ってきた。

「ご飯は無しな、炊いてないみたいだから」

「そりゃ残念」

そう言いながらも、一人1切れしかなかったが、部屋の中にいた全員がゆっくりと食べていた。

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