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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
立てこもり編
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第9巻

第14章 立てこもり


警察が来たのは、放送部の部員たちが警察に連絡を入れてから10分後だった。

「遠くからサイレンの音が聞こえてくる…」

犯人たちは、その音に耳を傾けていた。

雨は本格的に降っており、外の音はほとんど聞こえない状態にもかかわらずである。

「誰かが連絡を入れたんだ。体育館の中にいない誰かが…」

「さて、この学校の中でそのようなことが認められている部活と言えば、情報部か」

そう呟くと、いちばん扉の近くにいた人に合図を出し、部屋を見に行かせた。

それを見ていたのが、放送部の面々と情報部にいた全員だった。


放送室内から見ていた一行は、作戦会議を始めた。

「どうする、これから」

「ここを動かないことが一番でしょ。殺されたくないもの」

そう言いながらも、外の人と連絡を取ろうとしていた。


情報部は、カメラを動かして相手の様子をうかがっていた。

その時、山口が言った。

「この人が持っている銃、『Smith & Wesson社』の『M29』ですね」

「え?」

「向こうの人の銃は、『Ceska Zbrojovka Uhersky Brod 社』の『CZ 75』ですね」

「ちょっと…」

「『Goncz社』の『GA-9』や『Heckler & Koch社』の『MP7』も持っている人いますね」

「待って待って、何で分かるの?」

「彼女は、武器マニアですから。ちなみに、M29、CZ75、GA−9はハンドガン、MP7はサブマシンガンですね」

永嶋が情報部の部長にすかさず言った。

「…分かった。武器はわかったから、それをどうやって警察に連絡するかが問題だ」

公安部部長は悩んだ。

その答えは、すぐに出てきた。


放送部から校内電話がかかってきたのは、この話の直後だった。

「あ、もしもし。放送部部長の文版です」

「情報部部室です。もしかして、いま体育館にいますか?」

「そうです。外部と連絡を取って警察を呼んだところです」

「ありがと。それと一緒に、少し警察に教えておきたい情報があるんだけど…」

部長は、そう言って先ほど山口が見て分かった範囲の銃の種類を教えた。

「…ということを、警察に連絡をしてほしいの」

「分かりました。では、連絡をしておきましょう」

文版は、それだけ言うと電話を切った。

そして、携帯を取り出すと、警察へ連絡を入れた。


情報部は、人質に取られていない人たちがほぼ集まっていた。

「すぐ外に、敵兵発見。どうします?」

テレビ画面を見ていた、情報部2年が言った。

「無視しといたほうがいいと思いますね」

星井出が意見を言った。

「料理部に、敵兵侵入。でも、撃退しています」

「どうやって」

公安部部長がいった。

「フライパンで相手の頭をぶん殴っていますね。その場に沈み込んでいます」

「…料理部にも校内電話を入れておくか?」

「ここにいる部活は、コンピューター部、情報部、公安部、それと天文部だったね。わかった。料理部の部員数は?」

「合計6名が今日出席しているようです」

「6人ぐらいなら、まだ入れるわね」

そして、料理部に連絡をいれ、こちらに来るように伝えた。


「情報部からでした」

料理部では、敵兵を倒した直後に連絡が入ってきた。

「情報部の部室に来てほしいということなんですが、どこにあるんですか」

「向こう側だ」

「つまり、女子高側ですね」

幌が部長に言った。

部員が全員、琴子のほうを見た。

部室がどんな状況になっていても、冷静に作っていたご飯を食べていた。

「え?」

武器として使っていないフライパンから直接食べていた。

「そうだ。琴子に頼めば、女子高側の構造もわかっているだろ?」

「せやけど、わてにもわからへんことはあるで」

「ここから行く道はもう分かっているんだ。だから、女子高へは外を出ずに行ける」

「それをはよ言うてーな」

それだけ言うと、一行は料理室から出た。


料理部部長の誘導で、男子高の廊下を次々と歩いていった。

そして、女子高側の校舎の一階にある、赤茶色の扉の前にたどり着いた。

「ここが、女子校と男子校をつなぐ唯一の通路だ」

「部長、何で知ってるんですか」

「昔、あちこち見回っていた時期があってな。それで、ここを通る女子学生を見かけたということだ。さあ、扉を開けよう」

そして、埃が付いていない扉を開けた。


中は、電灯がついていたが、どうにか10メートル程ぐらいまでしか見えなかった。

「すこしくらいですね」

「電灯の間隔は結構あいているな」

「この先に、女子高があるんだね」

「そう言うことだ。さて、進もう。扉は閉めてな」

部長が、一番最後に出てきて言った。

そして、その部長が扉を閉めて、進み始めた。


「暗いな〜」

幌がつぶやいた。

歩くたびに足音が広がっていた。

「なんやか、出てきそうやねー」

琴子は、面白そうだった。

「何で面白そうなんだ?」

「だって、こんな体験めったにできへんやろ。今を楽しまなあかんねん」

「そんなものかな…」

そういいながらも、幌と琴子は並んで一番先頭を歩いていた。


男子高女子高ともに、生徒が一箇所に集められた体育館の中にある、放送室からは、警察に連絡を入れていた。

携帯をかけていた豆見が言った。

「とりあえず、警察は外に待っているって」

「大雨にまぎれてくるつもりね。とりあえず、待ちましょう」

放送部の部長である文版が言った。

そして、鍵をかけたままの放送室に、いまだに閉じこもっていた。


女子高側の出入り口に到着した料理部一行は、その扉を開けてびっくりしていた。

「あの…ここは?」

「情報部部室だ。君たちが、料理部の部員たちだね」

情報部部長が確認した。

「はい、そうですけど…」

「そうか、じゃあ、あの扉はここにつながっていたって言うことか。少し工事をする必要があるな…」

そして、さらににぎやかになった情報部部室へ、校内電話がかかってきた。


放送部は、警察から極秘指令を受け取っていた。

「そちらは、放送部ですか?」

「はい、そうです」

部長である文版が言った。

「よかった。実は、情報部に連絡を頼みたいのです」

「どのようなことでしょうか」

「警察部隊は、すでに女子高側の周囲を取り囲んでいます。相手の武器の種類も一部分はわかっていますので、それに対する防御も整えました。しかしながら、校内にうろついている敵に関してはこちらも情報が無いんだ。それに対して、攻撃を加えてほしい」

「…わかりました。では、連絡を取りましょう」


「…ということなんです」

「わかった。では、情報部としても動かざるを得ない。連絡をありがとう、文版栄美放送部部長」

そして、電話を置いた。

その直後にその場にいる全員に向かって言った。

「これより、情報部、公安部、料理部、コンピューター部及び天文部全部員により混成チームを作り、全校敵一掃を実行する」

「了解」

そのとき、山口が聞いた。

「でも、武器は何かあるんですか?」

「フライパンがある。それで何とかしなければならない。確かに、警官隊は、重装備でs女子高側を取り囲んでいる。敵は男子校にもいることが確認されているが、そちらはすでに警察が占領したようだ。だから、我々がするのは、体育館を除く女子高全体を奪回すること。体育館へ通じる通路はすでにバリケードにより封鎖済み。我々の征服以外の人がいたら、敵と思ってぶちのめせ」

「わかりました」

そして、情報部部員を残して、残り全員が女子高の中へばらけた。

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