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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
卒業式編
89/688

第89巻

第99章 卒業式[1]


遠足でいい雰囲気になったもの、それからまったく進展がなかった幌と琴子だったが、彼らを置いて季節は次のステップへと進もうとしていた。


3月、桜が舞い散ることになると、それぞれのところで卒業式が行われるようになる。

3月3日、桃の節句に情報部と公安部の部員が集まって話し合っていた。

暑くなる情報部の部室の中でしているのは、卒業式の式次第の決定と卒業の時に歌う曲の選定だった。

複数の曲を選定し、最後には3年生全員の投票によって歌う曲を決めるため、どの曲になるかは、彼らもわからない。


情報部の部屋の中にある長机の上に、選んだ曲を並べる。

「今年の選定曲は、『桜ノ雨』『手紙~拝啓 十五の君へ』『空も飛べるはず』『旅立ちの日に』『仰げば尊し』かな」

公安部次期部長の荒田卿弥がリストを上から読み上げる。

「順に『初音ミク』『アンジェラ・アキ』『スピッツ』『埼玉県秩父市立影森中学校』だったね。仰げば尊しは未詳だったね」

歌った人などもリストには書かれていて、それを情報部次期部長の海田大洋(うみだたいよう)が順番を間違えずに読み上げる。

「一つだけ中学校なんですけど…」

氷ノ山がその場にいる3人に聞く。

「旅立ちの日に関しては、当時の中学校の先生たちが生徒たちの思い出になるような曲を作りたいということで作った曲なんだ。だからその中学校名を出したということで」

海田が言い始めたところで、荒田が遮る。

「ハイハイ、雑談はそこまでね。後はこれから投票をしてもらって曲を決めるだけなんだけど」

「今年はどの曲になるか…」

一覧を見下ろしながら、一同は考えていた。


卒業式はピアノ伴奏で歌うことが通例とされていたが、その音量調整は全部放送部の手にかかっていたため、放送部も卒業式の準備に余念がなかった。

情報部からどのようにして式を進めるかについて、いろいろ書いた書類を受け取り、それに合わせる為の曲などを選ぶことに集中していた。

「さて、私たちはどうしようか」

放送部部室の中で文版が2人に話しかける。

「考えてみれば、こんな大仕事、体育大会以来だね」

「そうだね」

宮司と豆見が横に座りながら答えるが、式次第を通しで見ると、何回か練習がいりそうな感じでもあった。

「過去のものを確認しておきたいね」

宮司が続けて言う。

「だったら情報部かな。今いけると思う?」

「連絡してみよか。氷ノ山が情報部だったでしょ」

そう言って、文版が氷ノ山に携帯でメールを送る。


1秒ほどの時間を開けて、ちょうど情報部の部室から出てきた氷ノ山にメールが届く。

「おっと」

携帯を確認し、中身をみる。

そして、部室内に残っていた海田にメールを見ながら伝えた。

「海田部長、友人からメールが来たんですけど」

「内容は?」

「卒業式での放送について過去の資料を見たいということらしいです」

「明日も詰めてる予定だから、そのときに正式に受諾すると伝えておいてくれ。必要な書類も受け取りに来てくれって」

「分かりました」

すぐにそのことを文版に送り返す。


「ん、分かった」

一言だけ文版は氷ノ山に伝えた。

放送部でメールを受け取った文版は、それをみんなに伝えた。

「じゃあ、明日は情報部で集合だな」

「そうなるわね」

宮司と豆見が部室で文版と話し合った。

「氷ノ山にそう伝えといてね、こっちは先に帰らせてもらうわ」

豆見がカバンを肩にかけ、そのままササッと部屋から出て行った。

それから宮司と文版も数分間部室で明日聞きたいことをまとめてから、部屋から出た。

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