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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
遠足編
85/688

第85巻

第95章 遠足[1]


3学期が始まってから2月に差し掛かろうとしていたころ、先生が終礼のときに発表した。

「遠足に行くことになったから。場所は…どこだったかな……ああ、京都だ」

幌たちはそれを聞いた瞬間に、小学校のころからいった京都の寺院や有名どころを頭に思い浮かべていた。

「せんせー、そこには何回も行ってますよ」

「文句があるなら職員会議に言ってくれ。俺じゃなくてな」

生徒の一人に言われてもそう言ってスルーした。

「班決めは明日の6時間目のLHR(ロングホームルーム)でやるから。それまでに誰と一緒に行きたいかを考えておけよ。ついでに言っておくが、この遠足は女子と合同の予定だからな。じゃ、今日は終わり」

「きりーつ……」


家に帰ってから、幌は誰と行こうか考えていた。

「遠足かー…」

「何悩んでるのよ!」

ソファに寝転がっている幌に、桜がその上から冷水のごとく声を浴びせた。

「男は根性!突撃あるのみ!」

桜がそういうが、幌は悩んでいるように見える。

「今回の遠足は男女一緒に行動が基本だろ?」

「基本というか、そうでなきゃダメみたいね」

「好きに選べるんだとしても、誰と行けばいいかわからんしな……」

「なるほど。それで悩んでいたのか」

桜は、ソファに座りなおした幌の横に座った。

「じゃ、私が推薦しようか?」

「俺にか?」

さも当然という口ぶりの桜に、幌はすぐに聞き返した。

「ほかにいるわけないじゃない。じゃあねぇ……」

5秒弱ほど考え、一人の名前を口にした。


遠足の当日、『京都』の『円山公園』にある桜の木の周りに集合ということになっていたが、それ以前にグループで集合する人たちもいた。

『JR大阪駅』の『旅立ちの鐘』前には、幌、桜、鈴、山門がいた。

「雅と琴子は?」

幌がその場にいた3人に聞く。

彼らは一緒に行くことになっていた。

「『JR阪和線』で事故ったらしいからすこし遅れるって」

「また阪和線か!」

「しょうがないって、事故ったら止まるし」

「まだ時間はありますし、間に合うでしょう」

桜が琴子から受けたメールを話すと、3者三様な反応を示した。


暇にあかせて、ある伝説を山門が話し出した。

「そういえば一つ知ってるか、阪和線にまつわる伝説」

「なんの伝説?」

桜がペットボトルを飲みながら聞いた。

「阪和線が詰まったら、関東が風邪をひくっていうものなんだけど。いつか忘れたけど、阪和線の終電が遅れ、阪和線に乗り入れしている『関空特急はるか』が遅れ、はるかと接続している新幹線が遅れ、同じ新幹線と接続している横浜線が遅れ、横浜線と乗り入れしている町田駅まで遅れ、さらに町田駅で接続する小田急最終が遅れたっていう伝説」

「本当なのか怪しいな…」

幌がそれを全部聞いてから感想を言った。

その時、改札から2人が降りてきた。

「ごめんごめん、また阪和線がね…」

「残り1時間以上あるからたぶん大丈夫。さっさと『阪急電鉄』に乗ろう」

幌が妙に急かしている。

その心を知る者は、幌以外にはいなかった。

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