第81巻
第91章 お正月[3]
いとこたちと散々話をしていた琴子と雅は、いつのまにか日を超していた。
「あ、いつの間にやら……」
琴子の従弟である川崎法六が、時計を見て初めて気づいた。
「じゃあ、あけましておめでとうございます、本年もよろしくお願いします」
急にあらたまり、法六の妹の陽日が琴子と雅に深々とお辞儀をしながら言った。
「あ、いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
殆ど反射的ともいえるような言い方で、琴子と雅は陽日が言い終わると同時に返した。
「そういえば、友達のところへ行くって言ってなかったか?」
法六が琴子に聞く。
「そうだよ。どうしたの」
「いや、言ってみたいと思ってみてな…どこに住んでるんだ」
「神社だし、面白くないかもよ」
「いやいや、何の変哲のない神社に秘宝とか眠ってるって、よくあるパターンじゃん?」
「そんなものないって」
琴子が行かせないようにしていると、法六の両親が部屋に入ってきた。
「やっぱり、ここにいたのね」
「母さん、どうしたの?」
法六と陽日は立ち上がり、両親のところへ歩いていった。
「お正月で、どこもかしこも渋滞になるらしいから、先に帰るわよと言いに来たのよ。もしも、いきたいところがあってここに泊まることにしたいのだったら、了解は取り付けてあるけど……」
「コっちゃんの友達の実家が神社らしいんだけど、そこに行きたいの」
陽日が母親に言った。
「いいんじゃないか?」
陽日たちの父親が後ろから声を出す。
「向こう側も忙しいと思うし、お参りするぐらいになるだろうけど」
「全然、大丈夫」
法六が両親に言う。
「向こうに聞いてみようか?」
雅が法六たちに聞いてみる。
「別にかまわないんじゃないかな、マーくんたちが行くっていうのは話してあるんでしょ?」
「明日ね」
琴子が陽日のセリフに付け足す。
「そうそう明日。だったら、私たちが行ってもかまわないような気がするんだけど?」
「向こうの準備とかもあるだろうし、急に増えて大丈夫か携帯で連絡入れておくよ。その方が安心だからね」
雅はそういうと携帯でメールを送った。
1時間しないうちに返信が帰ってきた。
「大丈夫だって。それに、今日は早く寝るから返信もいらないそうだ」
「早くったって、もう1時半ぐらいになってるけど……」
「気にしない、気にしない」
誰が言ったかわからない言葉がいきかった。
そんなことを話している間にも、さらに夜は更けて行く。