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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
冬休み 正月編
80/688

第80巻

第90章 お正月[2]


山門は一人で鈴を見送りに空港へ来ていた。

『関西国際空港』からニースまでの直行便がないため、『フランクフルト国際空港』を経由することになるらしい。

もっとも、フランクフルトからは電車や車で行くと山門は聞いていた。


出国ゲートの前で、鈴の両親と離れたところだが目が届かないわけではない距離で二人は話していた。

「3が日と少しぐらいだから、すぐに会えるわよ」

「そうだね。あ、これ」

山門はズボンの右ポケットから、指輪をネックレスのチェーンに結んだものを取り出した。

『ジップロック』に入れられたそれを、鈴に渡す。

「雰囲気も何もないけど、気にいってくれたら、うれしい…なんて思ったり……」

チェーンはどこにでも売っているような安いもので、指輪も100円ショップで売っていそうだった。

だが、どこにも売っていない気持が、これには入っていた。

「ありがとう」

だからこそ、鈴は素直に受けとり、すぐに首へつけたのだろう。

「きれぃ……」

漏れるような声で、顔が明るくなりながら言った。

「似合ってるよ」

指輪をじっくりと見ていた鈴が、内側に彫られた刻印を見つけた。

「Y.R. & N.Y.…?」

「山口鈴と永嶋山門。自分ら二人のイニシャルだよ。ずっと二人が一緒になれるようにって……」

恥ずかしそうな表情を浮かべながら、山門は鈴の顔を下目づかいで見た。

気にいったかどうかが気になっているようだ。

「とても気に入ったよ」

鈴が本当に満面の笑みで山門へ言った時、ようやく山門は、ほっとした表情を見せた。

「気にいるのが結構気がかりだったんだけど、よかった」

「じゃ、お土産楽しみにしててね」

鈴はそういうと、離れたところにいる両親のところへ歩いていった。

だが、途中で気が変わったらしく、山門のところへ戻ってきた。

「ネックレスのお返し」

鈴は山門のほほにキスを瞬間的にしてから、何が起こったかわかっていない山門を置き去りにして、鈴は走り去った。

感触が残ったままのほほに右手を動かしながら、山門はさっきの瞬間を繰り返し思い出そうとしていた。

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