第71巻
第81章 2学期終業式 [2]
体育館でずっと待っていると、生徒会長が再び帰ってきてマイクを通して言った。
「全員信任されました」
宣言すると、いったん降りていた時期生徒会執行員がステージへあがっていく。
全員が一礼し、代表して次期生徒会長が言った。
「信任ありがとうございます。次期生徒会長として、職務を全うし、本稿をさらに美しく、さらに発展させていくことを誓います」
拍手とともに、全員が降壇する。
「では、これからホームルームに行きたいと思います。生徒の皆さんは、それぞれの教室へ戻ってください」
体育館から、ぞろぞろと生徒が出てくる。
男女共同で使っているため、男子校側の大きい体育館でも息苦しく思ほどだった。
そんな人数が一気に動くのだから、出るのはいつも大変だ。
幌は、そう思いながらも山門と一緒に教室へ向かっていた。
体育館から、建物の中にある階段を使って外へと出る。
教室へ戻ると、誰が書いたかわからないが黒板に今後の予定が書かれていた。
「どう見ても先生だろ」
「そうだな」
幌たちが入ってきたときには、ほとんど誰もいなかった。
「さて、問題は、だ」
幌が座るのを見てから、机のすぐ横へ雅が滑りこんでくる。
「予定とかあるのか?」
「ああ、正月は叔母のところへ行くことになっているが……」
「ついでにさ、一緒に行ってもかまわないか?」
「向こうの了解さえ取れればな」
幌はほとんど考えずに言った。
「そういや、宿題って、これまで出されている分で全部だったか?」
「うん、そうだよ」
宮司が、いつのまにやら幌の席のすぐ横に立っていた。
「ただ、あと一つや二つぐらいは追加されるかもしれないけどね」
「そりゃ困った」
「それよりも、叔母さんはどこに住んでるの」
宮司は、幌のところへ椅子を持ってきて、そこに座った。
「伊勢に住んでるけど…」
「伊勢か、そりゃ行かないといけないな」
「何があるんだって」
「伊勢神宮は、日本全国にある神社の最高峰と位置付けられているんだ。日本にある大半の神社を管理している『神社本庁』も、伊勢神宮のところに事務所を置いてるんだよ」
「そっか、宮司は実家が神社だったな」
幌が言うと、宮司は一回うなづいた。
「まあ、どちらにせよ何回も行ってるんだけどな」
そんなことを言っていると、先生が教室へはいってきた。
生徒も、いつのまにか揃っていた。
幌たちもいったん解散した。
「明日からは冬休みだが、それぞれの授業中に宿題が出されていると思う。すでに終わらせている者もいれば、冬休み明けでも出さないやつがいることだと思う。ただ、やってこないとその教科の単位は与えないことになっているから、気をつけるように。夏休みの宿題も同じだ」
先生はそういうと、プリントの束を配りだした。
すでに右肩の部分がホッチキスで止められていて、1冊の冊子のようになっていた。
「それに、冬休みについてすべて書いてある。次来るのは1月7日午前8時半体育館だ。以上、委員長、号令」
「きりーつ」
冊子が全員にいきわたっていないようだが、気にせず先生は進める。
「気をつけ、礼」
「ありがとーございましたー」
掃除もないため、このまま直帰することができる。
幌も帰ろうと思って教室を一歩出ると、星井出が引き止める。
「なあ、幌の叔母のところへ行くっていう話は…」
「ああ、叔母たちに聞いてみないことにはよくわからないから、後でメール送るから、それ見て決めてくれ」
「わかった、じゃあ、とりあえず冬休み明けに」
「ん。じゃあ」
幌たちは、冬休みを過ごすために、それぞれの家へと帰って行った。