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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
桜の家編
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第7巻

第12章 桜の家


翌日、幌たちは桜の家へ遊びに出掛けた。教えてもらった道を頼りに歩いて行くと、高級住宅地へたどり着いた。その中で、ひときわ大きな家が、桜の家だった。


インターホンを押し、玄関を開けてもらうと、とても広い庭が現れた。

「すっげー」

永嶋が、庭の広さに驚きの声を上げた。

ヨーロッパのような宮殿みたいなつくりだった。

右手の方から、誰かが来た。

「いらっしゃい。お待ちしていました」

山口だった。

「お邪魔するね」

桜が、山口に言った。

「どうぞ。では、案内しましょう」

山口は、何らかの合図を出した。

すると、音もなくリムジンが現れ、静かに扉が開いた。

「どうぞ、お乗りください」

全員が乗り終わると、すぐに発車した。


中は広く、どこまで広がっているかわからないほどだった。

「到着しました」

静かな物言いで、運転手が告げると、自動で扉が開き、全員が下ろされた。

車はそのままどこかへ動かされた。

「さあ、こちらへどうぞ」

山口が、みんなを案内した。


「ここが、エントランスホールになります」

山口が荘厳な扉を開くと同時に言った。

一同は、驚くしかなかった。

「どんだけでかいんですか?」

永嶋が言った。

「だいたい、このホールだけで35坪ほどありますね。

建物全体だと600を軽く超すんじゃないですか?

土地だけでも、1000坪はあると聞いたことがあります」

「想像がつかん…」

「すさまじい広さだということは分かった」

「では、少しばかり遊びましょうか、それとも家の中を案内しましょうか?」

「家の中案内してもらったら一生帰れないような気がする…」

幌がつぶやいた。

「では、こちらへ」

山口は、みんなをとある部屋へ連れて行った。


「こちらへ」

そこは、いろいろなものが置いてあるところだった。

「ここって、何の部屋?」

「わたくしの倉庫です」

「倉庫って…」

その時、永嶋が何かを見つけた。

「なあ、これって『ワルサー P-38』?」

「よくわかりましたね」

ただ、二人の会話に、ほかの人たちは分からなかった。

「ねえ、なんちゃら38って何?」

桜が聞いた。

「ワルサーP-38というのは、『ルパン三世』が持っている銃です。ちゃんと、発砲することはできないように加工はされていますが、一応携帯許可を持っていますよ」

「いや、そう言うことじゃなくて…」

「他にも色々ありますけど?」

そういうと、山口は段ボールの中を探り始めた。

「例えば、『コルトSAA』や、『九九式短小銃』、『ブレン軽機関銃』もありますよ。もちろん、弾は出ないようになっていますが」

山口は、なんとなく自慢げだった。

真剣に聞いていたのは、永嶋だけだった。

「じゃあ、『AK-47』もあるの?」

「この箱のどこかにあるはずですよ」

仲良くなっている二人を尻目に、他の人たちは、いろいろなことを話し合っていた。


「なあ、山口」

「何でしょうか、琴子さん」

「ほかのもんはないんかいな。ほら、たとえばやな、テレビゲームとかは」

「ああ、そのようなものでしたら、客間のほうにありますね。ご案内しましょうか?」

「ああ、よろしく頼むわ」

そういうと、山口と永嶋は、手に持っていたモデルガンの数々を段ボールにしまい、倉庫から出た。


階段を降りる道すがら、山口はみんなに聞いた。

「ところで、どのようなテレビゲームをしたいのですか?」

「何があるの?」

「我が家にあるテレビゲームは、『Wii』、『プレイステーション2』と『プレイステーション3』、『Xbox 360』もありますね」

「ゲームの種類は?」

「パズル系のゲームが多いですが、ロールプレイングゲームもあります」


客間についたとき、突然電気が切れた。

「ひゃー」

氷ノ山が悲鳴をあげ、幌にしがみついた。

「ちょっ、何をするんだよ」

「あっ、ごめんなさい…」

あわててはなれたが、二人はドキマギしていた。

「停電ですかね。でも、すぐに戻ると思いますよ」

山口は、軽く言った。


言ったとおり、1分後には電気が再び流れ始めた。

「さあ、どうぞ。お入りください」

山口は、そのまま中に入れた。


3時間ほど、遊び続けた後、ふと幌が外を見ると、大雨だった。

「あっと、外大雨だね」

「え?本当?」

みんなが立ち上がり、窓の近くまで寄った。

「あっちゃー、傘持ってきてないよ」

星井出が言った。

そんなとき、山口が言った。

「みなさん、もう外も暗くなっていますし、雨も降っているようなので、送っていきましょうか?」

「え、いいの?」

桜は言った。

「ええ、全員を車にお乗せして」

「畏まりました」

執事っぽい人が、一礼してから車を玄関に回していた。

「ではみなさん、また学校で会いましょう」

それだけ言うと、山口は上にあがって行った。

「では、お暇させていただきます」

みんなは、それぞれ礼を言ってから、車で家まで送ってもらった。


「ふあ〜、やっと帰ってこれた…」

桜と幌は家に送ってもらい、あわてて洗濯ものを家の中に干し直してから、ようやく一息つくことができた。

「行ってみて分かったけど、山口も永嶋も武器オタクだったんだね。何も分からなかった」

幌がソファーに座りながら言った。

「そうだね〜。でもさ、そんなことが分かっただけでもいいんじゃない?」

桜が、すぐ横に座り、幌に寄りかかりながら言った。

「あんな知識、どこで役立つんだろう」

「さあ。ただ、知っていなくても大丈夫な知識ばかりだけど」

そう言うと、桜は幌に手を伸ばした。

幌は、そんな手を払いのけてから一言告げた。

「風呂入ってからもう寝るね。なんだか疲れた…」

そんな幌の後ろ姿を見て、桜は呟いていた。

「あ〜あ、また逃げられちゃったよ…まあ、いいか。また機会があるよね」

そう言うと、桜はソファーで横になり、寝た。

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